-[J2は”平等に”戦国時代だ]モンテディオ山形戦- The press of EHIME NO.14(投げ銭式)
お疲れ様です。De:Lです。
上位4連戦を終えて迎えた山形戦。正直なことをいってしまえば、ドラマなら勝つところ。
ただ奇しくもそのドラマを起こせなかった愛媛。
夏も近づき、続々と梅雨入りする地域もある中で、コンディションを維持することも難しい時期になってきました。
そんな中でも選手たちはよく頑張っていたと思います。来週の天皇杯。鬼門ですね。
またこちらでスペース機能を利用して、たちばなさんをはじめ、いろんな方とラジオ式でお話ししながら試合を見ていたのですが、
結構な人数が集まっていただいて、楽しく観戦できました。
以前の記事からも紹介していますが、
また愛媛FCを学ぶオンライン勉強会やオープンチャットなど、ファンが交流できる場所には積極的に参加していくので、よろしくお願いします!!
いずみさんの運営するオンライン勉強会詳細に関するページへのリンク↓
加えてお知らせというか、「eJリーグ」が開幕するということで私も本戦出場目指して頑張りますので、よろしくお願いします!
また本記事では、”5レーン”や”4(5)レイヤー”などの戦術用語やシステム略称を用います。知らない単語がでてきますと、読みにくい部分もありますので、ぜひ下の戦術解説記事をご一読ください。
また前回の記事は以下になっています。
DAZNでは見逃し配信も可能です。現地にいった人もぜひ試合を見ながら振り返ってみてください。
このthe press of EHIME2021は2021シーズンの愛媛FCの一戦一戦に注目し、よかったこと(Gpoint)と悪かったこと(Bpoint)をまとめ、その試合から愛媛が学ぶことを整理したうえで、特定の選手(FeturePlayer)や、戦術を取り上げ、愛媛の進化を読み解いていこうという完全個人運営のnoteとなっています。ここでの文章、画像、考え方は完全に私個人のもので、愛媛FCとの関連はないもとし、DAZN映像からの引用も含め、一切の商標利用はないことを宣言しておきます。また、4節以降の投稿されたものは投げ銭式となっており、すべて無料で読むことが可能です。
では参りましょう!
1.振り返り
まずはスタメンを
気になるのは内田と前野の同時起用ですね。
ツイッター上では3バックシステムで内田はWBをやるのではとの考察もありましたが、前回の同時起用同様の並びとなりました。
池田はベンチスタートですが、コンディション不良なのかわかりませんが、途中から出たときには普通にプレーしているようでしたし、おそらく戦術的な意図があったのではないかと考えられます。
加えて、前田と小暮が同時に起用されていますから”前田型可変システム”を採用であろうと考えていましたから、このフォーメーションは戦前から予想できたかなとの見方もありますw
この”前田可変システム”については以下の記事を読んでいただけるとわかるかなと思います。
交代を反映したフォーメーションは以下です。
池田が後半途中から出場。内田のレッドカード警戒の意図もあったとも思われますw
後半からは印象として守備時のシステムが変更されたかなとも感じました。
忽那を使っていますから、前回の記事でも言及しましたが、小暮の役割の挑戦していますから、前田可変システムを続けるかなと思いましたが、442に可変しているようでした。
またこれで西田選手はJ2通算300試合を達成したことになりました。本当に愛媛サポーターとして誇らしいことですね!!
