重版出来記念!ビーツの色鮮やかなロシアのサラダ「ヴィネグレット」をご紹介
『はじめてでも美味しく作れるロシア料理』著者ヴィタリさんに訊く、もうちょっとロシア料理のことーvol.4ー
「ヴィネグレット」の由来はフランス語
「ヴィネグレット」は、毎日の食卓にも、祝宴にも登場する、ロシア人の大好きなサラダのひとつです。出来たてだけでなく、一日冷蔵庫で冷やしても、大変美味しいです!
「ヴィネグレット」はフランス語に由来していて、元々はオリーブオイルとヴィネガーのソースの名前です。ロシアではいつも、このソースをゆでた野菜のサラダにかけて食べていたので、次第に「ヴィネグレット」はサラダの名前として定着しました。
ロシアの「ヴィネグレット」は、19世紀の後半頃から、現在のようなレシピになりました。メインの材料はロシアで大人気のビーツですが、この料理自体は、ドイツかスカンジナビアから伝わったものかもしれません。当時の北ヨーロッパでは、ビーツとポテトのサラダは代表的なものでした。
ちなみに、ビーツのことは、本書で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
さて、「ヴィネグレット」についてです。
ビーツ、にんじん、じゃがいも、ピクルス(または塩きゅうり)は、必ず入りますが、それ以外の材料は、家庭によって違います。玉ねぎ、ザワークラウト、グリーンピース、ゆで卵などを入れる家庭もあります。
私は自分の好みに合わせて、ベーシックな材料だけを使い、なるべく手早く作るようにしています。そうすると、一つひとつの野菜の美味しさを楽しめますし、ミックスされた味わいも、充分リッチに感じられます。
ただし唯一、私がアレンジして加えているのは、くるみです。
また、材料を選ぶときにひと工夫しています。
それは、ピクルスです。甘くなく、ハーブが入っているピクルスを使います。日本でも売られているものです。
スタンダードなヴィネグレットソースのレシピの代わりに、そのピクルスの汁とオリーブオイルを使うことで、普通にヴィネグレットソースを作るよりも、むしろもっと香りのいいサラダが出来上がります。
【材料】作りやすい分量
ビーツ………大1個(350g)
じゃがいも………2個(250g)
にんじん………1本(150g)
ピクルス………150g(お好みで加減)
くるみ………50g
ヴィネグレットソース※
オリーブオイル………大さじ3
白ワインビネガー………大さじ1
※ヴィネグレットソースは、この材料の代わりに、ピクルスの汁(大さじ3~4)とオリーブオイル大さじ2を使ってもよい。
塩………2g
こしょう・ハーブ(ディルまたはイタリアンパセリがオススメ)………各適量
【作り方】
1)じゃがいも、にんじんは皮つきのまま、水から20分ほどゆでる。
2)ビーツは天地を切り落とし、別鍋で、皮つきのまま40分ほどゆでる。
3)1、2とも、水気をきって冷まし、皮をむく。それぞれ1cmほどの角切りにし、細かく切ったピクルスとともにボウルに入れて混ぜる。
4)くるみを包丁で細かく切り、3に入れて混ぜる。ヴィネグレットソース、塩、こしょう、刻んだハーブを加え、よく混ぜる。ひと晩おくと、より美味しくなる。
5)器に盛り、お好みでハーブをのせる。
文:Vitaly Yushmanov(ヴィタリ・ユシュマノフ)/サンクトペテルブルク生まれ。マリインスキー劇場の若い声楽家のためのアカデミーで学ぶ。ライプツィヒ音楽演劇大学を卒業。2015年春より日本に拠点を移す。びわ湖ホールオペラ、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」、「東京・春・音楽祭」、NHK-FM、NHKワールド・ラジオ日本、BSテレ東、NHKワールドTV、東京芸術劇場他の全国共同プロジェクト、新国立劇場オペラなどに出演。「日本トスティ歌曲コンクール」第1位、「日伊声楽コンコルソ」第1位、「東京音楽コンクール」など、受賞多数。これまでに4枚のCDをリリース。幼いころからの料理好きが高じ、YouTube「Café Vitaly」(カフェ・ヴィタリ)でも、その腕を披露している。
オフィシャルサイト:http://vitalyyushmanov.com/
twitter:https://twitter.com/vitaly_jpn
写真:ローラン麻奈