
Eric B. & Rakim / Paid In Full (Seven Minutes Of Madness - The Coldcut Remix)②
87年にリリースされたアルバム『Paid In Full』からは5枚のシングルがリリースされた。86年にファースト・シングル「Eric B. Is President/My Melody」。87年にセカンド・シングル「I Aint No Joke/Extended Beat,Eric B. Is on the Cut」。
同年サード・シングル「I Know You Got Soul」。88年リリースのUK盤にはDerek BとThe Double TroubleによるRemixが収録された。
同年、英国のみで「As The Rhyme Goes On( Chad Jay Remixを収録)」。
そして、「Move The Crowd/Paid In Full (Seven Minutes Of Madness - The Coldcut Remix)」。
いづれのシングルも一週間で製作されたとは思えない熱量が封じ込まれている。しかも、全ての曲が、R&B/ヒップホップ・チャート100位以内にランク・インしている。ポップ・ミュージックにおいて音楽制作に時間をかければ良いものができるという方程式は当時のヒップホップに当てはまらない。
Eric B. & RakimのUK盤リリースの話が持ち上がったときレーベル〈4th & Broadway〉サイドは、街角で話題だったCold Cut、Derek B、 The Wild Bunch、The Democratic 3(のちにThe Double Trouble、Chad Jayにも)といったクラブDJによるチームにRemixをオファーした。
Discogsより
Cold CutはDouble Dee & Steinski「Lesson」に影響されたメガミックス・レコード「Say Kids」、「Beats&Piece」を街角でリリースしたばかり。
Discogsより
Derek Bは、クラブDJから海賊ラジオ〈KISS FM〉や〈LWR〉のミックス・ショーを手掛けていた。
Discogsより
The Wild Bunchは、サウンド・システムで人気となったDJチームで同年〈4th & Broadway〉から「Tearin Down The Avenue」でデヴューしたての新人。
いづれもプロフェッショナルな音楽経験はなく、街角で培ってきたDJとしてのスキルとセンスを持った若者たちだった。当時アメリカでチャート・アクションしだしたヒップホップという新しい音楽に若いDJというクリエイターを起用した〈4th & Broadway〉サイドのセンスが凄い。
www.deviantart.comより
余談だが、英国〈4th & Broadway〉は、〈Island Records〉のダンス・レーベルという位置付けでディスコ〜ガラージュからエレクトロ、ヒップホップ(第一弾アーティストは、ランDMC)、レゲエなどの(今でいう)DJミュージックを米国から英国へ供給してきた。DJ文化に理解のあるレーベルだからこそ出来た人選か。ちなみに、このレーベルから前述のCold Cutが影響を受けたSteinski&Massmediaの作品もリリースしている。
話はそれるが、87年に爆発的ヒットとなったM/A/A/R/S「Pump Up The Volume」のサビは、Eric B&Rakim「I Know You Got Soul」のアカペラをスクラッチで使っている。続く、、、
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