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初めての建築士試験|8年越しの新たな学び

わたくしごとですが、今年初めて2級建築士試験に挑戦しました。
受験資格要件である実務年数+試験日までおよそ8年越しに、ようやくたどり着いたスタートラインでした。

長くなりますが、受験の記録を書きました。
これからなにかに挑戦する、どなたかの励みになれば幸いです。


◾️受験のきっかけ

建築業界への就職

およそ8年前、わたしは友人の紹介で建築関係の会社に契約社員として就職しました。
初めは技術者の補助として事務的な業務を行なっていましたが、上司の薦めもあり、半年後に技術職に転向。
これまでの人生でまったく想定していなかった業界でしたが、新しい分野での仕事は面白く、周囲の人のありがたいサポートのおかげで比較的順調に仕事をこなすことができたと思います。
そのまま正社員にしていただいたものの、そこからのステップアップにはどうしても資格の取得が不可欠でした。

受験資格がない

建築士資格を受験するためには、所定の学歴か、もしくは所定の業種での実務年数が必要です。
どちらも持ち合わせないわたしが受験するためには、次の選択肢がありました。

・年間100万円払って専門学校に2年通う
・実務年数7年まで頑張る

薄給ゆえに東京での生活苦にあえいでいたわたしには、正直どちらも現実的ではありませんでした。
おまけに、学歴のないわたしが受験できるのは2級から。そこから1級、さらにその上の資格を取得するために、一体どれだけの年数とお金が要るのやら…

「だったら別の仕事するわー」って感じで、その時はまさか地元に戻ってからも同業他社に転職し、なんだかんだ7年を達成するとは思ってもいませんでした。

実務年数達成!

昨年秋、ついに実務年数7年を達成しました。
最後の一年は心身ともにかなり苦しく、正直、「実務年数を達成したら辞められる」と思って働いていました。
仕事に目標を持てず、いつのまにか、手段が目的に替わってしまったのです。
わたしにとって、資格試験はいわば8年間の集大成のように思えました。

◾️勉強方法について

学科試験

試験対策に一番有効なのは、何をおいても専門の予備校に通うことかと思います。
しかしながら、予備校は高い!
某大手2社なら学科・製図通して100万円近く。
ローンを組んで通う人も多いようですが、できることならそんなにお金かけずに済ませたいのが本音…

わたしの場合は、ちょっとずるい手段を使うことにしました。
・受験の2年前から勉強スタート
・先輩から某予備校教材を拝借
・過去問集を3巡、項目別の問題集を2巡
・構造力学は先輩に講義をしていただく

長すぎる待機期間の苛立ちと、未就学分野の不安から、学科にかんしては時間をかけてお金をかけず、じっくり勉強しました。

そのかいあって、学科試験は無事に合格。
今年は比較的簡単だったようです。

製図試験

さて、問題は製図試験です。
普段、仕事で他人が作った図面を見る機会は多かったものの、自分で描く製図はまったく未知の世界…
さすがに独学では無理と判断して、予備校に通うことにしました。

とはいえ、先に学科試験を合格しなければ受けられないこと、今年は4年に一度のRC造であること、また経済的事情で、学科試験のように何年も前から勉強するのは難しい状況…
結局、製図の勉強にかけられた時間は、学科試験終了後からの2ヶ月間だけでした。

家から近い大手2校は値段が高くて払えないので、断然安い遠くの学校まで電車で通うことにしました。

◾️新たな学び

予備校での苦悩の日々

まさか自分がここまで出来ないやつだとは…

道具の使い方、線の引き方に始まり、各図面の描き方のルールや建物の構造を理解するのに精一杯。
他のクラスメートたちにとってはそんなものは大前提で、鍛えるべきはそこからの応用とスピード。わたしにはとてもついていけない…
仕事で図面を見慣れているからと多少タカをくくっていたけど、見覚えあるのは木造ばかりで、RC造は見たことなかった…

さらに、間取りを短時間でまとめるセンスが絶望的に、ない…_| ̄|○
これはかなり厳しいぞ…と、予備校が始まって早々に気づきました。

寝食も忘れ、体重2㎏減

無理かもと思っても、やり始めたからには最後までやり切るしかない。
試験前1ヶ月は退職前の有給消化期間に入り、朝から晩まで寝食も忘れて製図版に向かいました。

「会社辞めるのに、わたし何のために頑張ってるの?」
「ほとんどが働きながら勉強してる人ばかりなのに、働いてなくてこの程度のわたし、そもそも向いてないのでは?」
「PCデータで図面やり取りする時代に、手書きの試験とか意味ある?」

などなど…
心の声は現実逃避と負け惜しみオンパレード。

でも、最後までやるんだ。
あとから言い訳しないように、とりあえず最後まで、できるだけのことはやるんだ。

そう自分に言い聞かせ、手を真っ黒にしながら描き続ける日々でした。

◾️試験当日と、その後

祝福されてない感

予感みたいなものってあります。
何となくうまくいきそう、というか、諸々整った!と感じる瞬間。
はたまた逆に、なんだか嫌な予感がするとか。

試験当日の朝もありました。
ずばり、「祝福されてない感」。

理由は以下↓

・3日前からの喉の痛みと微熱
・試験用に使おうと思っていた置時計を母が持ち出す
・出かける間際、事情を知らない親戚から「今日行っていい?」というLINE

なんとなく、「あ、これダメそう」って思いました。
あとから思えば、このときすでに気持ちで負けてしまっていたのかもしれませんね。

試験とその後

試験問題は、予備校講師の予想を外れた内容でした。
木造よりも製図が楽と言われるRC造で、なおかつ学科が簡単な年は製図試験が難しいというのは本当でした。

2ヶ月ぽっちの付け焼き刃のわたしは大苦戦。
なんとか描き上げたものの、あとから見直せば抜けだらけで、これじゃ到底受からないなと思いました。

帰宅後、猛烈に喉が痛くなり、身体中だるくなってそのまま寝込みました。
病院で検査してコロナとインフルは陰性。
数日は喉の痛みで眠れず、改ためて耳鼻科で風邪による副鼻腔炎と診断されて1ヶ月半ほど通院しました。

いつもよりかなり回復が遅くて、寝込みながら「これはきっと8年分の疲れが出てるんだな」と思いました。


時は過ぎて、
先日、試験の結果通知が届きました。
結果は案の定、不合格。
最低から一つ上のランクⅢなので、全然ダメだったみたいです。
納得の結果すぎて、ぐうの音もでませんでした(^^;

◾️試験を終えて感じたこと

結果は不合格でしたが、正直、まったく悔いはありません。
十分頑張った、と一言思うだけです。

新しい世界に飛び込んで8年、わたしはよく働いてきました。
今年はさらに新しく製図を学び、試験後にボロボロになるまで、全力で取り組んだと思います。

実力不足は承知の上で、「8年間よくがんばったよ」と、わたしは自分に言ってあげたい。
それから、いまは無事に回復できてよかったね、と。
体重は3㎏戻って試験前より増えてるけど。

ちなみに、令和10年までにあと2回、学科試験免除で受験できるそうです。
時間をかけて勉強すれば合格できるのか、はたまたまったくダメなのか。。。

8年かけてようやく切ったスタートなので、次のゴールをどこに置くかは、今後の身の振り方も含めてゆっくり考えたいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
お互いに、来年も良い学びがありますように。

#今年学んだこと

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