〜エデュコレインタビュー:出展団体⑦【てんぱくプレーパーク】〜
こんにちは!
今回のエデュコレは、関東,東海,関西,九州の4地域で開催し、インターン生も多様な地域から集まってます。このnoteでは、インターン生が出展団体さんに赴き、インタビューをしてきた記事をUPしていきます!
記事を見て、出展団体さんのことをイベント前に知ることで当日がより充実した時間になるかと思います。また、今回参加できなくても、興味・関心のある団体や学校はきっとあるはず。このインタビュー記事が、その団体の活動をより詳しく知る機会にもなればと思います。
是非チェックしてみてください!
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てんぱくプレーパークのプレーワーカー雪岡さんと、役員の渡辺さんにお話を伺いました。
ーてんぱくプレーパークはどのような活動をされているか、教えてください。
雪岡さん(以下雪岡):火曜から金曜の10時から17時までの週4日と、第3土日に開園しています。
てんぱくプレーパークは、“なにをしてもいいし、なんにもしなくてもいい。なにもないけどなんでもできる場”です。わたしはプレーワーカーとして、ここに来ているみんなの「やってみたい」ということが実現できるような環境を整ていくことが仕事です。子どもたちがやりたいこと、子どもたちの発想の方が敵わないくらいおもしろいので、それに追いつけないだろうけどもそれが実現できるような環境を考えていくって感じですね。環境というのは、ものだけじゃなくひとも、雰囲気も。意識していろいろ試しています。
ーてんぱくプレーパークでは、子どもたちはどんな風に過ごしていますか?
雪岡:耐火煉瓦のところで火を焚くこともできるし、水道を使って遊んでもいるし、木の小屋の中にある工具を使って工作することもできます。近くに木材を扱っているお仕事をされている方が木材を寄付して下さるんです。
スチール小屋には調理器具が入っているので、子どもたちが材料を持ってきて「何か作りたい」となれば作ることもできます。火を焚いておたまとお砂糖と水でべっこうあめを作ったり、網を持ってきて網に自分の持ってきたお菓子をこげこげにして食べたりも(笑)。
雨の日は人数が少ないんですけど、小屋の中でゲームしたり食っちゃべったりっていう感じですね。ごろーんと漫画読んでいる子もいれば、あちこちいって遊んでいる子もいれば、ただいまーって帰ってきて釣ってきたザリガニを見せてくれたりもします。
子どもたちが思いついた名もなき遊びは、日常にあふれていますよ。
木材で子どもたちが自由に作っていく
ープレーワーカーをするうえで大事にしていることはありますか?
雪岡:手出し口出しをすると子どもたちのやりたいことを止めてしまうので、あえてなにも言わないのが一番いいと思っています。でもいつでも声かけてくれてもいいっていうスタンスでいます。もともと保育士だったので、無意識に子どもに話しかけていたり、“やってあげている”こともあったりするみたいで。「ちょっと引っ込めてもいいんじゃない?」ってみんなに客観的に止めてもらうこともあります。
子どもたちが盛り上がってるときには一切大人はいらないんですよね。合いの手もまったくいらないくらいなので、そのときは遠くに行きます。
お母さんの中でも、育児にしんどそうで声をかけてくれる人はそのまま一緒に話したり、遊びに来ているお母さんと一緒に輪を作って話したりもするんですけど、ちょっとしんどそうなお母さんには声かけずにそばにいくとか、そんなことも意識しています。
渡辺さん(以下渡辺):(プレーワーカーは)環境を整えるのが仕事。子どもたちが本当に夢中になれる状態をどこまで作れるか。場所が安全かどうかから含めて、地域の方との交渉だったりとか、お母さんのそういう姿に寄り添ったりだとか、すごく専門性が求められる大事な仕事だと思います。ただ、なかなかそうは評価はされていないので、それだけの賃金もお支払いできていません。そういう意味では負担かけている部分はたくさんあるんですけど、みんなで力を合わせてやってもらっている感じですね。
ーおふたりともてんぱくプレーパークに惹かれてこの近くに引っ越して来られたとのことですが、どんなところに魅力を感じられたのでしょうか?
