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国内教育留学のすすめ

秋田県五城目町での生活、あっという間に3週間が過ぎ、帰路についている。行ったことがないけど、世にいうインドに行って価値観が変わるような体感がたくさん起きた。教育留学に行く方の背中を押せればと、印象が強かったことをメモしておく。

毎朝7時43分にスクールバスで登校

五城目小学校での教育留学

小2・小5の兄弟は期待以上に羽を伸ばして、友達と、ご近所さんと、雪と戯れてエネルギーを発散してた。


違いを楽しもう。」担任してくれた先生の歓迎の一言がとても効いたのか、何が逗子の小学校と違うのか、お互いの「ちがう普通」を発見してはメモしていた。最終週には両校の先生同士がつながり、逗子と五城目が昼休みにオンラインでつながるという光景にまで発展していた。
控えめに言って最高とはこのことだと言えるけど、今回の僕たちの経験をさらに上回る体験ができると思ったので「こうだったらもっと良さそう」という観点でメモしていく。

交換留学

うちの兄弟二人は、見知らぬ土地に来て、クラスメートと文化の違いを共有しながら関係性を作っていくという、大きな経験ができたし、きっと母校にも少なからず何かの影響は与える気がする。(内履きズックは定型の白いやつじゃなくて、五城目みたいにスニーカーにすべきだと提案するらしい)

もちろん五城目の生徒も、予定外の侵入者をゲストとして迎えてくれて、面白がってくれたと思う。ただ、片方の留学受け入れではなく、交換留学できると、異文化交流がもう一段進むはずだ。

そのやり方、3パターンを考察してみたい。

時期ズレ交換留学

どちらかが先に受け入れ、期間が終了して母校に帰るタイミングで、もう片方から留学生を送り出す。先攻後攻の考え方だ。先攻の生徒が、後攻の生徒を地元に対して紹介できるので、より短期間で関係性をつくりやすい気がする。

同時交換留学 & 家交換

こちらのほうがオーソドックスな考え方だが、これに乗じてお互いの家まで交換してしまうことを想像したい。
まず、あきらかに滞在費用が軽くなる効果が出ることは間違いない。
加えて僕たちが不安要素として残してきたこんなことも解決される。

  • 熱帯魚の餌やり(自動餌やりしてたけどやっぱちょっと心配)

  • 植物の水やり

  • 郵便ポストパンパンになってないか

  • etc

お互いの信頼関係が結べる前提が整えば、ぜひ試してみたいやり方だ。

ホームステイ

これはすでに五城目町としても制度が整っているそうだ。親元を離れて、他人の家庭にお世話になる。普通、海外留学の文脈で出てくる発想だが、これが国内でできるとなると、親は週末だけみんなで釣りをしに秋田に行くという選択もできるようになる。親にとっても、子にとっても大きな経験になるに違いない。うちは近い将来これにトライしたい。(夏休みやGWで、遊びメインで子供を送り出して、夫婦別々に一人旅・・なんていう贅沢な想像もできる)

もちろん、逗子でもこういったホームステイを受け入れてみることにも挑戦してみたい。教育委員会が前向きだと一気に進みそうな感覚があるので、話に行ってみよう。

頼らないと関係性は始まらない

これは五城目に移住したリューヤナギサワ氏からもらった名言で、今回の旅を総称するようなキーワードになった。

滞在5日目、どうしても僕が東京に帰らなければいけなくなり、車がなくなった我が家は、彼に子供達の下校やらなんやら、たびかさなる運転をお願いすることになった。妻は申し訳なく恐縮する気持ちが大きかったんだろうが、彼はとても快く笑顔で対応してくれて、この言葉を贈ってくれたそうだ。これが目から鱗だった。

首都圏の暮らしの中では、他人の普通と、我が家の普通が違うことに不安を大きく抱いちゃうし、誰かに頼ることに対して気後れしがちだ。

けど、向こうから先に頼ってきてくれると、一気に気後れも小さくなるし、何より仲良くなれる。こんな基本的なこと、頭で考えてもわかるはずだが、日常の中で失ってた感覚だった。きっと、会社や部活などのコミュニティ内ではできてることだけど、地域の中でそれを実践するのはなかなか難しいのか。どうやったらそういう共助の一体感が都市でも起こっていくのか。
とても良い問いを見つけられた。

森山ビレッジの坂を登りきれずハマった車を住人に助けてもらった

子育てを街にアウトソースする

今回滞在していた森山ビレッジに住む、いいだしっぺの丑田さんは、仕事にも遊びにも忙しい人だ。なんなら3週間、僕より出張行ってたんじゃないかという。そんな丑田家にも二人の子供がいて、これがまた超いいやつに育っている。もちろん、奥さんの母親っぷりが素晴らしいことは大前提だけど、彼が言っていた「子育てを街にアウトソースする」という感覚は面白かった。

確かに五城目には大人も子供も入り乱れるホットスポットが点在していた。住人同士がお互いのことをよく知っていることもあって、子供を街に投げ込んでおいても、良い感じに回っていく様子が体感できた。アウトソースという言葉はあんまり悪い響きじゃないかもしれない。

