deleteCが支援する がん治療研究の選考について【2021年度版】

deleteCでは「みんなの力でがんを治せる病気にする」ため、毎年、がん治療研究を推進する医療者・医学研究者を対象に、公正に公募をおこなっています。そして毎年2月4日ワールド・キャンサー・デイの頃に「deleteCーHOPEー」として受賞者を発表し、寄付・啓発をおこなっています。これまで、6名の医師・研究者に寄付をお渡ししてきました。そこで、その選考基準・選考プロセス、そして、deleteCが選考された受賞者を応援し続ける理由について、ご説明します。

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(1) 公募選考の基本的な考え方

deleteCの公募選考の特徴は、「みんなの力でがんを治せる病気にする」ことにつながるがん治療研究を選考することにあります。「がんを治せる病気にする」ことに、科学的根拠があり論理的なテーマであることに加えて、応募者がどれだけ情熱をもっているか、deleteC/一般市民・社会とのコミュニケーションによる寄付や啓発が活きるテーマか、などについて、選考基準・選考プロセスひとつひとつを大事にしながら、公募活動をおこなっています。
また毎年の公募選考の結果や国内外がん治療研究の状況を振り返り、次年度の公募方針(選考基準・選考委員・プロセスなど)をdeleteCで議論し、よりよい公募となるようブラッシュアップをおこなっています。

(2) 2021年度の選考基準

「がんを治せる病気にすることに向かうテーマか?」にこだわり、2021年度は「科学的根拠/取組みの論理性」「実行可能性」「インパクト」「応募者の情熱」「deleteCとして応援すべきテーマか」などについて、書類・Web面談により、選考しています。

1) 科学的根拠/取組みの論理性 :研究テーマが「がんを治せる病気にする」ことにつながる内容であり、課題設定やその解決手段などが、科学的根拠に基づき論理的妥当性があるか


2) 実行可能性:研究体制や準備状況などから、研究の遂行・完遂および目標達成への実行可能性が高いかどうか


3) インパクト:研究の目標達成によって「がんを治せる病気にする」ことにつながるインパクトが大きく、患者・社会に対して価値をもたらすかどうか
(※インパクト(アウトカム):対象疾患患者数、生存率向上、QOL向上、既存治療の有無など)

4) 応募者の情熱:研究テーマや課題の選定、試験デザインの設定や熟考度、その他の情報に基づき、応募者がいかに「がんを治せる病気にする」という情熱を持ち、試験遂行や目標達成に向けて課題解決意識や挑戦心、強い想いを持っているか

5) deleteCとして応援すべきテーマか(企業・deleteC 選考委員により評価)

deleteCとして応援(寄付・開発)すべきテーマか
(例)
①現在治療中の患者さんたちに、希望を与えられる
②当該テーマを広く社会に啓発することで、がん治療研究を加速することができる
③現時点で、日本のがん治療研究を推進する上でのボトルネック(課題)に対する解決策となっている
④応募者が、当該テーマに取り組むに際して「あきらめない」という気持ちをもち、がん治療研究に向けて取り組んでいる
⑤応募者が、deleteCのビジョンや啓発活動に対して前向きである

(3) 選考委員

選考委員は、①がん治療研究に高い専門性をもつ選考委員(医療者選考委員)と、②一般市民・社会的な視点をもつ選考委員(企業選考委員)、③deleteC選考委員から構成されています。

選考委員FINAL

① 医療者選考委員
医療者選考委員は、国内外の最先端のがん治療研究分野で活躍される医療者や、がん患者視点で広く政策・啓発活動をおこなう専門家などから構成されています。応募テーマは、医療者選考委員により、選考基準に基づく書類評価および書類選考会を経て、絞り込まれます。

