SkitとInterludeとPrince Paul①
パブリック・エネミーのラッパー、チャックDはこう言った。
「ラップはブラック・アメリカンにとってのCNNだ」。
ラッパーたちは彼らの日常をベースにリリックを書く。それはフィクションでもありノンフィクションでもある。N.W.A.やスヌープドギードッグ、ウータン・クランのようにキャラクターに寄せるリリックもあれば、アルバムのコンセプトに沿ったリリックにすることもある。
リリック、キャラクターとコンセプト。ラップのアルバム作りには欠かせないテーマだ。
そんなラッパーのキャラクターやアルバム・コンセプトを表現するためのリリックとビート、さらにそれらを補強するためにアルバムのなかに、楽曲とは別に日常会話や映画の台詞、違法薬物の取引現場、銃声や車の発車音、電話による会話などのSEや、楽曲の印象付けするために制作されたショート・レンジな楽曲やDJによるスクラッチ音やライブ会場の模様などがたびたび収録された。
それらは「スキット」。あるいは「インタールード」と呼ばれる。直訳すると,,,
いづれも演劇用語のようだ。しかし、僕個人的には音楽用語で特にヒップホップ界隈で使われていると認識している。
ヒップ・ホップをアルバムで聴く人ならわかると思うが、60分程度のアルバムなのに楽曲クレジットが20~30曲もある場合はこの「スキット」や「インタールード」が収録されている場合が多い。
それは、89年にリリースされたあるアルバムがきっかけだった。それは、プロデューサーのプリンス・ポールが手がけたデ・ラ・ソウルのヒップ・ホップ・クラシック・アルバム『3 Feet High and Rising』だ。このアルバムではじめて「スキット」が収録された。つまり、「スキット」の(ヒップホップ界隈における)発明者はプリンス・ポールなのだ。
それは『3 Feet High and Rising』のミックス・ダウンが終了した最後の瞬間だった。プリンス・ポールはこのアルバムに何かが足りないと感じていた。そして、彼はデ・ラ・ソウルが〈Tommy Boy〉からデビュー準備をしているときにあることを閃いたらしい。
続く、、、。
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