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京都市でも生理用品の無料配布が始まった〜いつか当たり前になる前に考えておきたいこと〜

世の中からは、東京オリンピックへの盛り上がり、もしくは戸惑いの声が聞こえていますが、私の中でウェルビーイングに関する残しておきたい出来事として、せっせとこちらの記事を文字にしてみました。

今月に入ってからわたしの住む地域でも生理用品の無料配布が始まりました。きっと、母親世代の方には想像もしたことのなかった取り組みかもしれないし、私自身、スコットランドの法案のニュースを見なかったら、生理用品を使う本人(自分を含めた女性たち)が買い続けることに対して疑問を持つことことがなかったかもしれません。

いいな、と思う取り組みが広がっていくのを見るのは自分のことのようにうれしい。いずれこの取り組みは「社会の当たり前」になりますよね。この記事を読んでおられる方も、すでにこの取り組みに賛同の意を示しておられたり、関わっておられる方も多いのではないでしょうか。

同時に、「これは良い取り組みだ!」と多くの人が思った時に、政策としてシステムは広がると思うけれど、システムだけでなく、そこにある思いや意図、背景も一緒に広がって欲しいと願ったりもして。そんな気持ちで、今この瞬間のうれしさと、今だから感じる気持ちを実際に起きている出来事と一緒に、残しておきたいなと、苦手な文字を打っています。


大学から生理用品の無料配布の連絡がきた

所属する京都精華大学から、7月の上旬にメールがきました。「本学は、京都市の取組みに賛同・協力し、対象となる在学生の方に生理用品の提供を開始します。(以下略)」といった内容のメールで、経済的な理由等により生理用品が購入できない学生に対して、生理用品の提供を行う事業への取り組みがスタートしました。

京都市の取り組み(2021.7.1)

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,孤独・孤立で不安や困難・課題等を抱える女性に寄り添い,社会とのつながりを回復することを目的として,「京都市男女共同参画センター」(以下「ウィングス京都」という。)において相談支援事業を実施しています。また,当事業において,様々なご事情で生理用品を購入できない方に対して,(社福)京都市社会福祉協議会,NPO法人等と連携して,相談支援につながるよう生理用品の提供を行っています。
京都市


始まりはスコットランド

昨年、well-beingについて対話を通じて探究する北大コンパスプロジェクトを進める中で、こんなニュースが飛び込んできました。

「英スコットランドが世界で初めて、生理用品を全ての人に無料で提供するスコットランド議会は24日、生理用品を無料提供する法案を全会一致で可決した。これにより地方自治体には、タンポンやナプキンなどの生理用品を「必要とする人」が無料で入手できるようにする法的義務が発生する。」
BBC NEWS JAPAN (2020年11月25日)

法案の背景には、若い女性が生理用品の購入に苦労している「生理の貧困」があります。2017年、イギリスの慈善団体「プラン・インターナショナルUK」が行った調査では、若い女性の約10人に1人が生理用品を購入できず、15%が購入に苦労し、19%がコストを理由に自分にあまり合わない製品に変更していると回答しています。トイレットペーパーを代わりに使ったり、服が汚れることを恐れて学校を欠席する女性も半数以上存在することがわかリました。

初めから実現したわけではなくて、スコットランド政府が「生理の貧困」を解消しようと取り組みを始めたのは2018年の9月からで、大学を含む国内の学校に通う39万5000人の女子生徒全員に、生理用品を無償で提供していました。ただ、予算の都合上、すべての女性を対象にしていたわけではありませんでした。

2019年末、2016年から「生理の貧困」をなくそうと活動を続けてきた野党・労働党のモニカ・レノン議員が「スコットランドの全女性が、公共施設において、いつでも無償で生理用品を受け取れるようにする」という内容の法案を提出し、今年11月24日の議会にて可決し、生理用品を必要とする人が誰でも無償で手に入れられるよう、地方自治体に法的義務を課したという経緯があります。

