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調剤薬局はデジタルヘルスの拠点になれるのか?―「薬を出すだけ」の時代は終わった!
■調剤薬局は「薬を出す場所」から脱却できなければ、デジタルヘルスの拠点にはなりえない
デジタルヘルス時代において、調剤薬局が地域のヘルスケア拠点として進化できるかどうかは、業務の枠組みをどれだけ広げられるかにかかっています。しかし、現状の「処方せん調剤」に依存したモデルでは、デジタルヘルスの波に乗ることは難しいのが実情です。
薬局が「薬を渡すだけの場所」から「健康マネジメントの拠点」へと変わるには、デジタルツールの活用、データ連携、薬剤師の役割拡張が不可欠になります。
■「処方せん調剤モデル」ではデジタルヘルスの本質的な価値を活かせない
デジタルヘルスの目的は、病気になってから治療するのではなく、データを活用して健康状態を継続的に管理・改善することにあります。しかし、従来型の薬局は次の3つの理由から、デジタルヘルスの担い手としては不十分であると考えます。
1)業務の枠が狭すぎる
ほとんどの薬局は、医師の処方せんに基づく調剤業務に特化しており、患者の健康維持や予防医療には関与しづらい構造になっています。その結果、デジタルヘルスを活用した個別の健康アドバイスやデータ管理に積極的に取り組めていません。
2)データ活用が限定的
デジタルヘルスの鍵となるのは「データの統合と活用」ですが、現状では薬局が持つデータは処方履歴に限られています。電子カルテとの連携が不足しており、患者の全体的な健康データを統合的に活用する仕組みができていません。
3)「地域の健康拠点」としての存在感が弱い
一部の薬局では健康相談サービスを提供していますが、「体調が悪いときに行く場所」としてのイメージが強く、予防医療やデジタルヘルスの窓口として認識されていません。
■「薬を出す場所」から「健康を支える拠点」へ進化するために
調剤薬局がデジタルヘルスの拠点として機能するには、以下の3つの改革が必要です。実現への道のりは結構遠いとは思いますが、、、。
①「処方せん調剤中心」から「健康マネジメント拠点」へ転換
・予防医療、慢性疾患のフォローアップ、在宅医療支援などを積極的に提供
・血圧や血糖値の定期測定、AIを活用した健康リスク予測の導入
②データ連携を強化し、医療機関・企業・介護施設とつながる
・PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)との連携を推進
・電子カルテと薬局データの統合による、より高度な服薬指導の提供
③デジタルツールの活用と薬剤師の役割拡張
・オンライン健康相談、服薬モニタリング、遠隔健康指導の強化
・薬剤師を「デジタルヘルスのナビゲーター」として育成
■「薬を渡すだけ」の時代は終わり、薬局の新しい役割が求められる
これからの薬局は、ただ薬を出す場所ではなく、患者の健康を継続的にサポートする場へと変わる必要があります。
デジタルヘルスを活かしたデータ活用、オンライン相談、予防医療の強化によって、調剤薬局は真の意味で地域の健康拠点へと進化できるようになると期待できます。(あくまで期待ですが、、、)