雪岡:わたしは(もともと住んでいたところが)同じ区の端っこなんですけど、息子が3歳前くらいにここに来て、「変なとこ」って思ったんです(笑)。いる人も場所も、「なんだここ?」って思ったんですけど、なんか楽ちんだったんでしょうね、きっと。
ここにきてるお母さんたちもとってもおもしろかったし、なにしてもいいっていうのが楽だったのかもしれない。わたしがどういても、なにも言わない。
子どもは地域で育つと考えているので、息子が自分一人でもここに来れる場所に住むところを考えたかったのもあったし、それこそわたしも「息子とじゃなくてもここに来るだろうな」っていう感覚があったので、近くに引っ越してきたんです。
そうやって息子と遊びにきていたところから、支え手になって、役員になって、今はプレーワーカーです。
渡辺:子どもを産んだ時に住んでいたところがたまたま高級住宅街だったんです。休み明けには「海外はどこに行ってきたの?」って言われるようなところで、これはちょっと無理だなと。ここに来て、ここってこぎれいじゃないし、当時のプレーワーカーは、今は森のようちえんをやってるひとなんですけど、見た目がすっごい怪しかった(笑)。入りにくい感じは今よりもっとあったんですけど、なんかね、自由な風が吹いている感じがすごいするんですよね。息苦しくないというか、それが心地よくって…。
どうしても、ちっちゃい子とお母さんだと公園の中でも張り付いていなきゃいけない。「それしちゃだめよ、ごめんねは?」とかっていうことを言わなくて済むっていうことが、わたしにとってはすごく大きくて、ここで子育てしたいなと思うようになりました。
ー保護者の方にとっても、居場所になっているんですね。
渡辺:わたしはここにきて子どもと離れて、大人だけでお茶できたのがすごくほっとしたんです。子どもと離れて、といっても、そこらへんだよ。でもぴたっと張り付いてなくていいっていうのが、本当に気が楽になって、あぁよかった、と。それくらい追い詰められているお母さんもきっといっぱいいると思うんです。しんどいとか、苦しいとか、どうしたらいいのかっていうのがなかなか言えないのは、もしかしたら昔よりも大きいのかもしれないですね。
雪岡:お母さんたちはそういうしんどいところを見せちゃだめって思ってるのかもしれないですしね。気を張ってたり、キラキラしているところを見せたい、見せないとと思ってるのかもしれないけど、全然そんなことはないんですよね。「わたしもそんなことあった、あった」というような話をするとホッとする顔を見れるので、それだけでも全然違うのかもしれません。
渡辺:結局なにしてもいい、なにしなくてもいいっていうところが大人にとってもすごくほっとする場所だと思うし、今の子どもたちにとってすごく大きいかなと思います。子どもたちへの必要性は、もしかすると前よりも増しているのかもしれない。このあたりに住む子は習い事してる子がすごく多くて、子どもたちが遊ぶ時間がない。“遊びこむ”っていう経験が減っているような気がしています。遊びが本当に大事なんだっていうのをどうやったら伝えていけるのだろうってことは今すごく考えるようになっています。
てんぱくプレーパーク内「冒険の山」
ー「学び」とはどういうものだと思いますか?
雪岡:学校でも塾でも習い事でも受け身になってしまうけれど、ここはやらなくてもやってもいいっていうところから自分で考えて、それに応じた結果とか過程とかが出てくる。ここは自分で考えてなんでもできるので、子どもたちの本当は持っているおもしろさとかが発揮されて、自分の中でも確認できると思うんですよね。でも、さっき渡辺さんが言ったように、“遊びこむ”時間がない。本当はもっと暇でないとおもしろいことを考えつかないし、考える時間がいくらでもあるよっていう状態だと、本当に楽しそうにするんですよね。
プレーワーカー仲間の声なんですけど、「小さいころから英語とかを覚えることはできても、それを自分で工夫して自分で使いたいように使うってのはなかなかできないんじゃないか。本当に自分がやってみたいときに、じゃあやってみる?っていう環境を用意する方が、子どもにとっておもしろく自分で使っていけるんじゃないか」って。習い事をやるにしても、自分のやりたいことと習い事の中身が合致していくような、自分で自覚できるような選択ができたらいいなと思います。
渡辺:狭い意味で言うと「プレーパークは遊びだ」っていう見方もあると思うんですけど、でも、いろんなところに学びっていうのあるはずですよね。ここは、今はなかなかできない、自然を相手に遊ぶことができるっていう意味ではすごく大きい学びの場になっているのかなと思います。「学校ムリでもここあるよ」という視点からも言えるし、たとえばフリースクールがここにきて遊ぶこともできる。そういった繋がりももっとできたらいいなと思っています。
ー「自由な遊び場」であるプレーパークが社会にある意味は大きいですね。
雪岡:昔(私たちが子どもの頃)はもっと子どもたちや、子どもたちの遊びに対して向ける目があたたかくて、笑いながらうまく見て見ぬふりをしてくれていた。周りの大人や社会もいまより緩くおおらかだったのではと思います。それこそ、プレーパークがなくても遊べたけれど、今は「ここで遊んじゃいけない」「あぶない」「きたない」とか大人の監視の目がある。そういう意味では今はまだプレーパークが必要かなと思います。
渡辺:今子どもたちは学校にすごく縛られていると思います。本来は子どもの味方であるべき親も、学校の味方にならないといけないようになって、子どもたちの遊ぶ時間が一番削られてきているんじゃないかと思うんです。そうじゃない子育てもあるよってことをもう少し伝えられるといいですね。わたしたち自身が楽しみながらやっていけたらいいなと思っています。
ーありがとうございました。