#2 これからの社会を変えていくコミュニティのあり方とリーダーの役割
このマガジンでは、わたし達が行っている「コミュニティ作り」と取り組みについてご紹介していきます。
ここでのコミュニティの定義
わたし達のコミュニティがめざすものは「プラネット型のコミュニティ」です。言い方は少し違いますが「縄文」「◯まる」「DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)」とほぼおなじ意味だと定義します。
上記を踏まえて、今回は「コミュニティ」について書いています。
これまでの社会と既存のコミュニティの問題点
これまで一般的だったコミュニティのあり方を「会社組織」を例に考えてみるとわかりやすいですが、従来のコミュニティは「ピラミッド構造」になっています。リーダーや代表者などピラミッドの上に行けば行くほど大きな権利や利益を得ていることが多いかたちです。ピラミッドの「上と下」という絶対的な上下関係が存在します。
例えば、新入社員が入ったばかりの新しい視点から会社の問題点について指摘したとして、社長の耳に届くでしょうか?きっと多くの会社ではトップの耳に入る前に、中間管理職の人までで止められてしまいますよね。
「ピラミッド型のコミュニティ」では、リーダーの下、全体が統率されて素晴らしい成果を上げることが出来る組織形態です。君主制も名君がリーダーであれば国は栄えます。
しかし、自分のポジションと利益しか見えていないリーダーがピラミッドの頂点にあり、上に対して意見が通らない状況で起こり得る最悪のケースは「コミュニティの私物化」や「支配」「利益の搾取」です。暗愚がリーダーであればコミュニティは衰退していくのです。
「プラネット型」のコミュニティを作りましょう
「無料コミュニティ」は理想的?コミュニティ作りで失敗したこと
わたしは現在の「CLUB D」を立ち上げる前に、何度かコミュニティ作りで試行錯誤を繰り返しました。当然、失敗も経験しました。
今、コミュニティ作りに関してはさまざまな個人・団体が取り組んでいらっしゃると思います。その中で「縄文のコミュニティ」「食糧自給」というキーワードが出てくる場合に、人と人が繋がることに「お金」を介在させず、参加費が発生しないコミュニティこそめざすべき姿だと考える方は少なからずいらっしゃいます。わたしも基本的にはそう思います。
しかし「お金」が発生しないコミュニティだから良いかと言われれば、そうでもありませんでした。
ここで2つの事例を紹介します。
【事例から得られた教訓】
①コミュニティの質を決める参加者の質を高める重要性
②参加基準を明確にしてリーダーによる公平性を欠いたジャッジを予防する
相手を思いやり、お互いの時間や考えを尊重したり、エネルギーや時間を相手から奪わず、与えることはわたしがコミュニティ作りで大切にしている価値観の1つ。
これら2つの事例から、わたしのコミュニティでは「参加費」をいただくことに決めました。
もちろん、これが必ずしも正しい運営方法とは思いません(お金があっても心が貧しい人はいますし、お金がなくても心が優しく豊かな人はたくさんいらっしゃることも承知しています)
ここで、リーダーの役割について考えてみたいと思います。
コミュニティを良い状態で守っていくために、あたらしいコミュニティ作りのために必要なリーダーの役割とはどのようなものなのでしょうか。
「プラネット型」のコミュニティリーダーの役割
プラネット型のコミュニティリーダーに求められる資質は3つあります。
①コミュニティメンバーの意見に耳を傾けてニーズを拾うことができる
②コミュニティに集まるエネルギーを(コミュニティのために)1番上手に運用することが出来る
③コミュニティのために最良の判断ができる
※ここで言う「エネルギー」とは、お金・時間・集まる人などすべてを含んだ意味です。
リーダーとは、指針を指し示すことができる人間ではありません。自分のことをメンバーから特別視させたり、権威でメンバーを抑えて我を通し、コントロールしようとする人間でもありません。
リーダーとは1番上手にコミュニティのためにエネルギーを運用できる人のこと。
例えば、わたし以上に上手にエネルギーを運用できる人がいるのなら、「CLUB D」のリーダーはわたしでなくてもまったく構わないのです。
