今日の(あちこちで起こっているように思える)原価割れ商売について
こんにちは、木月まことです。
今日は、商売の原価割れということについて書きたいと思います。
スーパーなどで売っている商品…カップラーメンですとか、牛乳ですとかトイレットペーパーとかには大抵値段がついています。
この値段(価格)は小売り的にはしばし売値(うりね)と呼ばれますが、商品には大抵の場合、それとは別に原価というものが設定されています。
スーパーなどを始めとする小売店では、ものすごく単純化した場合、売値(売価)から原価を差し引いたものが利益になります。
たとえば、ある商品の原価が50円だったとしましょう。スーパーなどの小売りはこの原価に手数料、人件費などを上乗せしてたとえば78円とかで売るわけです。そうすると28円がスーパーの利益になります。
この利益がなければスーパーなどの小売りは商売上がったりで、品出しやレジの職員に払う給料すら都合がつかなくなってしまいます。
実際の売価と原価がずれてるのは仕方ありません。
この差額を顧客が支払うことによって、遠くの工場で生産されているパンやカップラーメンを家の近くのスーパーやコンビニでわたしたちは手に入れられるわけです。工場直売オンリーだけだったら、わたしたちは電車で3時間くらい移動しないとカップラーメンひとつ手に入らないかもしれません。
(実際の小売り業は、原価と売価のあいだに仕入れ値とかがはいってさらに複雑なのですが、ここでははなしを単純化するため、原価に対する売価という表現ではなしをすすめています)
ふつうは、この様にして、売価を原価より高くして差額を利益としています。
ところが小売りでも原価より売価を安く設定せざるを得ない時があります。
それは、ある商品だけ(たとえばインスタントコーヒー)を特別安くして、それを目的できたお客さんが他の商品も買ってくれることを期待して、結果的に安売りのつじつまを合わせるとかです(わたしもスーパーに結構長く働いていましたが、特売の商品だけ買ってさようなら!という人はゼロではないにせよ、そんなに多くはありません。どちらかといえば、特売の品以外のものも買ってくれる人のほうが多いです)あとは閉店セールとか、ここで売り切らないと廃棄処分にものすごい手間がかかるとかです。
原価割れ商売の苦しいところは、売れれば売れるほど損益が拡大するということです。
普通の商品は原価50円に対して売り値が78円だったら、1個売れれば28円の、2個売れれば56円の、10個売れれば280円の…という具合に利益がどんどん上がります。
ところが原価割れの品はたとえば原価50円に対してそれを下回る36円が売り値だったとしましょう。そうすると、1個売れると14円の損益、2個売れると28円の損益、5個売れると70円の損益…という具合で、売れれば売れるほど赤字が膨らむわけです。
売れれば売れるほど損益が膨らむので、店員によっては「売れないでくれぇ~」とこころの中で叫ぶ人もいるかもしれません。
普通の人間の行為は、やればやるほど、よりよい成就が待っていることを前提にしています。
たとえば、ピアノを2時間練習するより8時間練習するのは、そのほうがより素晴らしい結果が手に入ると考えるからです。(趣味と割り切ってるなら、8時間は要らないかもしれません)
ところが原価割れ商売というものは、やればやるほどダメージが拡大するわけです。
だから原価割れ商売とは、数学的には投資出力に対し反比例の結果を引き起こしている行為について言えることだと思います。
だれでも、たとえば、仕事でもビジネスでも恋愛などでも「これ以上の続行はプラスの結果に結びつかないのではないか」という臨界点のようなところに立たされたことはあるんじゃないでしょうか?
このような臨界点には一度も立ったことがないというのであれば、相当人生が思い通りに行ってる人か、または、ものすごく欲がすくなくて、その種のジレンマに無縁だったかのいずれかでしょう。
まぁ、これ以上よくは絶対ならないという結論が人生全体に対することで自殺や他殺などに直接つながってしまえば、それは残念なことですが、でも、いまやってる仕事やプロジェクト、恋愛などについて、これ以上の続行はマイナスを拡大してしまうだけなんじゃないか、という悩みにぶち当たってる人は意外と多いんじゃないんでしょうか。
わたしは別に、あっさり諦めてしまうことのすすめを説いてるわけでは特にないのですが、今の選択に「これ以上の続行は、どうなんだろう…」と悩んでる人に、原価割れ商売という概念もこの世にはあるのだと書いたのです。
つまり、力をいれるほど、損益やダメージが拡大するということもなくはないのだというはなしをしたのです。
もちろん、これを読んでるあなたのジレンマが原価割れ商売なのか否かをジャッジする能力はわたしにはありません。
今回は、やればやるほど、売れれば売れるほど損益が拡大する「原価割れ商売」というおはなしでした。
次回も、原価割れ商売とその周辺のついて書く予定です。
御一読ありがとうございました。
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