プレシーズンマッチで活躍した3選手をできるだけ詳しく紹介してみた
まえがき
(2021/09/01 一部編集)
20/21を4位で終え、ギリギリCL出場権を獲得したユヴェントスは、7月から8月にかけて4試合の親善試合を行いました。
(紅白戦的な立ち位置となったU23戦は除きます)
下部組織の若手や新規獲得した選手を試運転する絶好の機会でもあるプレシーズンマッチでは、やはり、たくさんの若手が起用されました。
下の表は、プレシーズンマッチに出場した下部組織の選手をまとめたものです。
これを見ても分かるとおり、今回のプレシーズンマッチでは、ラノッキアやスーレ、デ・ウィンターといった若手が多くのチャンスを与えられました。
(チェゼーナ戦遅刻懲罰のファジョーリも目立ちますが…)
デ・ウィンターはチェゼーナ戦で、ラノッキアはモンツァ戦で見事なゴールを決め、スーレは出場した2試合で1ゴール2アシストの素晴らしい活躍を見せました。
ドラグシンやファジョーリといった有名な若手とは違い、この3選手はまだトップチームの公式戦に出場したことがないので、まだ彼らのことをよく知らないという方もいると思います。
本稿は、これからトップチームで観られそうなスーレ、デ・ウィンター、ラノッキアの3選手を、できるだけ詳しく紹介するnoteになります。
(詳しくとはいっても、客観的なデータより、ユーヴェ下部組織に来てからのプレーを観ての個人的な感想がメインです)
因みに、そのほかの若手のことも知りたい方は、20/21のU23とU19の全選手を簡単に紹介したnoteがありますので、こちらからご覧ください!
1. Matías Soulé / スーレ
生年月日:2003年4月15日(18歳)
国籍:アルゼンチン
身長:176cm
利き足:左足
昨季成績:U19...30試合5ゴール5アシスト
U23...なし
チェゼーナ戦とモンツァ戦で強烈なインパクトを残したスーレくん。チェゼーナ戦で起用されるまでは、彼のプレーを観たことなかった人も多かったのではないでしょうか。
【キャリア】
2020年1月に母国アルゼンチンのVélezというチームからユーヴェU17に加入したスーレは、当時、太ももの筋肉に問題を抱えていました。Vélezは、オタメンディや現ボローニャのニコラス・ドミンゲスを輩出しているチームです。
獲得当時スーレはバルセロナやアトレティコマドリー、レアルマドリーなどのスペイン勢からも狙われていました。
ユーヴェU17での出場記録が見当たらないので、未出場のまま19/20を終えたと考えられます。
20/21では、U17からU19へ昇格登録されると、プリマ第3節ACミランU19戦でデビューを飾りました。この試合では、スーレの他にもイリング(チェルシーユースより加入)やコッター(FCシオンU21より加入)などの新戦力組が多く出場しました。
当時の私からすれば知らない選手ばかりでしたが、その中でも最も目を引いたのがスーレでした。
70分過ぎからの途中投入でしたが、当時はこんな感じの銀髪?だったこともあり、抜群の存在感でした。
試合のフル動画はこちら、ハイライトはこちらからご覧ください!