②企業選考委員
企業選考委員は、毎年の寄付・協賛活動に大きく貢献してくださった、一般市民・社会的な視点をもつ企業から構成されます。

③deleteC選考委員
deleteC代表理事、寄付・啓発活動に携わるメンバーなどから構成されています。deleteCのメンバーのバックグラウンドは様々ですが、公募対象の研究に何らかの利益相反が生じうるメンバーは選考委員とはなりません。

(4) 公募選考のプロセス

毎年、がん治療研究に従事する学会・団体、医療者選考委員や過去の応募者などに、幅広く公募を通知しています。募集期間は1~2カ月程度をもち、まず応募テーマの書類選考(スクリーニング・医療者選考委員による評価)をおこないます。書類評価結果に基づき、書類選考会を開催し、選考委員(医療者・企業・deleteC)により候補テーマを絞り込みます。その後、Web面談(企業・deleteC選考委員)をおこない、最終選考委員会(企業・deleteC)により寄付・啓発テーマの選考を決定します。

選考プロセスFINAL

zoom選考委員

2021年度書類選考会(ZOOMで開催)

(5)選考委員の先生方からのdeleteCへの応援メッセージ

上野直人先生  テキサス大学MDアンダーソンがんセンター・乳腺腫瘍内科部門 教授
I commence deleteC's effort to bring a significant change to the Cancer Research Funding Process. The only way to advance and to accelerate New Cancer Treatment and Diagnosis is by participating in clinical trials. I recognize the government is one of the significant funding agencies. But, what stimulates the speed of research is the donation coming from the community, the real stakeholders.

がん研究への資金調達プロセスに大きな変化をもたらすために、delete Cの取り組みを賛同します。がん治療や診断を前進させる唯一の方法は、臨床試験を実施することであり、この臨床試験進捗のための資金提供に、政府が重要な役割を担っています。しかし、それに加えて、臨床試験やがん研究の進捗スピードをあげることができるのは、真のステークホルダーであるコミュニティ(公衆)からの寄付金です。

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大津敦先生  国立がん研究センター東病院 病院長
選考委員として多数の応募をいただき、全国の研究者の皆様ががん治療成績向上に向けて取り組む熱意がひしひしと伝わってきました。多くの研究提案内容が高いレベルであることを感じましたが、その中で受賞された皆様の素晴らしい研究に敬意を表します。臨床研究法施行以降、特定臨床研究等を実施する際の困難さも伝わってきますが、受賞された皆様がdeleteCの皆様の支援にかける熱い思いに応えてそれぞれの研究をさらに発展していただけることを祈念しております。

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桜井なおみ様  一般社団法人CSRプロジェクト 代表理事
Japan Passingという言葉をご存知ですか?がんの世界でこの言葉は、日本での臨床試験にかかるコスト効率が悪いなどの理由から、国際的な臨床試験が、日本を素通りしていってしまうことを総称しています。 海外の学会などにでると、日本だけが参加していないJapan Passingの現状を目の当たりにし、「私たちの手元へ薬が届くタイミングがますます遅くなる」と、強い危機感を感じます。 私はがんの悲しみを無くしたい、もう大切な人を失いたくない。 そのために私たち患者、そして、社会ができることはないでしょうか? がんをこの世界から消していく。 そんな一歩への思いを込めた#Cの主旨に賛同。ともに行動をすることを選びます。

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藤原恵一先生  埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 教授 包括的がんセンター長
何が起こるかわからないことにはワクワクする一方、先が見えないことへの不安もあります。 でもそれは、形が見えてくることによって喜びに変わります。 赤の他人の業績でもそうなのですから、自分が少しでも関わっているプロジェクトだったらなおさらです。 deleteCはまさしくそれを具現化したものでした。 それを可能にしたのは、仲間の力と思います。 医療者だけでやっているプロジェクトでは見たことのない新鮮な体験でした。 このような企画に関わらせていただいたことに幸せを感じています。 企画力と真摯な取り組みに乾杯!

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(6)「deleteCーHOPEー」受賞者6名の研究紹介動画






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