「どんなことがあっても、この手を離したらあかん」
いいセリフだと思ったのだ。
「どんなことがあっても、この手を離したらあかん」。
藤山直美さん主演の舞台「おあきと春団治」のヒトコマ。
日本一の落語家を目指す弟を支えるため、自分のしあわせはかなぐり捨ててなりふり構わず猪突猛進する姉(藤山直美)の物語。
西川忠志(西川きよしの息子くん)演じる桂春団治の破天荒ぶりがこれまたアッパレで。最盛期の春団治、他の噺家さんが30人まとまってかかっても太刀打ちできない圧倒的な強さ。
その一方「女遊びは芸の肥やし」を地で行く放蕩ぶり。
自宅にお妾さんがいけシャアシャアと訪れて正妻さんに憎まれ口をたたいたり。
どんなに芸は極上でも、「こんな旦那、勘弁ください」とひれ伏してしまいそうな春団治だ。
だけど姉は違う。
春団治が日本一になった後、その坂を転がり落ちるかのように見る影もなく落ちぶれて、無一文になってみんなから見放されても、姉だけは弟の手を離さないのだ。
人情もの、と言えば話は完結だけど、現代に置き換えてもこういう姉の絶対的な愛、ってあるなぁとぼんやりと思ったり。
何があっても絶対的に離れない、
その才能に惚れ込んでいるからこそ日本一にしたい、
ずっとファンであり続けたい。
そんなオンリーワン、あなたにとって誰ですか?
新橋演舞場で26日まで。