違う言語が混ざり合う夢
夢を見た。
がっつり入浴&睡眠導入剤が、私の心身を休ませるために不可欠だ。心身の健康ため、毎日お風呂に入ってしっかり温まってリラックスする事を実践し続けているけれども、昨夜は珍しくその気力がなくなり「こりゃぜったいにぐっすり眠れないよ」と自覚しながらも、入浴をパスして湯たんぽをいれてふとんに入った。
夢を見ることが少なくなって、見た夢も覚えていたり引きずったりすることも減った。あー夢ね、ハイハイくらいなものだ。けれど、入浴をパスしてじんじん冷えていく足先を湯たんぽに押しつけながら、ずいぶん長い夢を見て、起きてからも忘れたくなくて書き付けた。
あの人と一緒にいた。じゃあ、またね! と再会を約束してから世界が変わってしまって会えなくなり、そして、もう会えないかもしれないその人に会いに行ったらしく、しんとした街の中を一緒に歩いていた。その人はすいすいと先に行ってしまって、私は小走りに追いかけ、追い付いては離れて……を繰り返す。
あの人と私は、違う言語を話す。私はいつものように拙いあの人の言語で喋った。これまで夢の中では、その言語をすらすら話せることが多かったのに、今回は現実と同じようにつっかえつっかえ、頭の中で翻訳しながら話した。驚いたことに、あの人が私の言語を少し話した。流暢ではないけれど、これまで私の拙い言語を理解し、想像しながら答えてくれたようにその言葉は適切で会話ができた。
部屋で、ちょっと待っててねと言われ、かたわらにあった雑誌を手に取る。違う言語で書かれた雑誌に、蛍光ペンでチェックしてある記事が目に入る。あの人はこの話題を気にしているのかと、少し驚きながら内容をたどっているところへ戻ってきたあの人が、するりと寄り添ってきた。少し体を丸くしてきたその腰に手をやると、背骨がこつこつと盛り上がっている。その背骨をてのひらでなぞるように撫でると、ああ気持ちがいい、前もこうしてくれたね、大好きなんだこれがとあの人はつぶやいた。言語は、どちらだったか。前にそうしたときは、服の上からだった。背骨はこんなふうに感じられただろうか…わからないけれど、てのひらで会話するようになで続けた。
街に誰もいないよと私の言語で言うと、そんなことないよにぎやかだったよ、あっちをごらんとあの人は自分の言語でこたえる。見ると、街にはわらわらと人が出始め、音が塗り足された。
また、そんな日が来るだろうか。それとも夢でしか会えないだろうか。夢だとわかっていても醒めたくない。
あの人が私の言語を話すことは、あり得ない。でも、これまでと同じように拙く交わし、尖端はきちんと合う会話。私は、あの人が好きだった。
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