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「巨大テック企業」 SAPのスポーツ活用①創業期

<「巨大テック企業」SAPのスポーツ活用>

はじめに 
創業期:ERPパッケージを開始した時期 ◄本記事
成長期:ERPパッケージでグローバル展開した時期
③停滞期:ERPパッケージの限界を迎えた時期
④革命期<前半>:クラウドへの変革を進めた時期
⑤革命期<後半>:クラウドのさらなる進化を目指す時期
⑥日本での活動

今回は、SAPの創業期におけるスポーツとのつながりに触れていきたい。

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まず抑えておくべきことは、SAP創業者達の志だろう。

SAPの創業者は、5名の元IBMのエンジニアだ。

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この5人の創業者のアイデアは下記のようなものだ。
SAP Official Websiteより)

Their idea was to create standard enterprise software that integrated all business processes and enabled data processing** in real time**.

リアルタイムに動く業務ソフトウェアを創る」という明確な志があった。

このリアルタイムにこだわる想いは、SAPが彼らのソフトウェアのクオリティを実証するために、F1やサッカー等のスポーツのリアルタイム性を活用することに繋がっていく

創業期、彼らは、上記の想いを乗せたプロダクトを開発するため、原則としてクライアント企業のオフィスに常駐していた。そうすることで、ビジネスやそのプロセスを深く理解し、ビジネス上必要な基幹システムを統合し、ビジネス価値を向上するITシステム開発に勤しんだ。

そして1973年には「SAP R/1」という、世界で最初のERP※が発売される。数は少なかったものの大手企業を中心に導入されていたそうだ。

※ERP
企業経営に不可欠な基幹システムの集合体であり、それを統合管理することで、情報活用促進や業務効率向上などさまざまなビジネス価値を生み出すためのITシステム

また1979年には、多言語・多通貨を扱った「SAP R/2」が発売され、ヨーロッパ圏を中心にSAPの事業が成長し、1988年に上場を果たすことになる。

このSAPが先駆けとなったERPは、会計・生産・配送・人事といった経営において重要な数字を一つのシステムでリアルタイムに把握することを可能にするのだから、多くの企業にニーズが合って当然である。

スポーツとの関わりに話をもどそう。

上場を果たすまでの1972~1987年の間、実は目立ったスポーツの活用はみられない。創業期の16年間はERPの完成形を開発することにリソースを投下していたのだから、目立ったスポンサーシップ等がないことも当然かもしれない。

一方で、創業者の一人であるディートマー・ホップ氏はこのころからサッカーと深い関係を築いている

ホップ氏は、少年時代にTSG1899ホッフェンハイムのユースに所属していて、創業後も社会人チームで自らプレーをしている。

1988年の上場後、1兆円ともいわれる資産を手にいれたホップ氏は、1990年からTSG1899ホッフェンハイムのパトロンとなり、ドイツ7部~9部の間を行き来するアマチュアクラブを、10年も満たない年月でブンデスリーガへ昇格させることとになる。

<ホップ氏関与後のホッフェンハイムの軌跡>
1990-1991 クライスリーガA[8部]
1991-1992 ベツィルクスリーガ[7部]
1992-1996 ランデスリーガ[6部]
1996-2000 フェルバンズリーガ[5部]
2000-2001 オーベルリーガ[4部]
2001-2007 レギオナルリーガ[3部]
2007-2008 ブンデスリーガ2[2部]
2008-2009 ブンデスリーガ[1部]

このホッフェンハイム、テクノロジーの活用に良って強化されたチームとして名高い。そしてそのテクノロジードリブンな成功の軌跡は、SAPのテクノロジーの力を世の中に伝えることにも役立っている。

しかし、下記の記事でも触れられているが、本気でテクノロジーを導入し、「人と同じくデータを信用する」というマインドチェンジは、どこのクラブもできるわけではない。

ホッフェンハイムにはSAP社のテクノロジー自体はずっと前からあった。しかし、それを使いこなせる人間、さらなるイノベーションを起こそうとする野心のある人間が現ライプツィヒのラルフ・ラングニック氏以降、誰も現れなかったのだ。「サッカー界ではなく、ビジネスの世界では彼のような若い才能に出くわすことがよくある」と評価するナーゲルスマン監督とともにホップ氏がゼロからチームの立て直しを図ろうとしたのも、「テクノロジーの活用」という点で不満があったに違いない。

成功しているホッフェンハイムですら、運営側の人間によってテクノロジーの活用が不十分になってしまうということだ。

確かに、普通のチームであれば、「頭でっかち」とか「経験よりPCの中の数字を信じろということか」という反発が出てくることが容易に想像できる。

しかし、ホッフェンハイムの場合、オーナーであるホップ氏が、テクノロジーを深く理解し資金的な援助をしているだけでなく、何よりホッフェンハイムを愛していることが大きい。

周囲も、少年時代から社会人に至るまでプレーヤーとしてもホッフェンハイムに関わり続けていたホップ氏の言葉だからこそ、「テクノロジーを活用するべき」というシンプルなフレーズを信じられるし、実行できるのだ。

このホッフェンハイムの取り組みがあったからこそ、SAPはドイツ代表やNFLでのテクノロジーパートナーにもなることで、一気にスポーツのリアルタイム性を自社製品のクオリティの実証・PRに活かせるようになっていく。

創業期、スポンサーシップやスポーツチームへ投資等の目立ったアクションは見られないが、スポーツを最大限活用する企業になる素地は整っていたといえるのではないだろうか。

その素地とは、「リアルタイムを追求する明確なビジョン」と「スポーツクラブとの忖度ないリレーションシップ」だ。

<「巨大テック企業」SAPのスポーツ活用>

はじめに 
創業期:ERPパッケージを開始した時期 ◄ 本記事
成長期:ERPパッケージでグローバル展開した時期
③停滞期:ERPパッケージの限界を迎えた時期
④革命期<前半>:クラウドへの変革を進めた時期
⑤革命期<後半>:クラウドサービスのさらなる拡大を目指す時期
⑥日本での活動

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いけぴい(池田 寛人)
気ままに更新をしています。マーケティング、フィンテック、スポーツビジネスあたりを勉強中で、関心があう方々と情報交換するためにnoteはじめました。サポートいただけると力がでます。どうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m