法案はこちら
Period Products (Free Provision) (Scotland) Bill

コロナ禍での世界の動き

フランスの取り組み

「フランス政府は昨年2020年末、ホームレス女性や刑務所にいる女性を対象に、生理用品を無償とすることを発表。さらに今年2月末には、全国の学生にも無償で配布すると発表した。」 
「大学の健康課では生理用品の無償配布機の設置が進められた。9月までには全国全ての大学に1500台設置される予定だ。」
「また、困窮している女性に限って、自分からは生理用品の無償配布イベントに来場しないという実態も明らかになった。彼女たちの多くは、ネット環境が悪い地域に住んでいて情報を逃しがちなうえ、「貧困プラス生理」という精神的に落ち込む状況が重なって、わざわざ人目がある場所に助けを求めに行くのを避ける傾向があるからだ。」
                      出典:PRESIDENT Online

ニュージーランド
2021年6月「生理の貧困対策」として全ての学校で生理用品を無料配布することを発表しています。

他にもイングランドの全ての小中学校に無料提供制度が導入され、アメリカの一部の州でも学校での生理用品の無料提供を義務付ける法案が成立しています。

日本でも声が上がる

#みんなの生理の谷口歩実さんは、大学生の時に署名サイト「change.org」で「生理用品を軽減税率対象にしてください!」という署名を立ち上げ、2021年7月13日時点で約7万2千人の賛同が集まっています。昨年の10月1日には、与党・公明党に署名を提出しています。

12歳で初潮を迎え、50歳で閉経するまでに毎月5日間生理があると仮定した場合、月経のある人は一生涯で456回、2,280日間(およそ6年半)も月経を経験することになります。毎月の生理で使う生理用品代を1,000円だとすると、負担は一生涯で「45万円以上」にものぼります。これは生理用ショーツ、痛み止め、ピルなど月経に必要なその他のものを除いた額です。生涯45万円も負担する生理用品に、さらに日本では現在10%の税金がかけられています。生理のある人は、ない人に比べ、生涯で50万円近くも多くの負担を強いられているのです。
Change.org

この他にも、各地で個人からスタートする呼びかけが多く見られ、すでに署名されたり、賛同、応援されている方もおられるのではないでしょうか。


日本における行政の生理用品無料配布の取り組み

日本の現状はどうなっているのか、改めて調べてみました。

生理用品を十分に手に入れることができない、いわゆる「生理の貧困」をめぐり、生理用品を配布するなどの支援を行うか、検討している自治体は今年の5月の時点で少なくとも255だそうです。とはいえ、配布した生理用品は、防災備蓄を使ったケースが184件で、予算措置で確保したケースが55件、企業や住民からの寄付を活用したものも44件で、すでに実施されている取り組みに合わせて、が多いのかもしれません。

内閣府の担当者は「結果を踏まえ、多くの自治体でこうした取り組みを広げてもらいたい」と話す。丸川珠代・男女共同参画相は28日の閣議後の会見で「困難な状況にある女性、女の子をしっかりと支援できる政策ツールを、ニーズに即した形で備えていきたい」と話した。
朝日新聞DIGITAL


中国地方の取り組み(2021.5.17時点)

「お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」の問題が注目される中、中国地方の全54市のうち、無償配布しているのは倉敷、鳥取、米子の3市にとどまることが16日、中国新聞の調査で分かった。」  中国新聞デジタル
経済的な困窮や親のネグレクトなどが原因で生理用品を十分に手に入れることができない「生理の貧困」に直面している人は、新型コロナウイルスの経済的な影響が長引く中、若い女性を中心に一定の割合に上ることが複数の団体の調査で明らかになっています。
NHK MEWS WEB

