令和でもLesson 1,2&3 Pt.2(来年40周年)
ダブル・ディー&スタインスキーの公式メガミックス・クラシックス「Lesson1,2&3」。そのミックスが世に出るきっかけとなった〈Tommy Boy〉主催のマスターミックス・コンテストが「G.L.O.B.E.&WHIZ KID'S 'PLAY THAT BEAT MR.D.J.'DOWN BY LOW SWITCH THE LICK MASTERMIX CONTEST」。前回のコラムでお伝えしました。
そのレジュメをご本人がファン・サイトでアップしました。はじめて見たけど、審査員の豪華さ、クレジットされているFMステーションの多さがコンテストの本気度を物語ってる(でも、賞金は少なめ)。G.L.O.B.E. & Whiz kid's 「Play That Beat, Mr. D.J.」という楽曲のコンセプトをよりわかりやすく伝えるためにコンテストを開催する。そこに著名DJと数々のFMステーションをブッキングすることでオリジナル楽曲をより多くオンエアしてもらおうということだと推測する。ただプロモ用のレコードを配布しただけではオンエアの回数は稼げないからだ。
〈Tommy Boy〉の創始者、トム・シルヴァーマンが米Phonofileのインタビューに答えている。「当時、ラップとヒップホップのシーンは生まれたばかり。トミー・ボーイ、シュガーヒル・レコード、エンジョイ・レコードなどの独立レーベルがプッシュしていました。当時のメジャーなレコード会社はラップ〜ヒップホップに無関心だった。メジャー・レーベルがヒップホップを知らなかったようにラジオもそう。この音楽をプレイするラジオ局はありませんでした」。
このコンテストが開催された83年当時は、アフリカ・バムバーター「Planet Rock(82年)」の世界的ヒットでラップ〜エレクトロが世に出たが、ラップをリリースしていたのは〈Suger Hill Records〉や〈Enjoy Records〉といった無数のインディー・レーベルだった(もちろん当時の〈Tommy Boy〉も)。つまり、まだラップ〜エレクトロはストリート・マーケットだけの小さいものだったから、アフリカン・アメリカン向けのFMステーション以外のFMステーションがヘヴィーローテンションしなかったのも頷ける。その状況を打破するためのプロモーション企画がこのコンテストだった。
Double Dee & Stainski FB Double Dee & Stainski HP
※余談だが、現在の〈Tommy Boy〉(〈Tommy Boy〉自体は〈Waner Music〉へ吸収されすでに閉鎖している)は、デ・ラ・ソウルによるヒップホップ・クラシック『3 Feet High and Rising』他、本人の許可なく初期音源のデジタル配信したとして糾弾されている。サンプリングのクリアランス問題についてレーベル・サイドとは昔から長く確執があったのは情報として知っていたが、それがここへきて爆発したかっこうだ。ひとつだけ気になるのは、この問題は現在〈Tommy Boy〉音源の権利を持っている〈Waner Music〉が悪いんじゃないかな?ということ。どうなんだろ?詳しいかたに教えてほしい。〈Tommy Boy〉は好きなレーベルだけに、こういう問題は1日も早く解決してほしい。
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