カラーフィルム自家現像のすすめ
今回は、私が普段カラーフィルムの自家現像をしている時の話をしようと思います。何故そんな話をするのかと言うと、フィルムの裾野が非常に急激な狭まりを見せているからです。使用薬品の希釈率や温度、攪拌時間などもお伝えします。
日本人の税込年収の中央値(稼ぎの一番少ない人から一番多い人を順に一列に並べた時の真ん中の人の年収)が420万円に満たない現在、フィルムを使いたくても、コストが掛かり過ぎると使えませんよね。
コダックが値上げして、ロモグラフィーも値上げしました。
私がフィルム写真を撮り始めたのは10年位前です。ヴィヴィターウルトラワイドアンドスリムやスメナ8M、LC-Aなどのトイカメラの全盛期で、フィルムは扱っている店舗が今より多く、即日現像が当たり前でした。
その後一旦離れていて、この何年かはまた撮っています。ここ1年は撮る写真の99.5%くらいがフィルムです。
10年くらい前に撮り始めた当時はフェラーニアのソラリスやアグファヴィスタなどのフィルムが健在でした。私はよくソラリスの200を使っていて、たまにフジのエクストラ400を使うという具合でした。ソラリスは粒子の荒いフィルム感満載のフィルムで気に入っていました。
上は全て200ですが確か100と200と400と800があった気がします。うる覚えなので間違ってたらすいません。
保存の問題かカブっていますね。飛行機のは当時からこんな色味だったと思います。
そしてエクター100が発売開始になり、値段は650円くらいで、他のフィルムの相場は500円代だったと思います。
この4枚はエクター100で、カメラはイオス1000QDです。ネガを改めてスキャンすると10年前はこういうのを撮っていたんだと懐かしいです。エクター100は1本しか使ったことがありませんが、B&Hで買ったやつを2本ストックしています。
それが今ソラリスは期限切れでさえ中々流れず、アグファも期限切れが手に入る程度、しかも過去に流行ったフィルムというだけで、13年ほど期限が切れたものが36枚撮り換算だと1000円超えという異常な高さ。
アグファウルトラ100ともなれば1500円くらいになっています。
この3枚は期限が12年切れのアグファウルトラ100です。期限が12年も切れているのに、この赤の発色。売りに出していた方の保存環境が良かったのではないかと思います。
12年切れでこれですから、発売されていた当時は余程良い発色だったのだろうと思うと、今このフィルムが販売されていないのは残念ですね。
エクター100は今回の値上げで35ミリ1本が2000円超え、ロモグラフィーも100が3本セット約2500円となっています。私が撮り始めた時はロモグラフィー100の3本セットは1200円位でした。
生産中止の銘柄の多さと残った銘柄の値上げが激しいですね。
また、フィルムは現像しないと目に見える形になりませんが、現像代も1.5倍位に値上がりしています。納期も外注で即日現像の店が減りました。私は田舎に住んでいるので、即日現像の店は車で片道1時間掛かります。待ち時間もあるので下手すると半日潰れてしまいます。
電子化するのにスキャン代として600〜700円程別に掛かるのが相場ですから、フィルム代と別に現像と電子化で1500円程度掛かる事になります。
そこで、フィルム写真に掛かるコストを下げるのに、カラーも自家現像はどうですか?という話です。
もっと言えばスキャンを自分で行うことで外注が減り、コストが下がります。私は現像とスキャンを自分で行うので、ほぼフィルム代で済んでいます。
モノクロは自家現像でもカラーは店に頼むという方も多いのではないでしょうか?
カラーフィルムの自家現像を躊躇っている人の中には、カラーは温度管理が難しい、温度管理が適当だと色が出ない、1℃で色のバランスが崩れて無茶苦茶になる、など聞いたことがある人もいるかもしれません。
1年ほどカラーも自家現像している実体験から申し上げると、そんなことはありません。
少なくとも現像液が劣化していない場合は、かなりアバウトでも鑑賞に耐えうるものです。お金を取っているとか、名の通ったプロの作品展とかでない限りアバウトでも大丈夫です。お金を取っている場合でも、温度管理に気をつければ良いだけの話です。私は1回目のカラー現像の時に温度を合わせて現像しましたが、その時に湯の温度に触れておき、2回目からは肌感覚で、いつも大体これぐらいの温度位です。
モノクロの場合は、現像→停止→定着→水洗促進剤→水洗→ドライウェル→乾燥(あくまでも私の場合で、ドライウェルは使わない人や水洗促進剤を使わない人もいますし、私は使っていない保護剤のAGガードを使う人もいます)ですが、カラーの場合は、発色現像→漂白定着→水洗→ドライウェル→乾燥です。
私は発色現像はオリエンタルのフィルム用発色現像補充液CNL-N1R(A液とB液になっています)をスターター無しで38℃7分30秒で最初に1分撹拌し以降1分毎に10秒撹拌しています。希釈率はA液とB液其々タンク容量の1割です。私のタンクは290mlなので、A液29mlとB液29mlで残りをお湯232mlの合計290mlで行なっています。
ちなみに現像液は現像後排出する時にピンク色になります。
漂白と定着を分ける方もいらっしゃいますが、私は現像と漂白定着で2浴式にしています。
漂白定着で使っているのは、コダックのカラーペーパー用RA-4BF漂白定着補充液(白と暗赤色のセット)です。
漂白定着も同じ温度で同じ時間、攪拌も発色現像と同じタイミングです。希釈率は白い方がタンク容量の8パーセントで23mlと、暗赤色の方がタンク容量の1割で29mlで残り238mlがお湯です。
カラーに水洗促進剤は使えませんので、そのまま水洗を経て、最後にドライウェル浴の後吊るして乾燥させています。
この写真が初めてカラー自家現像した時の写真です。最近全く使っていない、35ミリバックを付けたダイアナで、当時ドライウェルは使わずそのまま乾燥させたので、シミが有りますし、巻き送り時の傷が有りますが、色は出ています。
この計った時以外でも、ちゃんと発色しています。
これだけ再現されていたら、主観ですが問題ないと思います。他のノートで公開しているのも殆ど自家現像したものです。
私と同じ薬品で発色現像と漂白定着した場合、大体薬品代が9000円から10000円くらいです。
一本あたりの現像代が数十円で済みますから、ある程度撮る人だとすぐ元が取れます。
もう1つ利点があって、現像せずにおいている間に撮影済みかどうか分からないとか、そもそも撮れているかどうか分からない、裏蓋を開けてしまったけど等の時に、店に出すと撮れていようが撮れてなかろうが、たとえ未使用だろうが現像代は掛かりますが、自家現像だと薬品代と水道代だけで済みます。
私自身、撮影後にフィルムピッカーで先頭だけ出しておく癖があり、撮影したものか未使用か分からないフィルムがあったのをつい先日現像しました。こんな時に気軽に現像できるのは良いですね。
ちなみに出てきたのは川遊びに行った時の写真でした。
薬品は手袋をしながら扱って下さいね。保管も子供がいる場合は特に、自分以外の家族が触れない所で保管しましょう。
最後にお約束ですが、あくまでも私はこうしていますという話なので、参考にされる場合は自己責任でお願いします。
皆様からのサポートはありがたくフィルムや暗室関連の費用、又はフィルムの存続に寄与すると思われることに、使わせて頂きます。