(ともに Juventus TV 購読者のみ視聴可能な動画です)
スーレのアシストシーンも見事でしたが、その前のダ・グラカへの鋭いラストパスも素晴らしかったです。
(因みに昨季プリマリーグで17試合PKなし15ゴールの脅威的な成績を収めたダ・グラカも本稿で紹介する3選手と並ぶ逸材ですが、負傷離脱によりプレシーズンマッチで姿を見せることはありませんでした…)
結局、スーレはデビュー戦のあとはアスコリU19戦を除く全てのリーグ戦に出場し、10番を着けることも多く、U19のエースとしてチームを牽引しました。
プレシーズンマッチでも実力は十分に発揮されたので、来季はU23に主戦場を移し、セリエCの舞台で経験を積むことになりそうです。
先日行われたU23の練習試合では、さっそく10番を着用して出場しており、チームからの期待の高さがうかがえますね。
(プチ情報ですが、黒いパグを飼っています。)
【プレースタイル】
プレシーズンマッチのチェゼーナ戦のプレー集や、モンツァ戦のプレー集を見ても明らかですが、母国でディマリア2世とも呼ばれるスーレは、繊細なボールタッチとクリエイティビティが武器のアタッカーです。
首位サンプドリアU19戦では直接FKからゴールを決めており、キック精度の高さも持ち味といえます。
このときも、もちろん10番を着用していました。
個人的には、ユヴェントスの選手ですし、スピードよりも技術でヌルッと抜き去るドリブルや直接FKといった長所からディバラを彷彿とさせる選手だと思っています。
昨季U19でのプレー集はこちらから。正確なラストパスをポンポン出せる選手は、育成年代では特に貴重とされています。
前述の通り来季はU23が濃厚となっており、20/21ではコロナの影響でユースリーグという若手版チャンピオンズリーグが中止となってしまったため、今後もユースリーグでスーレを観られることが無さそうなのが少し残念です。
2.Koni De Winter / デ・ウィンター
生年月日:2002年6月12日(19歳)
国籍:ベルギー
身長:188cm
利き足:右足
昨季成績:U19...26試合0ゴール1アシスト
U23...なし
プレシーズンマッチでは主に右SBとして出場したデ・ウィンターですが、実はU19では右SBとしてプレーしたことはほとんどありません…!
【キャリア】
2018年7月に母国ベルギーのクラブからU17に加入したデ・ウィンターは、18/19ではU17にて右SBを主戦場として23試合に出場しました。
翌19/20では、U19に昇格登録されると、当時右SBはダニエル・レオ(現U23)とフォンセカ(現アミアンSC)の2人がスタメン争いをしていたことや、もともと右インサイドハーフを主戦場とする中盤の選手だったこともあり、原点回帰的にセントラルMFとして起用されるようになりました。
しかし、当時U19の中盤といえばレオーネ(現U23)、ファジョーリ、ラノッキアの01組トリデンテに加え、アーマダ(現シュトゥットガルト)やトンギャ(現マルセイユ)など逸材の宝庫でした。
結果としてデ・ウィンターの出場試合数は10試合程度に留まり、そのうちフル出場は1試合のみとなりました。
しかし、控え選手だった19/20から一転して、20/21では2度の負傷離脱こそあったもののU19の主力として26試合に出場しました。
キャプテンを任された試合も多かったです。
そして、18/19のU17では右SB、19/20のU19ではセントラルやインサイドハーフとして起用されたデ・ウィンターは、20/21ではCBが主戦場でした。
これまでユーヴェU19のCBは、ドラグシンやヴラセンコ(エクセルシオールにローン中)、リッチオ(現U23)など、とにかく当たり負けしない屈強さが重視されてきたように思えます。
一方、デ・ウィンターのCBへのコンバートは、そういったフィジカル的な強さよりも、ボールを持てるCBを期待したものだと考えます。
来季はU23に主戦場を移してセリエCで経験を積むことになりますが、個人的にはかなりチームから期待されてると感じるので、トップチームで観られる日はそう遠くないかもしれません。
一部の噂によれば、ドラグシンがローンでセリエAクラブに移籍した場合、デ・ウィンターがトップチームの控えCBとして帯同するとか…
【プレースタイル】
先述したように、様々なポジションを経験したデ・ウィンターは、もともと中盤の選手なので、落ち着いたボールさばきやプレス耐性の高さが特徴です。
そのため、CBや右SBなどディフェンダーとしてプレーしても、相手のプレスによって簡単にロングボールを蹴らされることは少なく、ロングリーチを生かしたキープや切り返しを使って的確なビルドアップができる選手です。
短いですが、かなりいいハイライトを見つけたので是非ご覧ください!
