世の中を変えるようなプロダクトは一朝一夕では創れない。 「10年戦える組織」を創っていく。 / 第3回 #with_horie
dely社内のキラリと光る人材にフォーカスを当て、代表の堀江と仕事における哲学を語る「#with_horie (ウィズホリエ)」。
第3回目はdely開発部ゼネラルマネージャーの奥原 拓也(通称・おっくー)@okutaku0507 をゲストにお送りします◎
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堀江:おっくーがdelyに入社した時期はたしか2016年頃でしたよね。入社前はどんなことをしていたのですか?
奥原:入社した2016年9月当時のdelyは社員数が5-6人で、僕はCTOの次の2人目のエンジニアでした。delyに入る前は、大学時代はプログラミングの受託会社でアルバイトをし、その後大学院に進学してバイオ系の研究をしていました。
堀江:バイオ系の研究とうちの会社でやっていることは全然違うと思いますが、なぜdelyへの入社を決めたのですか?
奥原:もともと学生の時から自分でwebサービスを立ち上げたりしていたので興味もありましたし、強い可能性も感じていました。あとは大学院に進学して半年くらい経った頃に以前から知り合いだった柴田さん (現執行役員) にdelyや立ち上げ期のクラシルの話を聞いたり、堀江さんやCTOの大竹さんと話したりしたことも大きかったような気がします。 もともと人々の生活に根付いたサービスをやりたいという思いもあったので、クラシルや会社にとても興味を持ちました。大学院も退学してdelyに来たのですが、正直最後は勘ですね。
「コードを書けるだけじゃない」スキルとは
堀江:僕は、プロダクトづくりにおいてエンジニアの技術力はサービスの成長と相関性があると思っています。0→1でプロダクトを作ってリリースするのは一見難しいように見えますが、できる人も最近増えてきていますよね。
奥原:そう思います。0から1でプロダクトを作る際には、世の中に受け入れられるかが一番大切なので、コードの綺麗さというよりとりあえず動く状態をいかに早く作るかが重要になってくると思います。
一方クラシルくらいユーザー規模が大きく長く運用されるプロダクトになってくると綺麗なアーキテクチャーであったり、大きなトラフィックをさばく技術、チームで開発するためのコードの綺麗さも重要になってきますね。最近delyではエンジニアに対して、「コードが書ける」といった単純な技術力の一歩先をいくことを求めています。なかなかそのような人材っていないのですが。
堀江:「コードを書けるだけじゃない」というスキルは具体的にどのようなスキルだと考えていますか?
奥原:コードやプログラミングを使って何をするか、ということを考えられるスキルかなと思っています。delyの開発部ではそれを課題解決型組織と呼んでいて、ユーザーやビジネスの課題から仮説をたて、その課題を解決するための開発をするようにしています。
誰かに言われた通りに実装するだけだと、課題の解決につながらないことの方が多いですね。
堀江:昔おっくーはCMに対してのサーバーの負荷とか調整を頑張ってくれていた印象があります。別にお金をかければサーバーを落ちないようにはできるけれども、ベンチャーということもあってサーバーの設計をギリギリのコストで設計していたのも懐かしいですよね。当時、技術力が自分でもあまりなかったと言っていましたが、その中でもやってきて良かったこと、当時やったからこそ今が楽だ、というようなことは何かありますか?
奥原:テストコードを書いていたことでしょうか。入社して最初にやったのがテストを書くということでした。ベンチャーあるあるだとは思いますが、テストコードが書かれていないケースが結構多いです。テストコードを書いていないと、コードの変更をした際に果たしてそれが本当に正しい挙動なのかがわからなくなってしまったり、バグの連鎖を生んでしまって、開発のスループットを落とすという結果になりかねません。
堀江:おっくーが入社した時はアプリリリースとして2ヵ月という、スケールするかもわからない時期でした。その時期にスケールに対応できるようなコードとか開発環境を揃えることは会社にとって非常に価値があったかなと思います。仮に書いていなかったら、組織人数が増えた時にスピードが遅れてたかもしれないですね。
dely独自の開発部の文化や特徴
堀江:当時から変わっていない、うちの開発組織の文化や特徴はありますか?
奥原:プロダクト第一なところでしょうか。あとは開発部主導で意思決定がされることが多いのは、とてもいいなと思っています。クラシルが誕生した2016年より前は堀江さんがディレクションに入って開発の優先順位も決めていたと聞いていますが、2018年頃に大きい組織変更があり、現状アプリとWebの開発をみるようになってからはかなり権限移譲もしてもらってるなと思います。
堀江:他にもアドネットワークとかプレミアム会員施策など、開発チームが実際売り上げを直結して作っているというのも非常に大きな特徴かなと思っています。そういう点でうちの開発チームは、ただ作ればいい、というスタンスではなく、ビジネスのことも考えていますよね。
奥原:そうですね。他部署とのコミュニケーションもかなり頻発するのは他の会社の開発部のありかたとは違う点かもしれませんね。
「10年戦える組織」を作っていく
堀江:うちの開発部のKPIマネジメントが組織内できちんと行われているという印象がありますが、どのようにメンバーと共有しているのですか?
