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Diposal Studio Japan

今の日本は不便を楽しむためにお金を払う時代。

街なかの快適な自宅を出てガソリン燃焼させながら車で大自然に向かい、火打ち石で火をおこし自炊して、部屋のような空間をDIYでつくりキャンプを楽しむ。

エアコンの効いた車でスポーツジムに行き、高い代金を払って汗をかくためにひたすら自転車を空転させエネルギーを消費してまたビールを飲む。。

そういったエンターテイメントに付随するゴミ問題。

現代の人間が持て余す膨大な時間の「暇つぶし」と人間が生き続ける限り排出され続ける「ゴミ」を同時に消費できる施設があれば…。

「Disposal Studio Japan」

これは決して増え続けるゴミ問題を解決するために作られる施設ではなく、人間が常にエンターテイメントを求め続ける故に生まれるテーマパークであり、あくまでゴミを使い倒し、遊び尽くすための娯楽施設である。そこであわよくば、結果的にゴミが教材になり、仕事や遊ぶ道具になり、アートやエンターテイメントなる。これはそんな夢の国をつくるための妄想と非現実の狭間の虚構的企画書である。なのでツッコミの練習をするつもりで生暖かい目で読んで欲しい。

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テーマは大きく分けて三つ。

「すてる、つくる、あそぶ」

そしてもう一つ、その全ての過程からゴミに対する見方が変わり結果的に自然に「まなぶ」こと。

まず大前提として作られるのは基本的には産業廃棄物の最終処分場。なので当然のように人里離れた場所でないといけない。地方の寂びれた廃村、若しくは限界集落。出来れば廃墟と化した元テーマパーク跡地とかでも。(BanksyのDisma Landみたいな。)

海が見渡せる小高い山をまるごと施設にする。出来るだけ視界を邪魔するほかの建築のない、自然な風景とゴミの対比ができるような場所が好ましい。そこで我々デッドストック工務店が日々運ばれてくるゴミを素材として建築物や遊具をひたすら作りまくる。

当然のことながら汚水や有毒ガスの問題や莫大な建設費、管理費がかかるのは分かるが、故にそこに我々の税金がどれだけ使われてるのか。臭いものにすぐ蓋をしたがる日本人。誰もが煙たがるゴミ問題をただ見て見ぬふりをするよりは、エンターテイメントとして皆が楽しみながら現状を知り、尚且つそこの負担が少しでも減るならそれに越したことはないのではなかろうか。

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まずその広大な敷地のエリアは三つに分かれて、

・業者向けの「最終処分場エリア」

・一般人向けの「テーマパークエリア」

・その二つの間の「デンジャラスエンターテイメントエリア」


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「最終処分場エリア」

まず一般的なそれと同じように分別はされる訳だが、ここでの特徴はゴミをすぐには燃焼させない。鉄くずなどもスクラップにしたり溶かしたりしてリサイクルするのではなく基本的には出来るだけ元の形を残して使うようにする。分解場なるものを作り、ひたすら分解するのが好きな人がここでなんでもかんでもひたすら分解する。その段階でも良い形が見えれば分解の途中で利用したり、その場で考えることをする。

基本的にはデッドストック工務店のメンバーが独断と偏見で分別するが、ここで気にするのは素材別に分けるのもさることながら、例えば色別に分けること。赤や青のゴミの山をつくるなど。不思議なもので置き方次第でゴミかどうかを判断される事が多い。単にキレイに整頓してあるだけでも良いしサイズや色で分けられてるだけでも必要なものに見えてくる。

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↑ ベトナムのパーツショップでは解体した機械のネジなどをサイズ別に分類して普通に販売している。

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↑ ポートランドのランドリーショップでは忘れ物の片方だけの靴下が日よけ代わりに窓につるされてる。

ここで肝心なのは処分場の雰囲気を必要以上にカッコよく工場感出したり、作業風景も含めて全てが絵になること。単純に赤い山、青い山が並んでるだけでも映えスポットになる。見せ方次第でゴミはゴミじゃなくなる

もちろん燃やされたりプレスされるゴミが圧倒的に多いとは言え、選ばれた、残されたゴミ達がこの先にみんなが楽しめるもの変わっていく事を考えるだけでもここで働くキャスト(スタッフ)のモチベーションの向上にも繋がるはず。

「リペア&リメイクゾーン」

ここに付随する施設として大きな作業場があり、プロの職人が家具や家電の修理の仕方や、DIYを含めたものづくりの手法など子供の遊びから大人の就労支援まで幅広く学べて、単純に作家、アーティストとして作品を生み出すクリエイティブな場所にもなる。

なによりももうひとつのメインの施設「エンタメゾーン」を無限に増設しまくる工場としても我らがデッドストック工務店のメンバーの腕の見せ所となる大事なラボでもある。

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ここで普通に湧いてくる疑問がこの場所の運営方法だろう。

もちろん普段から廃材を使った建築をつくってる自分としては廃材を使ったからといって建築コストが落ちるなんてことはないことは充分理解はしている。よほどの出資者が現れてくれない限りスタート時は完全に処分場に依存するしかない。しかし施設が成長してくるにつれてどんどんエンタメゾーンに人が集まるようになると集客と利益が増える予定だ。遊具が充実してくれば入場料も上げることもできるかも知れない。ゴミが増えれば増えるほど儲かる仕組み。

「施設内だけの通貨の発行」

これはイメージとしてはキッザニアの通貨「kizzo」の全くパクリだが、ここでは「デッドコイン」と呼ぼう。まずはエンターテイメントエリアの入場料がそのままデッドコインに換金される。そして中で各施設の利用料を支払う。その辺はカードのポイントとかpaypayのように電子通貨のような仕組みでやりたい。ゲーセンのコインゲームのようなものでデッドコインから現金には換金できない。