守備面でも、他の守備力が定評のあるCBと比較しても見劣りしない守備力を持っています。
ペナルティーエリア内での守備も安定的で、1対1での対人性能もなかなかの高さを誇ります。
デ・ウィンターをCBにコンバートさせたU19のボナッティ監督は、ここまで見抜いた上でのコンバートだとしたら相当な慧眼の持ち主です。
総じていえば、ドラグシンのように分かりやすい圧倒的なフィジカルなどが武器のディフェンダーというよりは、全てにおいて安定したプレーができる珍しいタイプのCBです。
3.Filippo Ranocchia / ラノッキア
生年月日:2001年5月14日(20歳)
国籍:イタリア
身長:186cm
利き足:右足
昨季成績:U19...なし
U23...31試合4ゴール3アシスト
20/21では下部組織のなかで最も成長した選手だと思っています。
こういった選手の成長をダイレクトで感じられるのは、U19やU23を観る一つの醍醐味ですね。
【キャリア】
ラノッキアの簡単なストーリーは以前ツイートしたことがあるので、上の一連ツイートもご覧ください。
ファジョーリ、レオーネ、ラノッキアからなる01組トリデンテ(自分が勝手にそう呼んでいるだけ)の一人であるラノッキアは、昔からユーヴェで過ごしてきたファジョーリやレオーネとは異なり、ペルージャ生まれのペルージャ育ちで、2019年1月にペルージャU19から獲得し、同年9月にユーヴェU19に加入しました。
ペルージャでは2019年、セリエBのリヴォルノ戦にてトップチームデビューも果たしており、プレーオフも含めて、ペルージャでは4試合に出場しました。
そんなセリエB経験済みのラノッキアは、19/20ではユーヴェU19でプレーし、一回の負傷離脱とレッドカードによる出場停止を除いて、ほぼ全てのU19の試合に出場しました。
しかし、やはり同じポジションで起用されるレオーネやファジョーリ、さらには当時主力MFであったトンギャやアーマダといった選手と比べると目立つシーンは少なかったです。
とはいえ20/21、ファジョーリやレオーネとともにU23に昇格登録されると、ラノッキアは開幕早々からスタメンの座をつかみ、主力としてチームを牽引しました。
20/21のリーグ戦出場時間はコレイア(パルマにローン中)、ペーテルス(リエージュにローン中)に次ぐチーム3位で、U19で良きライバルだったレオーネやファジョーリと大きく差をつけました。
以前投稿したU19とU23の選手紹介記事でも、そして先程も書きましたが、ラノッキアは20/21で最も成長した選手だと思っています。
ペルージャやビチェンツァなどへのローンの噂もありますが、残ればトップチームで見られる可能性は高いでしょう。
【プレースタイル】
アッレグリが注目しているとも言われているファジョーリやU19で大活躍だったミレッティが天才タイプだとすれば、ラノッキアは決してそういう選手ではないものの、安定感に優れた万能タイプといえます。
ファジョーリがアルトゥールに近い選手とするならば、ラノッキアはベンタンクールに近い選手だといえるでしょう。
一応右利きですが、両足で正確なボールを蹴ることができるのが大きな特徴です。プレシーズンマッチでのゴールも左足から放たれたコントロールシュートでしたね。
プレースキックも得意で、昨季は直接FKからのゴールも決めています。
こちらの動画では、印象的な得点や左足で蹴るCKのシーンなどが紹介されているので、ご覧ください!
※追記
かねてよりペルージャやビチェンツァへのローン移籍が噂されていたラノッキアですが、やはりビチェンツァへのローン移籍が決まりました。
詳細は↓のツイートをご覧ください。
おわりに
自分の趣味全開のnoteとなってしまいました…
21/22も下部組織の選手紹介noteを投稿する予定ですので、完成したらそちらも読んでいただけると嬉しいです。
下部組織の試合も観てみようと思った人が一人でも増えてくれたら幸いです!
それでは、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。