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El Ángel

『永遠に僕のもの』を観てきた。
彼にとっては、踊ることも盗むことも人を撃つことも等しく同じ重みを持っていて、そこに善悪の多寡は無い。ただそういった行為がそこにあるだけ。そして彼はずば抜けて美しかった。ただ美しいだけだった。

昔は"ただ美しいだけ"の事や物に対してもっと陶酔出来ていたように思うけど、最近はどうしてもそこに意味を探してしまう。ずいぶん野暮ったくなったもんだと自分自身に白ける。春にビューティフルボーイを観に行った時も時既にティモシー・シャラメが美しいだけでは満足出来なくなっていた。美しいものを美しいという理由だけで心酔出来なくなってしまうのは間違いなく人生の損失であるが、でも私の好きな人達は美しい上にみなそこに意味があって、その二つが皆既月食のようにピッタリと重なる瞬間を見てしまうと、ただ美しいだけのものでは物足りなくなってしまう。カントが判断力批判でそんな話をしていたような気がするけど攫うのも面倒くさい。

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