映画「ビフォア・サンライズ -恋人までの距離-」
ビフォアシリーズ3部作の1作目。
'95の映画がリバイバル上映されてたので
観に行ってみた。
《あらすじ》
アメリカ人青年ジェシーと、ソルボンヌ大学に通うセリーヌは、ユーロートレインの車内で出会った瞬間から心が通い合うのを感じる。ウィーンで途中下車した2人は、それから14時間、街を歩きながら語り合い…そんな自然な会話の中から、彼らの人生観、価値観、そして心の奥の微妙な揺れ動きが見え隠れする。でも別れのときはもう迫ってきていた…。
映画の中で終始繰り広げられる、
彼らの哲学的で知的な会話が印象的な本作。
電車内で出会ってから最後の瞬間までの間、ほとんど2人の会話のみでストーリーが進んでいくのだが、その会話を通して徐々に近づいていく2人の距離がすごくリアルだった。
リアルさを感じるシーンとして挙げられるのは、
やっぱりレコードショップの試聴室でのシーン。
あの時の2人の視線の交わし方が、本当にリアルで、
1人にやけが止まらなかった。
もう一つ印象的だったのは、
カフェで電話ごっこをしながら、お互いの気持ちを伝え合うシーン。
なんて可愛らしい!
知的な2人のお茶目なやり取りが、余計にかわいさを際立たせていたように思う。
この映画は印象的なセリフもたくさんあって。
例えば、物語序盤のウィーンに到着してジェシーが下車する時のシーン。
「バカみたいだけど、もし言わないと一生後悔しそうだ。このまま君と話していたい」
と言って、セリーヌを誘うところ。
恥ずかしがってないで、
プライドなんて捨てて、
勇気を出さなきゃいけない瞬間っていうのは
やっぱりあるよなぁと再認識させられた。
また同じく物語序盤、前述のシーンの後、
ジェシーがセリーヌに一緒に降りてウィーンを散策しようと誘う場面で。
「これは未来から現在へのタイムトラベル、若い頃失ったかも知れない何かを探す旅。君は”何も失っていない自分”を発見、僕はやっぱり退屈な男だった。君は結局その夫に満足する」
未来の結婚している自分が、よく知りもせず別れた男を思い出して未練を感じ、夫に不満を持たないように、という意味だが、
それがめちゃくちゃユニークで洒落てて、
そんなつもりはなかったとしても、付いて行きたくなる誘い文句だと思った。
もう一つ。
「相手を知れば知るほど、その人が好きになる。どう髪を分けるのか?どのシャツを着るのか?どんな時にどんな話をするのか。全てを知るのが本当の愛よ」
これは本当に共感しかなかった。
本当にその通りだと思う。
相手が自分の思う理想の人であるかどうかを確認する日々を重ねるのではなくて、
相手がどんな人で、どんなものが好きで、どんなものが嫌いかを知りたい。
それが自分と違うものであっても良い。
それを知っていく年月が愛に変わるのだと、
私は思っている。
そういう時間を、私も大事にしたい。
また、これはセリフでもなんでもないのだが。
2人がお互いの帰路についた後、2人が歩いたウィーンの街並みが順番に映し出される演出。
2人は映画の中で、
「まるで夢の中にいるみたい」
「もうすぐ現実に戻ってしまう」
と言い合っているのだが、
あの時間は本当に夢の中の話だったのではないかと思わされる、素敵な演出だった。
他にもまだまだ魅力的なシーンやセリフがたくさんあるのだが、
それは是非、実際に映画を見て知ってほしい。
他の映画にはない独特の魅力がある映画でした。
観にいってよかった!!!