エデュコレインタビュー:出展団体⑩【京田辺シュタイナー学校】
こんにちは!
今回のエデュコレは、関東,東海,関西,九州の4地域で開催し、インターン生も多様な地域から集まってます。このnoteでは、インターン生が出展団体さんに赴き、インタビューをしてきた記事をUPしていきます!
記事を見て、出展団体さんのことをイベント前に知ることで当日がより充実した時間になるかと思います。また、今回参加できなくても、興味・関心のある団体や学校はきっとあるはず。このインタビュー記事が、その団体の活動をより詳しく知る機会にもなればと思います。
是非チェックしてみてください!
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今回は、 京田辺シュタイナー学校の内海真理子(うつみまりこ)先生にお伺いしました!
ーシュタイナー学校とはどのような学校ですか?
内海先生:シュタイナー学校は、ドイツのルドルフ・シュタイナーが提唱した「教育芸術」の考え方をもとに、子どもたちが「自分らしく生き生きとした生活」を送れることを目指しています。実は、今年の9月で初めてシュタイナー学校ができて100年目になります。
今、世界中で100周年のお祝いをしていて、うちの学校の高等部の生徒もその一環として、ドイツに太鼓の演奏をしにいきます。
現在シュタイナー学校は世界中に約1200校あります。初めはヨーロッパが多かったのですが、アメリカ・オーストラリア、近頃はアジアでも広がってきています。そのどの学校でも、京田辺シュタイナー学校もそうですが、「こんな学校が欲しい!」と思う保護者と教員が協力して設立してきました。
今年100周年を迎えたことは、「どうしてこんな学校が欲しいと思うのか?」「ここから先の100年、どんな教育が必要なのだろうか?」ということを改めて考えるきっかけになっています。
ー京田辺シュタイナー学校ではどんな授業をされていますか?
内海先生:他のシュタイナー学校でも共通ですが、子どもたちの成長や変化に合わせてその時に必要な内容を与える授業を行なっています。具体的な授業の内容は、担任の先生が自分で考え作っていきますが、授業を作る軸としているのが「子どもの成長」です。
子ども時代の成長って、身体だけでなく、内面的にも心が大きく育っていきますし、色々な物事を考える思考の力も育っていきますよね。シュタイナー学校では、そういうことももちろん大事にしていますし、同時に子どもたちが「自分の感覚で物を感じ取る力」や本当にちゃんと「物を見る力」なども必要だと考えています。
これらを意識し、子どもたちが本当に感じていることを自分自身の力で発言したり、表現したり、誰かと協力し合いながら物事を進めていける力を身に着けるために、どのような教育活動が必要なのかを日々考えながら授業をしています。小学校1年生と高校1年生では授業方法も当然異なります。
京田辺シュタイナー学校は、12年間一貫校ですが、子どもの年代によって大事にすべきことも変わるので、そのあたりには気つけています。
例えば、1年生や2年生などの小さい時は、先生と一緒に何かをすることを主にしています。真似をする、模倣するというのも小さい時には大事な学びです。そんな時期にあまりにも色々なことを考えさせたり、暗記をさせるということはしません。小さい時には小さい在り方で、たっぷり感覚を育てていくことを授業でも意識しています。
そこから8年生までは、1人の先生が継続的にその子の変化を見ていきます。
9年生(中3)から12年生(高3)までを高等部としていて、高等部になると先生の関わりもそれまでとは全く異なり、子どもたちが自分でやろうとすることをどのように実現していくかを、共に考えるようになっていきます。
授業であろうが、生徒会の活動であろうが、クラブや自主活動も含めて、その時その時の子どもが自分の内側からの力で、生き生きとして、充実しているかを重視しています。
どんなことを生き生きと楽しめるかは、子どもの成長段階で異なっています。
例えば、小さい時は本当にただお話を聞いたり、先生と一緒に何かをすることで生き生きしています。でも、高校生くらいになると、自分の中からやろうと思って向かえればとても充実するし、やらされて勉強していると本当は充実していないのです。
だから、どうしたら生徒が、やらされているのではなくて、自分がやりたいと思ってやれるのかを、すごく考えます。そういう取り組みや授業の方法や教材を一生懸命考えています。
カリキュラムの組み立てについては、1〜2年生で「文字や数」「物語の中の世界」と出合い、3年生で「衣食住の原点」を体験した後、4〜8年生で自分の近いところから少しずつ外に向かって色々なものに出合っていきます。例えば、4年生では一番身近で親しみやすい「動物」について学び、5年生では「植物」、6年生では「鉱物」について学びます。8年生までは、学びは「世界との出合い」です。
高等部になると「現代社会との出合い」が始まります。各教科での学びに加えて、陶芸、木工、園芸、和裁、織物、測量、金属加工、表装などの伝統的技術や文化に触れる授業が組み込まれ、農業生産や福祉の現場、自分で選んだ実際の職場などでの実習もあります。
日本の京都にある学校で行うにはどういう学びが必要なのかもいつも考えます。この気候風土で、この土地柄で学ぶ時に、学ぶ内容はどういうものがいいのか選んでいます。
今回、100周年を迎える際に、世界各地のシュタイナー学校の先生にインタビューをした映像が作られ、その時に「授業のカリキュラムを作る際に、より一般的・普遍的なカリキュラムか、自分たちの土地に合わせた民族的なカリキュラムのどちらの傾向がありますか。」という質問がありました。その時にどこの国でも、自分たちの民族性や土地を意識した授業を行うという回答が多かったです。私たちも京都を意識した授業づくりになっていると思います。
ーシュタイナー教育で1番大切にしていることは何ですか?
内海先生:子どもたちは1人1人違いますが、必ず1人1人何か生きている理由を持って地上にやってきていると思っています。その理由を自分の力で見つけていって欲しいし、その子が持ってきたものを磨いて本当に生きていくことが1番の願いです。
その理由を見つけるために、高等部になると「その子にとって何が1番やりたいことなのか?」を一緒に探したり、話し合いをしながら過ごします。
そして「自分って何だろう?」ということを考えだす高2・高3の最後の2年間には、カリキュラムとしてもそのような主題に対する2つの取り組みがあります。
その1つ目の取り組みが卒業演劇です。卒業演劇とは、最後にクラスのみんなで演劇を作り上げるプログラムです。作り上げる上で、お互い立ち入ったところまで話し合ったり、意見がぶつかり合いながらも、みんなで協力して1つのものを作り上げていきます。
もう1つは、卒業プロジェクトです。自分が現段階で、「これをやりたい!」と思うことを1年半やり続けるプログラムです。卒業プロジェクトは何をやっても良くて、生徒によって様々です。ダンスをやる子もいれば、色んな仕掛けのある絵本を作って子どもたちに読んであげた子もいます。絵本を作った生徒は現在公立の小学校の先生として働いています。
実は、卒業プロジェクトをやり出すと悩むことの方が多いのです。やりながら「自分が本当にしたかったことはこれだろうか?」と壁にぶつかることはよくあります。もし「違う」と思ったら、軌道修正して進んで行きます。時には、テーマ変更もあります。
卒業して歩き始めたときにも、自分の道に迷ったらその時その時に試行錯誤しながら、人生を歩んでゆけばいいということを、彼らは体感しているように感じます。
職業実習や卒業プロジェクトを通して、実際にその分野で働かれている人に会うなどの様々な出会いも得ながら、「自分が何をやりたいのか」を探しつつ、卒業していきます。
ー子ども自身の成長を大切にしながら、向き合っている姿がお話を聞いている中でも伝わってきました。素敵なお話をありがとうございました!
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