日本語検定1級一発合格記
Dディ 241109
黎明より蒼穹に満ち秋晴の佳日となりそうだ。吾は矢張り逍遥と銀輪を駆って名古屋国際会議場に参ることとした
本日の攻略目標は日本語検定1級だ。習慣化アプリに記録した勉強時間は40日間、78時間
思ったより勉強に集中できず勉強時間は想定より大幅に少ない。2級までは、受験や就職期にあたる若人にとっては履歴書を埋めたり、実際のコミュニケーションの場での適切な言語運用の基礎知識としてまあまあ実用性はあるのだろう
しかし1級は聞いたことも見たことも読むこともできない古典的文語表現の漢字、熟語、四字熟語、語彙が頻発し実用性が全く感じられない。平易明解なコミュニケーションが求められる現代、現実の場面で難解な語彙を多用し知識を衒い一人悦にいるようなことをすれば、「何言っているのかよくわかない面倒くさいおじさん。」の一言で処理されてしまうのが関の山だ。僕だったら、頭悪いんじゃないのこの人?と疑義が生じてしまうだろう
敬語、文法、漢字、表記、言葉の意味、語彙の6領域が試験範囲だが、問題を解いてみると敬語の運用力(ただし実際は難しい表現は避けて言い換えちゃうよなって問題が多い)、文法というよりも読解力、残りの要素は語彙の量が問われていると試験分析を行なった
この種目は暗記種目、要は筋トレ。ボディービルと一緒。地味な反復運動を繰り返し、油断しているとエビングハウスの忘却曲線よろしく衰えていく脳筋でボキャブラリーを、ウエイトトレーニングで上腕二頭筋とか腹筋をひたすらビルドアップしていくというような作業だ
その実用的なアウトプットは同好の士が集まるボディービル大会とか、日本語検定1級の試験会場しかないのだ。興味ない人にとってはふーんすごいね。という感想しかない完全趣味の世界だ。過去問を解きながらこんなことやっていて意味があるのかと自問自答したが、ふとコネクティングドットの話を思い出した
僕は実用性や意味のない資格試験には手を出さないと誓った。ただし日本語教師下積み中という立場では、その目線で見てもやはり実用性はないもののドヤ顔できるチャンスがゼロではないということで、他に取り立ててやることもないし、取り組み続けることとした
勉強時間は足りないものの過去問は目論見通り初見問題12回分とりくみ、合格水準は4回、平均正答率は78%、最低70%、不合格は1回。設問形式が変わっていて一領域の正答率50%を割ってしまった。1級合格には正答率80%が求められ、70%を越える場合は準1級認定は与えられるというエラーマージンがほぼないシビアな試験だ。マラソンで言うと10キロだけど制限時間が33分って感じかな
毎回初見の漢字や語彙が出現し、暗記のみで全てを抑えることは恐らく無理ゲーで、設問に出てきた初見の漢字や語彙の意味を文脈や漢字の構成部品から推測、類推することが求められる。実際にはこんなことしないよね。ちょっと考えてみたりはするが、文脈に大きな影響がなさそうであれば読み飛ばすか、せいぜいググっておしまい
試験対策として、敬語については一般ビジネス書を7冊。ただしマナー講師が著者であること多く主観が入りすぎていて言語学的に怪しいものもある。文法はとくに対策せず。月2000ページの読書習慣で積み上げた読解力でいくしかない。語彙、地味な筋トレ作業。単語集を何周か回した
ひんやりとした覚王山の山岳ステージから都心へ向かう。堀川にぶち当たったら左に曲がるだけの簡単なお仕事、10:30には到着してしまった。閑散とした名古屋国際会議場をフラフラしお天道様のもと、散歩したり写真取ったりプラプラして時間を潰す。暇すぎるのでスマホにぶち込んだ四字熟語単語帳を最終チェック!
12:45の開場に乗り込む。1級受験者は27人。過去の合格率からすると、生き残れるのは2~3人か。同会場の3級は高校卒業~社会人基礎レベルだけあって受験者の年齢層は学生中心。社会人上級の1級は矢張り年齢層は高く、国語の先生風が8割を占める。あとは院生?
よくある3人がけ会議テーブルに椅子が2つで広々。机に出していいのは、シャーペン、鉛筆、消しゴム、時計のみ。試験の注意事項のアナウンスに続き、試験問題、解答用紙が配布され試験開始まで沈黙の時間。あまり緊張感ないぜ。ストレッチしながら時間を潰す。今日は60分1本勝負だから楽ショー
試験開始。問題用紙に解答を書き込みながら、各問、移し間違えないように慎重に解答用紙に写していく、自信のない問題には後で振り返られるよう三角マークをつけていく。50分で回答完了。残り時間は三角マークを再検討した
試験終了し、解答用紙が回収され、その場で解散。おっしゃー!開放感みなぎってきた。果報は飲んだくれて待つべく、家に帰って新しく購入したゲームをダウンロードしつつ、アオキスーパーのパック寿司をつまみに発泡酒とストゼロをいただく。今日からクリスマスまでは只管(←試験に出るやつ)ゲームと読書三昧!
