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マルセイユの黄昏(160602)

「パリダカって知ってるだろ。アフリカのダカールまでレースするやつ。そのコースでヨーロッパを抜けアフリカに入った一番最初の村って知ってるか?それがマルセイユ。ぷっ」

とスカしたパリジャンに鼻であしらわれるマルセイユへ行商に出掛けた

地中海からの風はカラッと爽やか。古い町並みはなかなか絵になる

地元で生まれ育った生粋のマルセイユっ子シロンさん曰く「マルセイユはな、ロッテルダムに次ぐ欧州第二の貿易港だったんだ。当然豊かな街だったのだ。でもよお、アフリカにあった植民地がどんどん勝手に独立しやがってビジネスが先細り今じゃ忘れたけど五番か六番目になっちまった」と途方にくれていた

「だからよ、いまこの街は観光産業に力を入れようとしてんだ。その投資額10億ユーロすげえだろう」と鼻高々だった

シロンさんの友人が経営する港のそばのレストランで夕食をとることにした。「お前はビールでいいか。おれは今日運転するから飲まねえ。すまんな」と水を注文した。前菜が終わった頃、おもむろに陽気なウェイトレスを呼んで何やら注文を始めた

数分後、赤ワインのボトルが机の上におかれた。僕はこのボトル誰が開けんの?俺ワインそんなに飲めないんだよな。とココロのなかで思っていると、栓を開け儀式的な味見をした後、『イケるね』といいながら自分のグラスに注ぎ始めた。おいおいさっき酒飲まねえって言ってたじゃん。ワインはベツバラかよと思いっきりツッコミを入れたくなった。しかしそれは不粋だとココロのなかに仕舞っておいた

帰り際、地元の特産品マルセイユ石鹸を購入した。ヨメさん喜んでくれるといいなぁ。と思いながらちょっといい気分で家路についた


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