見出し画像

支えてくれる人の重みを感じながら駆ける日々 会計担当・中村晋一郎 さん

 deleteCを応援してくれる人の想いを感じながら活動する会計士さんのストリー。寄付をしてくれた方のメッセージは全て目を通し、その熱量を誰よりも感じている中村さん。”みんなから少しずつ集めたお金の力”を誰よりも知っているからこそ、deleteCの活動が世の中を変えられると信じている。

 恐怖にも似た責任感でこなす業務

 事実に基づいた処理を行う会計の仕事は、無機質に思えることも多い。しかし、deleteCで会計などを担当する中村晋一郎さんは「恐怖にも似た責任感があります」と話す。中村さんは、公認会計士、税理士として一般企業の会計監査業務、税務申告などの業務をこなしている。普段の仕事とdeleteCの仕事の最大の違いは、会計業務をしながら「人の思い」を感じられることだという。
 deleteCでは寄付金のデータに「金額」、「名前」、「日付」、そして、寄付をした人が記した「想い」が載せられている。

 「一般企業の売り上げについて、それをどんな気持ちで買ったかは見えないんですよ。でもdeleteCは、がんを治せる病気にしたいという趣旨に賛同したバックグラウンドをみなさんが熱い言葉で書いてきてくれる。僕はそれを全部、読んじゃうんです。読まなきゃいけないと思っている。皆さんの想いをしっかり読んで、恐怖心にも似た責任感を持って会計処理を続ける。それは自分を戒めるという意味でも大事だと思う。」

 会計士という立場上、数字に誤りがあれば組織の信頼が一瞬で失われてしまうことを、誰よりも理解している。「自分がもし間違えたら、がんが治る病気になる日が遅れ、それで命を落とす人が出るかもしれない。」
 みんなのメッセージを読み、それを心にとどめて中村さんは活動している。

 いいアイデアを無駄にすることはできない

 代表理事の小国士朗さんと一緒に仕事をしていたとき、中村さんはdeleteCのアイデアや構想を聞き、また、deleteCをNPO法人にするための手続きに関する質問を受けていた。そして、昨夏に「バックオフィスの業務をする人がいない」との相談をからdeleteCを手伝うようになった。

 「アイデアは非常に素晴らしいと思っていた。それなのにバックオフィスが不安定になって活動に支障が出るのはもったいないなと。『担当者が決まるまでサポートしましょう』というのが最初。でも、いつの間にか社員になり、理事になりと、どんどん深くなっていきました」と当時を思い起こしながら笑顔を見せる。

 deleteCでの活動は、中村さんにとって新鮮なものだった。普段の仕事でも、監査役として取締役会などの会議に出ることもあるが、ここでの会議は全く別物。

 「deleteCでの会議は、面白い会議や楽しみな会議のひとつ。みなさんが各分野のプロフェッショナル。どんどん仕事が進む、すごくいい仕事ができるだろうなと感じながら一緒に活動させてもらっています。僕の仕事は、事実を淡々と数字に表現していくもの。deleteCの皆さんはクリエイティブさを感じさせる人たちで、それは自分にはないことばかり。新鮮ですね。」と新たな発見の日々を送っている。

画像1

 企業と医療をつなげる大きな可能性

 お金を扱う仕事をする中村さんだからこそ、見える部分がある。

 代表理事の中島ナオさんが出演した「ひとモノガタリ」という番組。ナオさんが、医療関係者へのインタビューをしていた。ナオさんが医療関係者のかたへ「企業には行かないのですか」と質問すると、関係者は「企業には行きません。心が折れる」と即答した。この場面が強烈に印象に残っているという。

 中村さんは、「営利企業は、基本的には儲けるための組織。ですから、寄付という事に考えが及びにくい部分もある。でも、そこに我々が入っていって、営利企業が動かす莫大なお金を医療の世界に流してあげられるかもしれない。ここが一番の魅力だと思う。企業を巻き込んで、大きなお金を医療の世界に動かせるかもしれないことにすごく可能性を感じています。」と、deleteCの強さを感じている。

 以前は、財務省で非常勤の専門職。上下水道や病院を整備するために、地方自治体へお金を貸し、正しい使用と返済をチェックする業務を担当していた。

 「みんなから少しずつ集めたお金で、どんどんインフラが整備されて出来上がっていくのを実感して、そういう意味で、みんなが少しずつ出し合ったお金の力を感じています。」

 その経験があるからこそ「社会へ新たな風を」という思いも強くなっていった。

スクリーンショット 2020-09-09 1.43.24

 deleteCで芽生えた社会貢献という意識

 deleteCでの活動を通じて、中村さんの最も大きな変化は「社会貢献」の意識だという。

 「みんなから少しずつ集めたお金が持つ力はもともと分かっていた。でも、deleteCに加わることで、みんなから少しずつ集めたお金の力を使って世の中を変えることに僕も携われるのではないかなと。そういう風に意識がどんどん変わっていった」と言葉に実感がこもる。

 そんな中村さんにとってのゴールは、”みんなとがんが治せる病気になる日”を実現すること。

 「僕が会計報告として適正な数字を示し続ければ、企業もdeleteCを信頼してくれる。そうすればお金が集まり、そのお金をがん研究の資金に集約できる。そういう意味で、僕みたいに会計でも世の中を創造していく、インフラを整備していく一役を担えるのではないのかと思います。そこはすごくやりがいをもってやっています。」と熱い思いも持っている。

 「がんが治る病気になればそれで言うことがないと思うけど、それまでしっかりとこのメンバーで走り続けたい。」
 中村さんは目標に向かって、仲間と走り続ける。

協力(企画 山口恵子 文 酒谷裕 編集 中島ナオ、徳井柚夏)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?