結果発表 241204
12/4(水)Webにて試験結果の公開。ドキドキしながら受験票に記載されたIDとパスワードを打ち込む。おぉ、合格でございました。いやー良かった。試験はやっぱり一発合格で攻略し次の目標へ移るというのがテンポがいいし、飽きが来ない。やっぱ一発狙いだわ。あとから気づいたのだが、日本語検定の結果発表は試験翌月の第一水曜日が多いみたいだ。参考にしてね
試験対策
ゆるキャラのにほごん君が公式アカウントで自虐ギャグをかこつ程マイナーな検定試験だけに、ネットにほとんど情報がなくちょっと困ったがね
ちょっと整理してみると試験は敬語、文法、語彙、表記、言葉の意味、漢字の6領域で構成される。
振り返ってみるとわたくしなりに試験分析を行い以下の3つに大別した
①文法=読解力(品詞の分類とか活用形とかテクニカルな問題ではない)
②敬語=場面にあった敬語運用力。ひとひねりありむずい
③漢字、表記、言葉の意味、語彙=つまり語彙力(聞いたことも見たことも、読むこともできない初見の表現ばっかり。こんなの役に立つの?)
問題集、参考書、過去問
公式以外から出版物がない寂しさだ。とにかく手に入るモノを新品、中古問わずかき集めた。わたくしは残念なアタマのもちぬしだから量で勝負するタイプ。本代なんて些細な出費には糸目をつけないぜ。プロが出版プロセスを経て世に出した参考書類だけに品質が期待でき結果コスパ、タイパいいんだよね
以下表の16冊で戦った
勉強方法
まずは左上の日本語検定領域別問題集を解いてみる
①1~4級問題収録のため自分のレベルが把握できる
②ただし、それぞれの級に対応した問題数がすくなくなる
③現在の出題形式とは異なる問題集
2015年に改訂版が出版されているが、問題内容は異なるが出題形式は③のまま。どちらでもいいし、問題数が足りなければ両方買ってもいいかもね
次に右下の公式テキストや手に入った古めの過去問にチャレンジして問題形式を理解する。試験の攻略で重要なのはどういう形で出題されるかを理解したうえで勉強に手を付けること。右上の過去問は最終仕上げに温存しておきたいところだが、古めの過去問1回分取り組んでみてもいいかもね
ここまでやってみると意外と手強いことに気づくはずだ。漢字は読めるけど書けなくなっていることに気づくし、聞いたことない表現や熟語がたくさん出てきて若干心が折れる。
そこで左下の必勝単語帳だ。発展編を買ってみたが、難しすぎて、入門編を買い足した。で最後に難読漢字の本を買ったがこれは、入門、発展編から抽出したものだ。とにかくこいつらを3回ほど回し語彙力アップという基礎体力の充実にほどんどの時間を費やした
勉強量はA5ノート93ページ分の漢字練習
敬語は、公式参考書だけでは足りず市販の参考書を何冊か読んだ。マナー講師のものは著者の思い込みで怪しいものもありおすすめはズバリこれだ。著者は辞書の編者でもあり言語的に最も信頼が置けそうな敬語参考書だ
あと手紙の頭語と結語はググってまとめたよ。需要と時間があれば公開しよっと
過去問への取り組み
試験前一ヶ月から過去問に取り組み始めた。なんとか集めた過去5年分+H25年度で試験12回分だ。これ以上は、新品、中古含めて手に入らなかった。設問内容から繰り返すと覚えてしまうため初見でのスコアを重視。1回のみ解いてみた
赤でハイライトしてあるR6(令和6年)の言葉の意味は設問方法が変わっており、ここのみ50%を割る不合格レベルを出してしまった。受験時点で合格確率は25%。シビアだなぁ
正答率80%が必要で、満点を狙えない捨て問上等な試験の性質からするとケアレスミスはほとんどできないエラーマージンの少ない試験だね
カルテの分析と自己採点方法
受験票には12/16(月)にカルテ発送と記載あり
名古屋で12/17(火)の午前中に普通郵便で到着、認定証、認定証明書、個人カルテの3点セットを頂きました。採点結果、解答解説含め割と充実したサポートだなぁ。良心的な試験団体さんだ
バランスよく得点できました。
配点方法は以下の通りのようだが、ピッタリは合わない。
通常10%以下の一級合格率だが、今回は15%もありボーナス回ともいえそうだ。運も実力のウチ。ラッキー
達人を目指すか、隣接領域に移るか?
日本語検定では1級合格10回で、「日本語の達人」認定制度がある。ストレートで5年。ちょっと無理ゲーだ。この試験勉強で興味の出てきた漢字検定に移ろうかな。漢字検定は、6000語、800時間の試験勉強が必要でなかなかやりがいがある
過ぎたるは猶及ばざるが如し
「それぞれの人が勝手気ままに、他人に理解できない文字や言葉を使えば、意思の疎通などできるはずがない。間違った書き方だけでなく、自分はこんなに難しい漢字や言葉を知っているのだぞとばかりに、無駄な知識をひけらかすペダンティックな者が1人いるだけでも、その周辺にはたちどころに厄介な事態が発生する。つまり文字には、社会生活の中で他者とのコミュニケーションを図るための共用ツールとしての性格があって、だから文字が社会の中で円滑に効率よく機能するために、今の日本では日常生活で使うべき漢字の目安が、国の行政機関によって定められている。それが常用漢字表である。」 - 漢字を楽しむp81 阿辻哲次(講談社現代新書)
日本語検定、漢字検定2級までは実用。1級は趣味の世界としてとらえよう。
各言語習得のための勉強時間
英検1級 600時間、 語彙9000
実用フランス語技能検定1級
標準勉強時間600時間、語彙制限なし(準1級で5000)
TOEIC900点 1550時間 語彙9000
中国語 (HSK6級) 720時間、語彙5000
漢字検定準一級 300時間 語彙3000
漢字検定一級 500時間(準一級レベルから)語彙5000
英語の隣接領域としてのフランス語も素敵なのだが、もうフランスへ渡米することもなさそうだし、ま、漢字検定でいっか