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デジタルヘルスに特化した実証実験の倫理審査委員会とELSIへの取り組み

デジタルヘルスは、医療・健康の分野において急速な進展をしている技術であり、その実証実験における倫理審査が極めて重要であると考えています。ここでは少し、デジタルヘルスに特化した実証実験の倫理審査委員会と、ELSI(Ethical, Legal, and Social Implications:倫理的・法的・社会的影響)に関連する課題に焦点を当て書いてみます。

1)倫理審査委員会の役割の高度化
デジタルヘルスの実証実験においては、個人情報や患者データの取り扱いに関する問題が顕在化することがあります。これらの問題に対処するため、倫理審査委員会は以下の役割を果たすべきでしょう。

(実験計画の厳密な審査)
研究者が提案する実験計画が倫理的に適切であるかどうかを精密に検討し、適宜指導を行う。創薬や医療機器の試験ではないので、記載方法に工夫が必要。

(データ保護の最適化)
個人情報や患者データの取り扱いに関する最新のガイドラインを策定し、研究者に徹底させる。

(患者や参加者の同意プロセスの充実)
十分な情報提供を行い、自由意志に基づく同意を確実に得るためのプロセスを構築する。これまでの同意書で、被験者が本当に理解できているのか疑問が残る。

これらの点については、従来の医学部等における倫理審査委員会では、記載部分は少なく、あまり着目されていないように思っています。

2)ELSIへの高度な取り組み
デジタルヘルスの実証実験においては、以下のようなELSIが密接に関連してます。

(プライバシーの保護)
データ収集・利用・共有に伴うプライバシー侵害のリスクを綿密に評価し、最適な対策を講じる。

(公平性の追求)
デジタルヘルス技術の利益やリスクが社会全体に公平に配分されるよう、柔軟な配慮を行う。

3)アクセスの拡大
特に、高齢者、障がい者、経済的に不利な立場にある人々へのデジタルヘルス技術へのアクセスを確保するための施策が重要になると思います。

(デジタルリテラシー向上プログラムの展開)
高齢者や障がい者を対象としたデジタルリテラシー向上プログラムを展開し、デジタルヘルス技術への理解と利用能力を向上させる。

(無料または低額なデジタルヘルスサービスの提供)
経済的に不利な立場にある人々がデジタルヘルス技術を利用できるよう、無料または低額なサービスを提供する。

(インフラ整備とアクセシビリティ向上)
インターネット環境の整備やデジタルデバイスの普及を促進し、デジタルヘルス技術へのアクセスを容易にする。また、障がい者にも使いやすいアプリケーションやウェブサイトを開発することで、アクセシビリティを向上させる。

(サポート体制の充実)
デジタルヘルス技術の利用に際して、専門家によるサポートや相談窓口を設け、利用者が安心して技術を活用できる環境を整える。

こういった事項についても、デジタルヘルスの実証実験に特化した倫理審査委員会は言及するべきだと思います。

ということで、このような取り組みは大学単独では困難であると思われますので、その組織の設立に取り組みたいと考えています。


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