奥原:毎日、自動でslackの全員が入っているチャンネルに通知しています。また毎週、開発部全員参加の定例ミーティングを開催し、そこでKPIをチェックしています。全員が把握しているからこそ、部署内で意思決定をしたり、優先順位を決めることができているのだと思います。
堀江:外から見るとdely自体の人員がとても多くいるように見えるそうですが、実態は料理コンテンツを作っている人員が多いだけで、開発チームは少数精鋭でやっていますよね。
奥原:そうですね。開発チームは技術はもちろんですが、1番重要視しているのは、カルチャーです。技術面でお断りしている人ももちろんいますが、技術がどんなに優れていても「この人と一緒に働きたいか?」という視点で見て、お断りしているケースも多くありますね。
堀江:今、うちのエンジニアは若いですが、toC向けのサービスをやっていることもあり、自分たちでグロース施策を考えて動ける優秀な人が多いと思います。他社だとグロースハッカーやマーケターがいるケースが多いと思いますが。
奥原:みんながみんな色々なプロダクトを触って、情報を共有していることが大きいと思います。
堀江:本音はもっと触れ、とも思っちゃいますけどね(笑)グロースにおいて何が大事かというと、世の中で大抵のグロースハック施策が出揃っている中で、他社からどれだけ学べるかや、あらゆる情報を見た時に自分の持っている仕事の中でどれだけ活かせるか、というアンテナを常に持っているか、インプットを転用できる掛け算ができるかだと思いますね。
そういえば、僕らの根本の思想の「やらなかったことによる、その施策を試すことができなかった期間を後悔した方がいい」「わからない変数を減らせ」ということはリリース1,2年はよく言っていた思い出があります。
奥原:早くチャレンジする、ということは今でもやっていることだと思います。
ABテストで切ったり、自社基盤で分析基盤があるが故に、機能ごとのユーザーの行動の違いを分析することができます。
堀江:今後、開発チームとしてクラシルをどれくらい研ぎ澄ませるか、ということが1つポイントになっています。UberやAirbnbなどの偉大なプロダクトは10年とか改善し続けていますよね。それに対して、うちはまだ3年経ってないくらいです。まだ3年しか経っていないと考えると、ここから本当に戦いが始まるように思います。
ベンチャーでジャイアントキリングをしたい場合、ABテストや細かい改善を10年やっていても到達しないラインとかが見えて来てしまいます。細かい施策の積み重ねではプロダクトの数字を10倍、20倍にするのは難しい。
最初の成長率が高い時期はリリースをして嬉しい、CM打って嬉しいという簡単に得られるアドレナリンを得て、やり切ったと思ってみんな辞めてしまうと思うのですが、僕はこのプロダクトをグローバルでも使ってもらえるようなアプリにしたいと思った時に、やっぱり本当に研ぎ澄まして、ここにフォーカスして開発するという執着みたいなところが大事だなと思います。そこに執着できる組織を作りたいし、そのために素晴らしい開発環境とか、チーム、カルチャーを一緒に作りたいと思っています。
奥原:DeNAの南場さんの言葉を借りて言うと「コトに向かう」ですね。自分の技術力を伸ばしたいという思いはもちろんあるのですが、最終的な目標としてクラシルをグロースさせたいと思っている人が多いと思っています。そしてその中で技術的な壁にぶち当たって、結果自分の成長にも繋がっていくという。
堀江:クラシルもユーザー側から見て、ただの料理サイトに見えるけれど、裏側ではとんでもない試行回数ととんでもない工夫をし続けている。だからこそ競合しそうな他社がやってきても最近自信を持って堂々と横綱相撲できる、というかどんとこい、という感じですね。最後に、今後PMとしてどんな組織をつくりたいか教えてください。
奥原:「10年戦える組織」を作りたいですね。
人材が流動していく中で、10年戦える、かつ10年プロダクト開発し続けるくらい気概がある組織にしたいです。そのために僕らも素晴らしい組織を生み出せるような環境を用意したいし優秀な人材を集め続けることが大事だと思います。
そして、個人が掲げる目標も実現していける組織にしていきたいと思っています。一番は皆が楽しく会社に来れるにすることに尽きます。
堀江:1000メートルの山を10回登る人はたくさんいますが、10000メートルの山を1回登った方が明らかに得るものも希少性が高い。
だから細かい山をたくさん登るより、人生短いからこそ一点突破して、後世に残るようなものすごい大きなプロダクトを作りたいという人と働きたいですね。
今後の会社としての組織作り
奥原:逆に、堀江さんは今後、会社としてどういう組織を作っていきたいですか?
堀江:成功の再現性が高い、力強い組織にしたいですね。実はアイデアって割とコモディティ化していて、世界中で似たようなアイデアを作っている人はたくさんいるけど、正しいことをやっていたらぶちぬける、という感覚があるので、これがクラシルに留まらず、何回も何回も0→1繰り返しても勝てる組織は作りたいです。
奥原:やっぱり世の中に対して「これ当たるかも」みたいなところをいち早く試し、飛び込める組織を作ることが大事ですね。
堀江:そうですね。考えて仮説検証してヒアリングしているよりも、作ってしまってユーザーに当ててから自分たちが感じることの方が明らかに得るものは大きい。
僕が考える優秀な人は仮説検証を頭の中で考える人よりも、つっこみ力がある人。
奥原:開発組織もそうあるべきかなと思っています。机上の空論をみんなで話すより、ユーザーに当てみることを率先してできる組織、そしてかつ、失敗に対してそれに対して責めない、それを賞賛できる組織を作っていきたいと思っています。
堀江:10個やってみたことの中で1個当たればいいと思います。大事なことはその9個の失敗からなにを学べるか、ということです。考えるより動け。
頭のいい人がどんどん突っ込んでいって改善を繰り返せば完全に強い組織になるので、それを繰り返していけばいいのかなと思います。当たり前のことを当たり前にやるけれど、今の自分の課題に仮説をもって検証し続ける人は成長しますね。
奥原:それはプロダクトだけではなく技術もそうですね。知見を得てあらゆる手を試し、実際にリリースして、検証して、みたいなことを高速にできる人。
これからも、ただ単に言われたものを作るだけではなく、課題を自ら発見してチャレンジできる人がどんどん集まってくるような組織作りをしていきたいです。
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以上、#with_horie (ウィズホリエ) Vol.3 でした!
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