DAZN発表のスタッツは以下です。
シュート数、オンターゲットシュート数はともに愛媛が上回りましたね。
注目したいのは毎度ではありますが、アタッキングサイドですよね。
愛媛は試合通してこそこの数字ですが、前半はもっと右によったアタッキングサイドでした。
この要因としましては、まず小暮と茂木のコンビの調子がこの試合通してよかった点ですね。
IHである森谷が右サイドへズレて三角形を形成するいわゆる5レーン式トライアングルをやっていたわけですが、
一方で唐山の薄さですよね。左が使い物になっていないのはその影響が大きいでしょう。
足が速くないことがWGとしては問題で、ディフェンス戦術もまだ甘いでしょうし、ドリブルを仕掛けて1vs1で負ける。まさに質的不利を被っていた印象でした。
2.スタメン考察
論点はこちら
・唐山のワイド起用
・池田の不在(前野と内田の同時起用)
・川村の不調
・小暮と茂木のコンビ
・前田の仕事
ちょっと多いんですけどw、2点に絞ってお話しします。
2.1.唐山のワイド起用
ガンバ大阪からの育成型期限付き移籍でやってきた若武者。
最近この人の話題で溢れかえっていますよね。。。
同時に話題になっているのがワイド起用の有り無しについてですよね。
ThepressofEHIMEでも何度もテーマにして話してきたわけですが、なかなか答えを出すのは難しいテーマですよね。
しかし、一つ結論を出せるとすると、
「この試合では大失敗」
ですねww
まず唐山のワイド起用が刺さる場面は何でしょうか。
1点目は”ゴールに近い位置でのドリブル”ですね
・スピード、瞬発力勝負をしなくてもいい
・テクニックや仲間との連携で勝負できる
・タイミングも
・失点に直結しにくい
このゴール前でのドリブルならば、WGとしての仕事もありますし、まだ可能性が感じます。
ジュビロ戦で唐山のワイド起用に希望が見えたのはまさにこのようなシーンでした。
もう一点は”偽WG”です。
偽WGについては以下のnoteで解説しています。
つまり、守備時はWGのポジションで相手のWBやSBを対応するんですが、攻撃時はWGから中盤乃至はSTくらいのポジショニングを取る。ということですね。
とにかく、アウトサイドレーンを主戦場にするには、圧倒的にスピードが足らない選手ですから、物理的にセンターレーンやハーフレーンの内側などを主戦場にすれば藤本や森谷との連携もやりやすくなりますし、可能性が増しそうです。
一方で、この試合で唐山のワイドはどうだったか。
ここで唐山の前半の平均ポジショニングを見てほしいわけですが、
後半交代しますから、プレー時間の大半である前半だけで見てみると、このポジションです。
ジュビロ戦と比較して相対的にかなり低いのと、もう一つ、かなり外に寄っているんですよね。
つまり、攻撃的なドリブルというより、時間を作るドリブルを仕事としていたと言えると思います。
スピードでは山形の31番SBの方が分がありますし、それは彼の得意なことではない。ということですね。
そしてもう一つ言及したいのは、彼の戦術理解の低さですね。
ユース出身ですから、テクニック的な部分はJ2,3では十分でしょうが、元々トップの選手ですから、サイドの選手に求められるポジションの変化に対応できていない印象です。
言い換えると、”愛媛の可変システムに適応できていない”ということですね。トランジッションも遅いように見えます。
特にネガティブトランジション。攻撃から守備への意識の変化が遅いとされています。
失点シーンを振り返ると
まず前野がインターセプトと同時に相手陣内深くまで侵入。
しかしこのボールを奪われ、ネガティブトランジションとなります。
唐山はボールの入りどころを見て守備をしたところまではよかったですね。
しかし、内田のポジションがアウトサイドレーンを締めきれていないところも直前で見えていたはず。ボールを持っている相手選手はもうアウトサイドレーンしかパスの出しどころがないですから、ここは是が非でもアウトサイドレーンへのパスを防ぐ必要があります。
もちろん、内田が締めることが一番なのですが、偽SB的に直前の攻撃で中央へ寄っていたため、戻り切れていません。
ここで前野も加わってサンドしている状態。自陣の側を担当する唐山は絶対に前を向かせてはいけないシーンですね。
しかし、パスを通され、失点へつながります。
それ以外でも、細かなポジション修正がベンチから指示されるシーンもいくつか見られましたし、まだまだWGとして大成するには時間がかかりそうです。
この結論を経て、できる選択肢としては二つ。
・彼の成長のためにワイド起用を使い続ける。
・愛媛のために得意なワントップ起用をする。
さて、今後愛媛はどちらに舵を切るのでしょうか。
WGもなんなくこなす藤本選手もいますし、今後唐山が日本代表などで活躍するにはやはり特技を伸ばす方向がいいと思うので、自分としてh相変わらずトップ起用を推したいですが()
2.2.前野と内田の同時起用
パス能力と気迫に優れる頼れるベテランの二人。
同時に起用されることはこれまでも3回(甲府、群馬、岡山戦)ありましたが、同時に先発されることは初めてとなります。
これについては、池田との兼ね合いもありますが、同時に先発することで得られるメリットはなんでしょうか?