僕たちもお世話になった五城目の名所をピンしておく。
ここを巡っていると、無理しなくてもいろんな人間関係が勝手にできていく。

いちカフェ

アヤさんという素敵なお母さんが運営している街のたまり場。子供からじっちゃんまで、そしてペットにも優しいカフェ。何回食べても飽きないサバカレーがおすすめ。番外編だけど、僕はここで熊の手を食べる会にお呼ばれして、予定外にワイルドな食体験をすることになった。

はちみつとスパイスで煮詰めた熊の手

おうみや

街の貸し棚屋さん。いまっぽいカテゴリでいうとコミュニティライブラリなのかな。森山ビレッジの十人でもある漆畑夫妻が運営する、ゆったりとした空気が流れる心地よい空間。お昼時にワークスペース難民になっていたところ、ふと通りかかったら店番を頼まれたので、いきなり店主代理として鎮座しながら仕事をすることになった。そうか、こういう共助もあるのか。
そうこうしてると、いろんな人が集まってきて、帰る頃には「きゃのこ汁」という郷土料理をゲットしていた。僕もおうみやに棚を借りたので、何か本でも置いておこう。

ただの遊び場

いちカフェの隣にある、読んで字の如く「ただの遊び場」。商業施設ではなく、街の有休施設を非営利でカスタムした場所なので、法的な規制から解放されたつくりで、1階から2階までボルダリングで登るようなワイルドな仕様になっている。

そこに「ハイラボ」というデジタル教育を推進する仕組みも備わっており、壁を登りに行ったついでに、ウェブサイトの制作方法を学ぶという遊びが成り立っていた。

次男はオナラが臭い理由に関しての専門サイトを構築

わーくる

五城目小学校に隣接する街の図書館。学校帰りの小学生がゆるっと読書してる横で、英語でゴリゴリのオンラインミーティングしている女性がいたり。自由な空気がよそ者にも優しく、僕は遠慮なくここで仕事していた。子供の下校後、迎えにいくまでの間、学童的な使い方で利用することもできていた。

雪を見ながら仕事

ものかたり

街の中にある、ギャラリー兼本屋さん。独自の世界観でキュレーションされた本と作品たちに出会える場所。僕らが店主とお話ししている間にも、子供たちは貪るようにいろんな絵本を読んでました。

HIKOBE

五城目ローカルの酒蔵「福禄寿」がハナレで運営するカフェ。ここは子供というより僕たち夫婦が幾度となくワークスペースとしてお世話になりました。お酒を作るための清らかな水で淹れたコーヒー、最高です。

どこも集客的な発想ではなく、自然と街に開かれた場になっているのが印象的だった。
そして、この辺りをうろうろしてると、示し合わせるでもなくいろんな人に会うことになる。それが毎日続くから、毎日会うことになる。こういう自然な距離感で関係性ができていくのか、としみじみ体感していた。

田舎はいそがしい

最後に遊びの話を。
くる前は、もっとゆっくり和みながら、ゆるやかな日々を送って、柄にもなく絵でも描いてみようか、なんて思っていた。来てみると、そこらじゅうコンテンツに溢れていて、ずっと遊びに忙しかった。
「あの温泉いった?」「あの麻婆豆腐たべた?」「バスケの応援いった?」・・・いく先々で次に行きたいところが見つかる。そして、1度いくだけじゃなくてリピートしたくなる場所がたくさんある。これに、地域の行事などが入ってくるともっと忙しいはずだ。

「田舎はゆっくり時間が流れる」というステレオタイプは、綺麗に瓦解した。

そんな中で、僕が知り合った一番いそがしそうな遊び人が、竹田ローガンさん。いちカフェで熊の手を振る舞ってくれたじっちゃん。

週末に「森山」の登山に誘ってくれた。

みんなでハァハァいいながら1時間くらいかけて登り、がっつり筋肉痛をくらったわけだが、ローガンさんはピンピンしている。なぜなら毎日登っているから。

山頂では、手持ちしていたソリでなんども滑降した。

そりの快感あなどれない

毎朝こんなに遊んで、たまに熊の手を捌いてたら、それは充実した日々だろうなと、自分のシニアライフにも希望がもてた。真のアクティブシニアとはこういうことか。「老後」という言葉がまったく似合わないローガンさんでした。むしろ何かの真っ最中。

ひとしきり滑降を楽しみ、下山したときに彼から「ソリストに認定します」と言われた時、嬉しかった。

こういう、遊びにあふれた毎日は、仕事にも良い循環を生んでくれる。遊ぶためにどうやって仕事にキリをつけようか、というマインドが結果的に「やるべきこと」にフォーカスさせてくれる。

これからも、そうやって人生を楽しむ人たちと遊びながら、いろんなこと試していきたいと思える3週間でした。

親も子もたくさん学べる教育留学。
検討されている方は、長期での滞在をお勧めします。

つぎは、春に渓流釣りにいくために戻ってきたい。
そして、逗子でもたくさん遊ぼう。

森山ビレッジのみんな、ありがとう。

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