【あの研究は今】2022年受賞者 谷口浩也先生研究報告会 “がんゲノム医療難民”を減らせ!-かかりつけ病院と協力して行う完全リモート治験の実施-
deleteC 2023 -HOPE-の受賞者 谷口浩也さん(愛知県がんセンター薬物療法部 医長)は2022年deleteCがん治療研究公募で、「“がんゲノム医療難民”を減らせ!-かかりつけ病院と協力して行う完全リモート治験の実施-」というテーマで受賞、deleteCから500万円の寄付と啓発にて応援しました。
谷口さんは、患者さんが居住地に関係なく治験に参加できる新しい方法として完全リモート(オンライン)治験という枠組みを開発しました。
受賞から1年半が経過した谷口さんの研究について、9月25日に名古屋に突撃し、お話をお聞きしました。会場は、deleteC大作戦でお馴染みのがブリチキン。さんにご協力いただきました。お話いただいた内容は、deleteC公式インスタライブでも配信しました。
ふじまっつー:谷口先生、研究内容と、なぜこういう研究が必要なのか教えていただけますか。
谷口:がんを治す方法の1つに、抗がん剤治療、薬物治療というものがあります。最初の基礎研究から作られたお薬の種を、実際に人に試して治療として開発していく、そのステップに必要なのが治験です。治験では患者さんにご協力いただいて、お薬が効くかどうかっていうのを試すのですが、この治験には、非常に限られた地域、具体的には都市部の患者さんしか参加できないような現実があります。
地方の患者さんの治験参加の機会を増やせないか考えた時に、最近コロナをきっかけにオンライン診療というものが広がってきましたので、患者さんが例えば愛知県までわざわざ来なくても全国の患者さんが愛知県で行われる治験に参加できる枠組みがないかということで始めたのが、このリモート治験(オンライン治験)というものです。
ふじまっつー:.受賞されて1年半経ちますが、進捗はどうですか。
谷口:おかげ様で非常に順調に進んでるかなと思っています。今進めている飲み薬の治験は、患者さんの数がすごい少ない治験なんですね。がんの中でも頻度が0.2パーセントって言われている希少な遺伝子の変化があるがんの患者さんを対象にしたものです。リモート治験の枠組みを活用することで、当初予定したスピードよりも速く患者登録が進んでいます。現在全国でこの治験全体に今20人参加してもらっていますが、そのうち約半数の8人の方がリモート治験で参加しています。リモート治験という枠組みを使えば、登録する患者さんの数もそれだけ増える、治験が早く進むということなので、 それだけで本当に大きなインパクトがあると思います。
ふじまっつー:実際にdeleteCの応援に参加しているがブリチキン。の脇本さんにもお話を聞いてみたいと思います。谷口さんのお話しを聞いてどう思いましたか。
脇本: がブリチキン。は、3年前からdeleteCを応援していて、deleteC大作戦には3回目の参加になるんですけど、参加したきっかけは、がんを治せる病気にするというスローガンにすごく感動したことが理由の一つです。谷口さんのお話を聞いて、応援することで研究が進めば、もっともっと治せる病気に近づくかもしれないと思いました。がブリチキン。は飲食店なので、お客さんとたくさん接することができますし、働くスタッフさんもたくさんいらっしゃるので、そういった方とみんなで一緒に応援ができたらいいなと思ってがブリチキン。を巻き込んで、一緒に参加させていただいてます。
ふじまっつー:deleteCの応援はどのように研究を後押ししていますか。
谷口:全国の患者さんに非常に役に立つ取り組みということもあり、今回いただいたこのお金に関してもこのリモート治験で使わせていただいています。
具体的には、今回、このリモート治験では、我々と患者さんだけでなく、地元の今まで見てもらっていた先生も一緒に診療するような枠組みの工夫をしています。その先生に治験にお手伝いいただいた協力費という形で、お金をお渡しするところで使ったり、その治験のお薬を患者さんの家に配送する費用に使わせていただいたりしています。
また、deleteCでの受賞をきっかけに、リモート治験という取り組みに対する患者さん、医療者、製薬企業、官公庁の皆様からの関心や認知が高まりました。さらに皆様からの応援の結果、飲み薬でしかできなかったリモート治験が、国のサポートもあり、注射薬でもできるようになりました。(抗がん剤治療は飲み薬が3割くらいで、注射薬が7~8割と言われています。)今後全国の色々な病院でますますリモート治験が広がっていくことを期待しています。
インタライブのコメント欄には、「これからも応援しています!」「頑張ってくださいね!」という言葉が続きました。
報告会の後には、がブリチキン。さんに店舗の一部をご提供いただき、「deleteC大作戦 作戦会議 in 名古屋」を開催しました。名古屋で活動する方々が会場にあつまり、これからの取り組みについてディスカッションしました。
参加してくださったみなさま、ありがとうございました!deleteCはこれからも希望の種であるがん治療研究を応援し続け、名古屋の地でもその活動を根付かせていきます。
10月7日(月)には16時から第2回愛知県がんセンターオンライン治験成果報告のためのWeb報告会が開催される予定です。
(インタビューア:ふじまっつー、文章:松嶋、編集:中川、企画:けーちゃん)