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サロンコンサートでまどろむ。

妻が通っている生け花教室の先生のご自宅でサロンコンサートが開かれるというのでお供をする。一階の吹き抜けに置かれたグランドピアノを囲むように数十人分の椅子が並べられるスペースがあって「掃除大変だろうなあ」などと貧乏性を発揮する。さして広くもない部屋をより狭く使うのなら自信はある。平日の昼間とあって平均年齢は間違いなく70歳を越えている。夫婦連れはチラホラ。数少ない殿方は、みな場の空気となるべく大人しい。それがヨロシ。

演奏は地元でピアニストとして活動されている物腰の柔らかな40~50歳代の男性(人の年齢は本当にわからない)。決してコアではないだろう聴衆のために、時折平易な解説を交えながら進めてくれる。この日の第一部は「ドイツ音楽からフランス音楽へ」と題して、ヘンデルやショパンなどの小品を中心に聴かせていただいた。

若い頃には耳も傾けなかったクラシック音楽も時とともにその良さを感じるようになって、時々Eテレのクラシック音楽館などを見るともなしに見ていたりする。問題なのは一向にその曲名が頭に入らないことで、これはもう諦めの境地。しかしこの変化、ポップスの好みがロック志向になるのとパラレルのような気がしてならない。

2曲目あたりで不覚にも船を漕ぎそうになってしまい、横から妻に指でツンをされる。不協和音を奏でたりしては申し訳ない。昔からじっと集中しようとすると数分後に一瞬だけウトウトするクセ(病気か?)がある。映画しかり、授業しかり。そういえば遙か昔、ゴンチチのライブで盛大に寝てしまったことがある。あの時はその半分くらいを夢うつつの中で聴いていたような気がする。決して退屈だったのではなく「気持ちよすぎた」のだ。なんたって「地球一番快適音楽」を掲げている人たちなのだから仕方がない。

その後は目を閉じながら、しっかりと耳は流れる音を堪能。ということで、前半のセットリストはというと・・・

1.バッハ作曲 フランス組曲第5番よりガボット
2.ヘンデル作曲(ルドルフ・ケンプ編曲)メヌエット
3.ヘンデル作曲(ハルボルセン編曲)パッサカリア
4.ショパン作曲 ノクターンNo.2
5.ショパン作曲 ノクターンNo.20遺作(エキエル版)
6.ショパン作曲 ワルツ遺作(1955年発見)
7.ショパン作曲 ワルツNo.4(猫のワルツ)
8.ショパン作曲 ワルツ?
9.エリックサティ作曲 ピカデリー
10.ドビュッシー作曲 月の光
11.ラヴェル作曲 マ・メールロワより 妖精の庭  

郊外の広大な敷地にご夫婦だけの手作りという立派な和洋庭園があって、四季折々の風情が楽しめる。休憩時間にいただくケーキとコーヒーもこの庭を愛でながらという予定だったが、あいにくこの日は冷たい風がかなり吹き荒れていたので屋内ですますことに。少し残念。休憩時間もビリー・ジョエルやカーペンターズが奏でられている。

第二部はグッとくだけて懐かしのスクリーンミュージックを、ということで「ムーンリバー」や「雨に濡れても」「シェルブールの雨傘」などをメドレーで。誰しも聴いたことのある曲ばかりなのだが「若い頃を思い出して」との先生のMCも、65歳は若造なのでどれも映画自体はリアタイしていないのだ。

最後にプーランク作曲の「エディット・ピアフをたたえて」から「愛の賛歌」で本編終了。どんなジャンルでも、生音はやっぱりいい。

見出しの画像は「曽我美穂」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

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