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〜エデュコレインタビュー:出展団体④【自由の森学園中学校・高等学校】〜

〜エデュコレインタビュー:出展団体④【自由の森学園中学校・高等学校】〜 

こんにちは!
今回のエデュコレは、関東,東海,関西,九州の4地域で開催し、インターン生も多様な地域から集まってます。このnoteでは、インターン生が出展団体さんに赴き、インタビューをしてきた記事をUPしていきます!

記事を見て、出展団体さんのことをイベント前に知ることで当日がより充実した時間になるかと思います。また、今回参加できなくても、興味・関心のある団体や学校はきっとあるはず。このインタビュー記事が、その団体の活動をより詳しく知る機会にもなればと思います。 

是非チェックしてみてください!
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今回のインタビュは、自由の森学園の中学校長 中野 裕(なかの ゆたか)先生にお話をお伺いしました。


ー本日は、中野先生の数学の授業を見学させていただきます。よろしくお願いします。
校長先生ご本人が授業をされるって、なかなか ないかなと思うのですが…

 自由の森学園では、高校の校長も、私と同じように授業を受け持っています。校長や教頭をしている人こそ、授業を通して生徒と関わり、生徒がどのような空気を持っているのか、自分の肌で感じていないと、ものが見えなくなってしまうと思っています。


ー自由の森学園にはどんな生徒さんがおられますか?

 不登校の経験がある子が比較的多いです。だいたいクラスの2~3割くらいがそういう経験を持っています。さまざまな事情を抱えている子がいますから、「ためてきた毒を出す」ことをしないと、なかなか自分を解放していくことができない子もいるのです。大人や学校への不信感を持ったままの子も多くいるんです。しかし、自由の森学園で過ごすうちに、子どもたちがこれまで経験してきて身体に染み込んでいるものが、段々と抜けていくんですね。たとえば入学当初は職員室に入ってくる際、ドアをノックして、「失礼します」と言うわけですが、そのうちドアをぶわぁって開けて「ねぇねぇ」と入って来たりするようになります。礼儀作法云々を気にする大人もいると思うけれど、そういうことは私自身はあまり気になりません。その子自身がどういうことを考えていたり悩んでいるのかということを話しやすくするために、学校の中にある様々ないらないものを、なるべくなくすというか、作らないようにしています。

―高校卒業後の進路はどのように決めますか?

大学進学を希望する生徒も多いですが、大学名で進路を決めるという生徒はあんまりいません。「○○大学にいくために△△をしなきゃだめ」というよりは、「どういう生き方をする大人になりたいか」というイメージをまず持つことが大切です。そのために、卒業生を呼んで、いま自分たちがどんな経験をしてきて、いま何に向かっているのかということについて話をしてもらったりしています。そういう人たちの話を聞いたりして、自分がどんな大人になりたいのかをイメージし、どんな仕事をしたいのか、そのためにどういう大学や専門学校に行くのか、そのようなところから自分の生き方がだんだんと決まっていくようです。もともと「生きもの」のことが大好きで、おもしろい研究をしている大学に行きたいと、自分の興味関心から決める子もいます。
卒業生の特徴のひとつとして、ぎゅーーっと自分のやりたいことを絞っていった結果、研究者になるというケースは結構多いです。やりたいことを突き詰めて行った先に、知らない間にそういう世界に入っていく人は多いのかもしれません。


ー中野先生はなぜ自由の森学園に?

私もここの卒業生なんです。当時はピアノに狂っていて、絶対に音楽大学に行くんだと思っていました。しかし、どうも音楽でやっていくのは大変そうだと思ったのと、自分が習えば習うほど直されるので嫌になってしまって。そこで、もともと好きだった数学の方に進みました。大学卒業後は、大学院に進学し、数学の研究をやりたいなと思っていた矢先、自由の森学園での非常勤講師の話がやってきました。学校で教員になることはまったく考えていなかったのですが、自由の森ならおもしろいかもしれないなと思い、飛び込みました。

自由の森学園創立にかなり影響力をもった数学者の遠山啓さんの著書に、同じく数学者の森毅が書いた「あとがき」があります。
『遠山から教わったことに、本を書くときに気を付けないといけないのは「何を書くのかではなくて、何を書かないでおくかが大切」ということだ』と。
この言葉はとても深いなと思っています。教師はどうしても生徒に教えたくなるので、授業の中に、情報をたくさん詰め込みがちです。しかし、「何を教えるのか」ではなく「何を教えずにおくか」という、生徒が考える余地を残しておくことが、すごく大切なんだとこの文章を読んで気づかされました。

ー中野先生にとって教育とは?

 自由の森学園の教育活動は、農業に近いと思っています。効率よく収穫をするために化学肥料や農薬を使ったり、光合成させるためにLEDを当てたりするのではなく、非効率であったとしても有機農法のような方法で、子どもたちがじわじわと育つのを待ちます。

 生徒にこうなってほしい、こうなっていくんだろうなという思いは3つあります。
 まず、身を守るための嘘をつかないこと。子どもたちは入学当初は、自分の身を守るため、何か悪いことを隠すために嘘をつくんですが、自由の森学園で過ごすうちに嘘をつくことがなくなっていきます。2つ目は、他者との比較の世界に身を置くことについて、意味を感じなくなっていくこと。3つ目は、人のことを許せる人になること。排除をするのではなくて、わかろうとすることです。

 今の世の中に足りないものは、こうしたことではないかと思っています。足りないから、こんなに包容力のない社会になっているような気もします。人を育てるということは、むずかしくてとてつもなく大きな働きかけですが、そもそも「こういう方法をとると、こう育ちます」と、はっきりいえるものではない。大人が一方的に何かをするのではなく、土や太陽や雨のように、様々な環境に影響を受けて、子どもたちは育っていくのではないでしょうか。その場の力を使いながら、子どもたちは勝手に育っていくところもあります。


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ありがとうございました!
これからも、色々な団体さんのインタビュー記事を載せていく予定なので、是非チェックしてみてください!
このnoteのインタビュー記事を読めば、もともと興味があった団体さんのことを、より詳しく知ることができ、また、自分がこれまで未知だった分野や団体のことを、新しく知ることもできます。
まさに⦅多様な教育⦆を知るきっかけになるのではないかと思います。
ご期待ください。

自由の森学園さんのHP:https://www.jiyunomori.ac.jp/

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