デッドコインの稼ぎ方としては

1、あらかじめ持ち寄った自前ゴミを査定、換金してもらう。

2、処分場で分別やリペア、修理などアルバイトをする(キッザニア方式)

3、リメイクした作品を委託販売する。

4、施設内のスポーツジムで自転車を漕いでエネルギーをつくる(後述の他力メリーゴーラウンドなど)

そのうちチェーン展開していって世界中にDSJが出来ると、いろんなとこで使えるようになる。世界のどこかのゴミが別の国で通貨としてつかえる仕組みができると面白い。

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「テーマパークエリア」

Disposal Studio Japanにはエントランスは二か所あって産廃を捨てにくる業者用と、ここテーマパークエリア用だ。一般的なテーマパークのチケット売り場が入り口だが、中身の雰囲気はよく映画でありがちな核戦争後の未来の地球みたいな世界。北斗の拳とかマッドマックス。街なかはブレードランナーとか攻殻機動隊といえばだいたい伝わるだろうか。この先はさらにいくつかのゾーンに分かれていて

・只々あそぶ「プレイゾーン」

・つくって学ぶ「スクールゾーン」

・ゴミのホテル、ゴミのレストラン「リラックスゾーン」

・ゴミやげ、ゴミアート「ショップ&ギャラリーゾーン」

「プレイゾーン」は基本的に普通に子供から大人まで楽しめるアミューズメント施設。廃材でつくられた遊具で遊ぶ。普通とちょっと違うのは遊び方を考えたり、エネルギーを自給しなければいけなかったりとただやらされて遊ぶというより考えてクリエイティブに遊べるような仕組みにする。例でいうと、

自力メリーゴーラウンド・・・単に自分の力で漕ぐペダル式のメリーゴーラウンド。人数が集まってくると結構恐怖。

他力メリーゴーラウンド・・・併設されたスポーツジムで誰かがトレーニングの為に自転車を漕ぐなどしてる時じゃないと遊べない。どちらかに人が座ってるとランプがつくシステムになっており自分の有り余ったエネルギーを知らない誰か求めてる事に気づく。

Vinyl Pool (ナイロンのレジ袋プール)・・・海洋汚染問題になってるナイロン袋を室内プールに山のように捨ててその中で泳ぐ。濡れないけど窒息の可能性アリ。

「スクールゾーン」は前述でも少し触れた「リペア&リメイクゾーン」と繋がっていて、プロの職人がその場で実践として家具やバイクなどまだ使えるものを直す技術を教える学校。割れたものを生かす金継ぎやステンドグラスなどの作家を育てる場所。職人不足な昨今、子供たちもつくる事の楽しさや現場での面白さを体験できる場所も少なく、普段からつくることをエンターテイメントに昇華する事のできるデッドストック工務店のメンバーだからこそ伝えられる事もたくさんある。本格的にこれからのゴミ問題に取り組む授業もできると良い。そしてここで人材を育てる事でこの場所も継続していく。

「リラックスゾーン」

雰囲気としては徳島県上勝町の宿泊施設「WHY」がやはり一番参考にはなる。基本的には廃材で作られたホテルとレストラン。もちろんゴミの焼却でできる熱を利用した温浴施設として温泉、プール、サウナ、廃材を自分で燃やしながらのセルフ足湯など。

レストランでは廃棄食材やコンポストを利用して作られた食材などで調理をする。できればこれまた対象的に高級なフレンチに変化するのが理想。

「ギャラリー&ショップゾーン」

言わずもがなのリサイクル、パーツショップはもちろんのこと、リメイク品やブリコラージュなどのアート作品の展示、販売。


そして最後にここDisposal Studio Japanの一番の売り、醍醐味でもある、

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「デンジャラスエンターテイメントエリア」

ここは誰もが入れるわけではなく入場制限のあるエリア。大した資格がいる訳ではないがケガなど自己責任のもとに遊んでもらう。

・サバゲー場・・・ただのゴミの山々。どっからゾンビが出てきてもおかしくないような本物の廃墟のセット。映画や戦隊モノの撮影にも持って来いなシチュエーション。

・宝さがし場・・・文字通りゴミの中からお宝を発見してもらうためのこれまたゴミの山。普段、デッドストック工務店のメンバーが素材を探してる時のように、ここがどれだけ楽しい場所か身を持って伝えたい。

・ストレス発散劇場・・・ただの壊し部屋。完全防備をして電化製品や家具などをひたすら大ハンマーや金属バットで叩き壊す。

ここデンジャラスエンタメゾーンでは、我々世代の誰もが子供の頃経験したジャッキーチェンごっこはもちろんのこと、死と隣合わせの北斗の拳ごっこ、マッドマックスごっこも楽しめる。
夜のパレードはメインイベント「バーニングマン」風。これぞデッドストック工務店の真骨頂。一番得意とするところであり、毎日でもやりたい。

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ざっとこんな感じが「Disposal Studio Japan」の概要だ。

そして我々デッドストック工務店がお祭りのようにはしゃぎながら日々ゴミでものをつくる姿もエンターテイメントのひとつだ。そこにこそ大きな意味がある。そもそもものづくりとは様々な要素をはらむエンターテイメントなのだ。全てが工業化、マニュアル化されつつある日本のものづくり現状にカウンターパンチを与えたい。

ゴミ処理、地域活性、人材育成、そして観光、エンターテイメント。そんな魅力的な事がワンストップでできる施設。

どこかの頭のおかしい自治体が切羽詰まって誘致してくれたならこの生涯をささげようと思う。

後、キンコンの西野さんあたりがリアル「えんとつ町」をつくろうと出資してくれることを願ってます。

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デッドストック工務店

デッドストック工務店動画

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