そのメリットが、今回の山形戦でキーになってきた戦術です。
これに関しては3項目で触れようと思います。
3.偽SBvs偽9番
本記事のタイトルにありますが、
「J2は”平等に”戦国時代」
です。いつも愛媛の記事を書いていたり、読んでいたりすると、愛媛ばかり欧州感漂う現代的なサッカーに挑戦しているように見えますが、ここはJ2。2部リーグとしては非常にレベルの高い、正に魔境と言える場所です。
全てのチームが様々なことに挑戦し、もしくはスタイルを守り、成長を図っています。
山形もまた現代サッカーを目指す1チーム。
そこで今回のテーマになるのが、偽9番というやつです。
偽9番についても、戦術解説記事で取り扱っていますが、
ここでは山形の行う偽9番にフォーカスしてみようと思います。
3.1.山形の偽9番(ゼロトップ)
山形の偽9番を語る上で、当の下がってくるFWに言及しないわけにはいきません。
14番の山田康太選手。
マリノスの生え抜きで、代表経験もある素晴らしい選手です。
山形の攻撃の形は彼を基準としています。
本来のポジションとしては1.5列目のST。
ここから中盤に降りてきて中盤での数的有利を作ると同時に、攻撃を組み立てるゲームメイクをして、さらにはトップの林選手と時間差で入ってくることで、サードレイヤーをうまくいかせるという特徴があります。
このシーンではなんと偽SB的に本来SBの選手が中盤に参加。
その上山田は左の本来SBの位置まで降りています。
直後ボールを預けて、サードレイヤーまで侵入を図ります。
スイートスポットで受けて、
最後は中途半端なプレスになった愛媛陣内を斜めにドリブルし、シュートもパスもできる状況を作ります。
前野としては成すすべ無し。と言ったところ。
可変の方法としてはこんな感じ。
この偽9番はトップの林を残して山田だけが降りている印象です。一時期バルセロナや欧州のクラブでは442のトップ2枚とも降りてくるなんて偽9番もありますが、これは片方のみ降りてくるパターンでした。
3.2.愛媛の偽SB
先ほどの前野と内田の同時起用の話にもなるのですが、偽SBに挑戦しています。
もう一度前半の平均ポジションを見てほしいんですが、
内田が少しうちに入っているとわかると思うのですが、
攻撃時にほぼ中央に入って、ビルドアップを助ける役割を負っているんですが、ここからワイドの唐山もしくは藤本への楔のパスが入ります。
可変の方法はおそらくこのような偽SBを中心にしていると考えられるのですが、もう一つ、この試合で愛媛の主戦場となった右サイドで押し込んだ時に左の動きに工夫がありまして。
内田のポジションが少し内側に寄っていることで、5レーン理論に裏打ちされた(あるレーンに二人、その隣のレーンに一人)トライアングルを複数用意できています。
その上で川村と森谷が自由に動きまわることで、チャンスを演出します。
3.3.前田型可変システム
はっきり言って戦術レベルではほぼ互角のやり合いではありました。
では愛媛に負けをもたらしたものは何か。
守備時の中盤の扱いだと思います。
その守備時の中盤というのが、前田型可変と田中型可変で大きく異なる点です。
こちらが前田型可変システム
こちらが田中型。
どちらが中盤を意識しているかは明々白々ですね。
サッカーの戦術はパズルのピースのようなもの。
相手が偽9番で中盤の支配を厚くしようとするならば、同じような中盤に対して圧力のある田中型の方がパズルのピースとしてハマる。
今回の敗因は前田型可変システムを守備時の中心として使ったところでしょう。
後半になって442に切り替えましたが、やはり後手を踏んだ感は否めません。
4.まとめ
いかがだったでしょうか?
今週も振り返っていきました。強敵との連戦を終えた最初の試合。勝って勢いがほしいところでしたが、しょうがない。終わったことはどうしようもない。
反省し、切り替え、天皇杯へ向かってほしいです。
その次の週は相模原戦。
リーグ戦のためにも、天皇杯を勝って、勢いづいてほしいところです!!
今回もfootball.labさんのデータを参考に書かせていただきました。
昨年の振り返りは以下の記事です。
今回はご一読ありがとうございました。
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