プラネット型のコミュニティにおいては、リーダーすらただの「コミュニティに必要なパーツの1つ」に過ぎないのです。
活気あるコミュニティ作りで大切な3つのこと
活気があり、エネルギーが高い
コミュニティ作りのために大切とされているのが次の3つです。
1.「交流」を行う
活気があるコミュニティでは、メンバー同士の交流によって「熱」が生まれています。逆に、交流が活発ではないコミュニティでは「場が冷えて」いることが多いものです。メンバー同士の気兼ねないおしゃべりやイベントを通しての交流は、コミュニティとして場にエネルギーを与えていきます。
2.「時間」をかける
人と交流して関係性を育てていくには、時間がかかります。オンラインであれば投稿するために文章を考えたり、読んだり、コメントする時間はかかります。主宰者であれば、コミュニティが育つまでは根気強く時間をかけて個々人をフォローしていくことが求められます。
3.「お金」を投じる
お金というのもエネルギーです。言葉遊びのようですが、お金を「払う」ことは「祓い」にも通じ、コミュニティに賛同する人だけが集まり、参加する意思がない人やコミュニティに合わない・批判的な人は不要なトラブルなく離れていきます。居心地の良いコミュニティが自然に守られる仕組みでもあるのです。
「プラネット型のコミュニティ」で参加者が必要なこと。
突然ですが、ここで質問です。
あなたは「サイレントカスタマー」という言葉をご存じでしょうか?
直訳すると「意見を直接企業に伝えない顧客」のこと。文字通りサイレント(=沈黙)なのですが、言わないから意見がないのではなく、意見はあるけど伝えない人たちのことを言います。相手に直接伝えずネットで陰口を書き込む、なんてことはネットが普及してからどんどん増えているようです。
日本人は、相手の心中を「察する」ことに長けています。
優しい人がとても多いのです。「波風を立てたくないから」と自分の意見を言わない(言えない)人はきっと心が繊細で優しいのでしょう。
一方で、コミュニティ運営という視点で考えてみると「参加者の意思が見えない」というのは、コミュニティにとって大きな機会損失です。ポジティブな意見だけでなく、主宰者にとってネガティブに聞こえることさえ、長期的な視点に立てば改善点を改める機会をいただいているのです。
1人の意見はコミュニティ全体の宝物。
相手に自分の不満をぶつけたり、ただの批判で終わるものではなく、「愛由来」で発した言葉は絶対に相手に伝わります。
プラネット型のコミュニティを一緒に作ろうとするとき「ノーコメント・ノーリアクション」という人や、良い意見しか言ってくれない人は腹の底が見えず、正直コミュニケーションに困ります。
「NO」が言えない人とは本当の意味で信頼関係が築けないからです。
〔まとめ〕天は人の上に人を作らず。人の下に人を作らず。上下のない、フラットな立場で繋がること。
プラネット型のコミュニティをめざすなら、自分と相手が「対等な立場」で意見が言い合えるかどうかが大切になります。
自分の気持ちを表現することに苦手意識がある人は、自己信頼を高めたり、逆に安心できる繋がりの中に最初に身を置いて「何を言っても受け止めてもらえる環境」の中で自分の意見を発することを少しずつ練習してみるのもオススメです。
「自分は参加者だから、言われたことだけやったらいいや」
「リーダーの言うことに従ってれば大丈夫」
こういう人は、ピラミッド型のコミュニティの方がたぶん合っていますし、例えばうちのコミュニティにご参加いただいたとして、あまり楽しんでもらえないと思います。
わたしは時に厳しいことでも愛を持って伝えてくれる人が好きです。自己保身ではなく、相手のために言葉を尽くして伝える愛は、ふつうの人には出来ないからです。
風の時代はコミュニティの時代と言われています。それぞれのコミュニティに特徴があり、その多様性に富んだコミュニティが増えることで社会全体がこれから大きく変革していくことになります。
ぜひ自分にピッタリのコミュニティを見つけて、楽しんでくださいね!
2023年 白神みどりこ
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