「やり切ったでしょ、超楽しかった!」
2020年、世界は未曾有の大厄災に見舞われ、ほとんどの人類が大なり小なり何かしらの計画を狂わされた年だったと思う。4年以上前から決まっていたオリンピックでさえ延期を余儀なくされ、国や大人が入念に計画したものさえあのように呆気なくしおれゆくことがあるのだという無力感を突きつけられた年だった。2020年初頭からじわじわと私達の生活に侵入しはじめたコロナは、あれから1年経った今でもまだ生活に暗い影を落としている。もし歴史が巨大なExcelで管理されているのなら、"2020"の行を丸ごと削除してしまいたいような、そんな年だと嘆く人のほうが多いのではないだろうか。
2019年のカウントダウンコンサートで突如発表され、鳴り物入りでスタートした健人くんと平野くんのビッグプロジェクト"KS2020"は、結局未満警察のダブル主演のみで幕を閉じた。もしかしたら本当にこのドラマのためだけのタッグだったのかもしれないけど、きっとコロナが無ければさらに別の企画をやるはずだったんじゃ?と邪推せざるを得ない気合いの入りようだった。でもそんなこと、今となってはいちオタクに知る術はない。
延期からの中止となったPOP×STEP⁉︎コンサートは、最終的にオンラインでの公演となった。中止を発表するギリギリまで本人たちは開催予定地でリハーサルを行っていたが、ついぞ彼らの「ファンの前に立つ」という希望が叶うことはなかった。
この1年、いくつものたくさんの準備と祈りを重ねたイベントが泡となって弾けゆく瞬間を目の前で山ほど見た。消えていく瞬間を見てもらえ、誰かに惜しまれたのならきっとまだマシなほうで、浮かぶ前に沈んだ企画も数えきれないほどあったのだろう。
健人くんの仕事にまつわるそういう背景を知っていたから、本人はきっとこの2020年はさぞ悔しかったろうと思っていた。アニバーサリーや季節のイベントごとが大好きで、ちょっとマイナーな◯◯の日などの記念日も見逃さず、KTTを通じてファンに教えてくれ、ただの毎日をちょっと特別にしてくれる魔法使いのような人だ。日本が、世界が熱狂するはずだった2020年を楽しみにしていなかったはずがない。「悔しかったです」なんて直接的な言葉、本人の口から聞くことはないと分かっていたけど、きっと思うところは色々あるんだろうと勝手に思いを馳せていた。
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年が明けた2021年1月26日、コロナは依然として世界に暗い影を落とし続けていた。なんなら日本では第3波と呼ばれる不穏な波が来て再び緊急事態宣言が発令され、みんながなんとなく苛立って沈鬱で、そして疲れていた。
そんな中、もはや1人収録バージョンにも慣れてしまったQRzoneを聴くためにラジオをつけると、この日は健人くんの担当回だった。そして、こんな質問が寄せられていた。
これに対する健人くんの答えはこうだった。
いつも通りの明るく元気な声で、当たり前のようにこう答えていた。
びっくりした。私が知るだけでもきっともっとやれたはずのことが彼にはたくさんあって、涙を呑んだことがたくさんあったのだと思っていた。でもそれもこれも全て私の想像で、思い返せばこの1年、ファンの前に姿を見せた健人くんはいつも快活で凛として美しかった。Youご飯食べちゃいなよ動画やKTTtelephoneをはじめ、様々な制限がある中で今やれることに全力で取り組んでいて、その姿は私が出会った時に好きになった健人くんそのままだった。そこは人々の生活を一変させたコロナにも変えられなかったことだった。やれなかったことを数えるのではなく、やれない中でやれることを見つけ、増幅させていく健人くんの在り方を心から眩しく感じるし、その在り方そのものを人は「希望」と呼ぶのだと思う。この1年、一度も会えなかったけど、それでも26歳の健人くんのことが大好きでした。
27歳のお誕生日、おめでとう!あなたの願いが全て叶いますように。