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女性の警戒心

今日は論考の類いはやめて、散文タッチのものを

女性の警戒心みたいなことに関する実話的なおはなしです。

noteとかでおこったはなしではなく、以前働いていたスーパーでのおはなしです。

では、本文

女性の警戒心というのも個人差が相当あるようだ。

自分はむかしスーパーで働いていたが、夜遅く帰るシフトがほとんどだった。

夜遅く人の少ないスーパーの最寄り駅で、自分と二人きりになることがたまにあるある女性はほどなくして、自家用車通勤に切り替えた(スーパーといっても駐車場が複数階あるようなモール店で、自家用車通勤OKでした)

何を考えたのだろう。

そこまでしなくても……と思ったけど

またある女性は、やはり夜遅い駅のベンチで自分が同じベンチに腰掛けると(ベンチはひとつしかなかった)こちらをキッとまるで変質者でも見るような目で睨んで立ち上がり、ホームの前方へ早歩きで行ってしまった。

その女性はあとで同じ部署になり、変質者というような誤解はどうやら解けたようだ(いや、冷静に考えると自分が変質者でないという保証もどこにもないんだけど)

また、逆のケースもある。

やはり夜遅い時間で、23時すぎのはなしだ。

仕事が終って駅へ向かっていると、「プ・プ~ッ!」と車のクラクションが鳴り、何かと思って振り返ると

「木月さ~ん、(木月はペンネームで実名とは違うが)
送ってくよ、乗ってきなよ」と職場の癒し系女子の丸顔の○○ちゃんに声をかけられた。

○○ちゃんは人を緊張させない天才だ。

その当時食品レジをやってた娘だ。

もちろん乗っていくことにした、こんな有難いはなしはない。

当時の自分はたしか36歳で(いま自分はアラフィフです)その○○ちゃんはたしか28歳だった。

自分は日照りつづきの彼女なしで、○○ちゃんは既に結婚していた。

フツーならビミョーに危ないシチュエーションかもしれない。

丸顔の○○ちゃんはブサイクでは決してないが、セクシャルなムードプンプンでも決してなかった。

○○ちゃんは、もちろんおしゃべり好き女子だ。

車中では、旦那がいなければ、わたしあの人を……というような話しを切々と聞かされた。

オープンマインドの人ははなしの内容もオープンだ。

「ああ~、なるほどね」とか適当に相槌をはさんだりして、そのはなしを聞いた。

あの人というのは、そのスーパーで2番目のモテ男だった。

司法試験合格を目指しながらバイトをしていた。

2番目というのは、そのモテ男がスーパーを辞めたあと、それをさらに凌駕する別のモテ男がそのスーパーに現れたからだ。

車中では結局なにも起こらなかった。

深夜23時すぎ、車の中という密室の中である。

自分はそのとき特別な自制心を働かせていたというわけでもなかった。

丸顔の○○ちゃんはひたすらお喋りを続けた。

そういうムードにもそういう気にもならなかった。



そのあとレジ人脈のカラオケに一回呼ばれて、○○ちゃんもいた。

驚くべきことに旦那さん同伴だ。

「だってぇ~、ひとりじゃ行かせてくれないんだも~ん」と少し渋い顔をしていた。

自分は、中島みゆきとボンジョビを歌ってやや浮いてしまったが、いやそれはともかく

警戒心の薄いオープンマインドの○○ちゃんは、旦那さんにしっかと鎖でつながれているようだった。



妹がある日、母にこんなはなしをしていた。

「職場で、新しく来た男の上司が、どこに住んでるのとか聞いてきて、○○っていうと、ああ、あそこね、××とかがあるとこだよねとか言ってきやがって、ぜっていストーカーだよ、気持ちわりい」と言ったので、

自分も加わり

「いや、どこに住んでるの?はよく知らない間柄の最初のはなしの定番のひとつで、それは休日に相手に家のそばをウロウロするつもりがあるというサインであることはまずないよ」と意見した。

自分も職場に新しく入ってきた女性に「どのあたりに住んでるの?」と質問して、やはり、ストーカか変質者を見るような鬱陶しい視線を向けられたことがあり萎えたことがある。

内心、別に仕事が休みの日に、あんたの家のまわりなんぞをウロウロしたり自宅をつきとめる情熱なんかないよとは思ったが

しかし、ものすごい労力を払って自宅を突き止めて相手を殺したりする人がいるのも確かで、そういう例外的なケースのほうが全国ニュースにもなりやすいので、女性一般が「男はすべてそういう種類だ」と考えるのも無理はない。

多分、男性への警戒心は、その人独特の人生経験によって深められていくのかもしれない。

もっとも警戒心というのはひょっとすると、あたまで考えたものではなく、もっと純粋に生理的なものかもしれない。

夜道で前を歩いている女性の明らかな警戒心も、あたまの中で望まない妊娠とか路上強姦のシナリオが浮かんでるというより、なにか蛇を見てしまったときのむずっとくる感じとか、カラスが鳴いてるのを聞いて鳥肌が立ったとかに近いより生理的なものなのかもしれない。

でも、もしかすると本当に哀しいのは何かが起こることより、何も起こらないことのほうなのかもしれない。

いや、路上で強姦されて望まない妊娠をして、ひとりで強姦男の子供を育てることになりましたなんて誰だって嫌に決まってる。

警戒心があからさまな人には聞いてみれば、路上強姦や望まない妊娠までいかなくてもそれ相応のトラウマがあるのかもしれない。

夜仕事が終って、気軽に職場の男性を自分の車に乗っけてお喋りをするオープンな○○ちゃんが人生でより得をしてるのかは何ともいえない。

冷静に考えれば、ニュースや週刊誌でたまに報じられるようなすごいことが起こる確率は低いような気もするのだが、それも何ともいえない。

スーパーみたいな職場に10年以上いたおかげで、いろいろな人を見てきたけど、対人的な警戒心も人様々なのかもしれない。


(あとがき)
論旨も結論もはっきりしない文章ですが、仕事がない日に布団でぐずっていて、10年振りくらいに昔スーパーにいた○○ちゃんを思い出したおかげで出来上がった文章です。
○○ちゃんと相手に直接呼ぶ仲じゃありません。
男性同士で話題になるとき○○ちゃんとなったり、あるいは○○と呼び捨てになります。
向こうから気さくにはなしかけてくるパターンがほとんどだったんで、名前でこちらから呼んだ記憶がほとんどありません。
向こうからはなしかけてくるときは、初期には名前を間違ってることも多く「阿部さん、阿部さ~ん!」「へっ、オレ阿部さんじゃないけど」「え、そうだっけ、なにさんだっけ?」みたいな感じで、いま考えると、あらゆることが不思議に満ちている人でしたが、若くて独身とかだと、やや警戒心バリバリの女性のほうが多い職場だったかな、少なくとも慣れないうちは。

(製作データー)
書き始め 2021年4月11日午前10時9分

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木月まこと
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