前衛かつ先鋭〈Sleeping Bag Records〉
80年代のニューヨークを代表する先鋭的なダンス・ミュージック・レーベル〈Sleeping Bag Records〉。81年、前衛的なチェロ奏者、Arthur Russellと William "Will" Socolov(現Brooklyn Vinyl Works社長)によって設立された。
70年代、Arthur Russellは現代音楽家の実験場だった〈The Kitchen〉に出入りし、アヴァンギャルド・ミュージシャンとしてチェロの腕を磨き、80年代はソーホーにあった Nicky Sianoのアンダーグラウンド・ディスコ〈Gallery〉の常連になりディスコミュージックを浴びた。その結果、Dinosaur Lや Indian Oceanといったグループを結成し、アヴァンギャルドかつダンサブルなサウンドを追求し始める。と同時に、Loose Jointsのセッションにプロデューサー/作家として参加した。そこでこのグループに資金提供していたWilliam "Will" Socolovと出会いレーベルを設立した。
Dinosaur L 「24→24 Music」(レコーディングは前述の〈The Kitchen〉)をはじめ Indian Ocean、Class Action、Konk、Urban Blightらのニューウェイヴィーなディスコ・アーティスト。ご存知、The Todd Terry Project。ラテン・フリースタイルのNocera、Nicole、Joyce Sims、Hanson & Davis。ヒップホップ(85年にサブ・レーベル〈Fresh Records〉を設立)は、 MantronixをはじめEPMD、T La Rock、Just-Ice、Cash Money & Marvelous、Nice & Smooth、Stezoなどなど、アンダーグラウンドなディスコ、レコード・ショップや街角にいるアーティストをいち早く発掘しリリースしてきた完全なるインディペンデント・ダンス・ミュージック・レーベルだ。
昨年から日高健介監修のもと〈ULTIMATE ’80S NY STREET SOUNDS〉シリーズという再発企画がスタートしてる。この〈Sleeping Bag Records〉のカタログも続々と2020年最新デジタル・リマスタリング&新規解説付きでCD化されていく予定(Mantronixの2タイトルにライナーノーツを寄稿させていただいた)。2月19日にはダイナソー・L『24―>24 MUSIC︓ザ・デフィニティヴ・アーサー・ラッセル』、V.A.『ゴー・バン!:スリーピング・バグ・80s・クラブ・クラシックス』(2CD)、ザ・トッド・テリー・プロジェクト『トゥ・ザ・バットモービル・レッツ・ゴー+6』(CD)、ロイヤル・ハウス『キャン・ユー・パーティー+6』(CD)がリリースされる。
これを機会に現在のダンス・ミュージックのルーツともいえるサウンドを是非チェックしていただきたい。
PS. アパレル〈BBP〉の〈Sleeping Bag Records〉シリーズのデザインは秀逸。こちらも是非チェックを!
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