元気高齢者の新たな働き方 〜介護人材版Uberモデルの可能性〜
介護業界における人材ビジネスにも、大きな変革の波が押し寄せています。従来の枠組みでは、専門的な人材紹介会社が介護人材を紹介し、それに対する高額な紹介料を請求するという形が主流でした。しかしながら、その構造は次第に崩れつつあります。
この変化は介護福祉士やケアマネジャーといった専門職だけでなく、資格を保持していない者が介護業務を補助する「介護助手」の領域においても見受けられます。
今、注目を集めているのは、「介護人材版Uberモデル」を実現するスタートアップ企業たちです。これらの企業は、介護施設と介護専門職や介護補助者を直接つなぎ、高額な紹介料の支払いを排除する新しい形を提供しています。これにより、多数の介護施設が負担を大幅に軽減できます。
さらに、これまでの人材紹介モデルでは、採用後の定着率の低さという問題が顕在化していました。それは、介護施設と介護助手との間で必ずしも一致しないニーズや条件が引き起こすミスマッチに起因するものです。しかし、新モデルにおいては、施設でスポット的に働くことが可能であり、施設側が優秀な人材を直接雇用に転換する選択肢も生まれています。
また、この新たな形は、活力ある高齢者たちにとって新しい働き方の道を開きます。年金だけでは生活が困難な高齢者たちは、所得を増やす手段を求めています。体力的な理由からパート勤務が難しい場合や、大幅な収入が必要ない場合でも、介護補助業務等を通じて施設で支援し、日当を得るという新しい働き方が各地でこころみられ初めています。
また、一部の高齢者は、この働き方を通じて新たな生きがいを見つけ、スキルアップを目指し、介護福祉士への道を志向している人たちもいます。
このような新しい働き方を後押しするアプリも次々と出現しており、介護人材の不足という問題を解消する新しいビジネスモデルとして注目されています。そして、これらのアプリは、元気な高齢者だけでなく、専業主婦、学生、外国人留学生など多様な層からも利用されつつあります。
こうした動向は、大きな産業の変革という可能性を予見させ、興味深い未来が開けてくるのではと考えています。