金銭的な話もあるけれど・・・そもそも生理って辛い人は本当辛い

女性同士なら生理のことを理解し合える??そんな風に思う男性も多いかもしませんが、女性同士でも、一人ひとり全然違う。滅多にしんどくならない人もいれば、吐くほどにしんどい人もいたり、数日立てないくらいに痛くてしんどくて・・・となる人もいるし、大げさではなく倒れる人もいます。それも、毎月だと思うと、生物としての現象だとしても、その辛さと共に生きているだけでもすごいことと思います。生理の辛さは自分では選べないし、持って生まれた体質もあります。そういうわたしも、相手に気遣えているかと言われると、配慮が足りてないかもしれない。

【調査結果 概要】
​7割以上が「生理は仕事や家事に影響がある」
8割以上が「女性同士でも生理のことを理解しあえるとは限らない」
約7割が「男性は生理のことを理解していない」
8割以上が「男性に生理をもっと理解してほしい」
8割以上が「生理に関する教育は足りていない」
PR TIMES


自分の中のアンコンシャスバイアス

無償化になったこと自体に驚いたことではなく、自分の中に、そんな発想がなかったことがショックでした。小学校の時に生理について学び、生理用品の使い方を知ってから、「自分が使うものだから自分で(家庭のお金で)買う。」のは当然のこととして、生理用品を購入するために何十万円もお金を使ってきました。月に1回の生理の日には、周りに迷惑をかけないようにとすら思って生きていたことを振り返って、これまで受けてきた教育や環境から受けている、自分の中のアンコンシャスバイアスがまだまだあるのだろうと感じて体が硬直しました。

社会が「Well-being(「良い状態」「心地よく過ごせる状態」)でになるために」まずは、社会を構成している一人である自分自身が「良い状態」「心地よく過ごせる状態」になる必要があると考えます。そう考えると、まずは、「自分がどんな時にWell-beingな状態だと感じるのか」を自己認識する必要があります。自分を犠牲にしている人が、人の/社会の幸せを考えられるかというと、言っていることとやっていることがズレていると思いませんか。さらに、自己認識するだけではなく、「自分がどうなりたいのか」「Well-beingであるためにどうして欲しいのか」を伝えられて初めて、相手からみてどうして欲しいのかが伝わる可能性が生まれてきて、スタート地点。それを、一人ひとりができるようになってきたら、ようやく「わたしたちのWell-being」について対話できるようになります。

自分の中のバイアスと以前よりも向き合うように

ここで、ジェンダーが考えやすくて例に挙げてしまうのだれど、 
ー例えば、子育てで苦労するのはお母さん(だいぶ変わってきていると思うけど、例えば、保育園探したり、抱っこ紐を選んだりするのは女性側という家庭はまだまだ多そう。一家の大黒柱がお母さん側というのも「すごいね」と言われるの対象だったり)、女性が管理職になろうと思ったらとっても優れた人でないとなれない(男性はそうでもないのに(ちょっと言い過ぎかもしれないけれど))、婚姻時に姓を変えるのは女性/結果として子供は父の姓を名乗る・・・

女性側にある生きづらさにフォーカスされ始めた。ここから、仕組み自体が変わるまでに、どれくらいかかるのだろう。言い方は悪いかもしれないけれど、男性老人会のような集まりの政治のみなさんが取り組んでいる間は、正直な気持ち、自信を持って自分の子供に「大丈夫。変わるよ」と言えないかもしれないな。同時に、これまでの当たり前の中で何十年も生きてきた男性側が変わろうとする時にも、自分に染み付いた習慣や言葉を変えていくのに、少なからず痛みというか、気遣いや苦労もあるんじゃないかと思う。それは、気づいた人は得に。(気づいていない人、自分は大丈夫と思い込んでいる人はこの領域にいくことはない気がする)

子供に、なんでお母さんは何もしてこなかったの?と言われないように。
何より、自分が心地よいと思える社会で生きていけるように、自分の生き方を定期的に棚卸ししながら、できることがらやっていきたいな、なんて、言葉にするのは簡単なんだけど。

ひとまず、私の選択として、子供を生みながら一家の大黒柱をする。出産してもやりたい仕事を続ける。自己実現は手放さない。という背中を息子、娘に見せられるようにしていこうと試行錯誤中です。


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