ニッピ主軸ガタ調整用フックレンチの試作
ラジアルガタ調整用フックレンチを汎用品から買ってみたが肉厚すぎてだいぶん加工しないと使えないのでプラズマCNCで試作一つめ
次いで爪が違う位置にあるのも製作。調整ナットに爪が掛かる凹が90度ごと4か所しかないので形状違い2本あれば台上でチルトアップしただけで調整可能になり便利…というか付属のフックレンチ一本だけでどう調整するんだよ。台から外してひっくり返った亀状態にすれば入るよってのか、筐体から筒ごと抜いた状態で調整することしか想定してないような。マニュアルのガタ調整の説明自体もめちゃくちゃですし工具もいちおう用意してるだけ、みたいに感じます。
角度などを変えたらさらに使い勝手を改善できないか切断溶接で形状を調整したものを使ってみた、これに近い形状で柄がちょい長いのを切り出してみます。
このフックレンチを使い繰り返し締め緩めやると癖がわかりました。丸刃側のロックナットは普通ですが、右側は、
クリアランスが詰まった時点で回すのに必要なトルクが急に立ち上がる。
これは主軸とスリーブがテーパーで当たってる角度が急だからそうだろうなと。微調整は無く、フックレンチでクッと締めてそれ以上回らなくなったらそこでガタをダイヤルゲージで確認し、5/100ミリが2/100ミリくらいに変わったらOK、ここからさらにガタをゼロにしようとしてもかなわずその前に主軸がスムーズに回らなくなる、という感じ。↓計測無しの主観だけで図示してみた。グラフ読み取りに馴染みがある方は参考にしてください。
ドライバーを引っ掛けて叩くのだとちょうどいい叩き強さがあるとして、文章や動画でどう伝授するんでしょうかね?打撃強さを数値化・調整可能な手用工具って想像つかない、ドライバーとハンマーを使う調整作業に熟練した人なら手で叩く感覚で…って熟練するほど調整仕事が舞い込んでこなしてきた人なんているわけなく、トルク感覚が手に伝わるフックレンチを使うでしょう。
このへんは漉き機は専門外でありつつも調整を手掛けているミシン屋が「オレレベルだとドライバーとハンマーで出来るが時間はかかるよ」の方が営業的に有利ってことかも。まともな工具と計測具を使い、そこそこ手が動かせる人なら5分で調整できる手順書があると儲けることができなくなるじゃないですか。ミシン屋が後継ぎをって頃になってドライバーとハンマーのコツを一子相伝しようにも数値化がなくドヤるばかりの教えだと嫌がられますって。漉き機の製造組み立て現場でも初期の頃にそういうコツが継承されなかったから、あの雑な説明書&このレンチ一本でどうやれと?の付属工具になったのでは。
頑張って調整してもガタ0にはならないのと、調整できてなくても平行な円筒部がよほど摩耗していなければ1/10ミリくらいのガタのはず、うちに来たNP-1がそうだったように。そのくらいのガタならガタのうちに入らないと感じるひとは多い。主軸アンギュラボールベアリング入りの漉き機を日常触ってる人なら「あれれ?」ってなる。
マイナスドライバーやらピンポンチを凹に引っ掛けてコツコツ叩いて回すのだと締め付けトルクを検知できませんから調整法としては無理筋、かなり運任せ寄りの行為だと思います。かといって純正工具フックレンチ一本でどうしろと?、という話。そして丸刃側はナットのすぐ横のスリーブにも凹があり、誤ってそちらにレンチやドライバーを当ててナットでなく内側のスリーブを回してしまうとスリーブと外筒の間にある位置決めピンがスリーブのスリットに食い込んでスライドしなくなり、全バラしてそこを開放・リセットする羽目になります。
ですので、丸刃は外して調整したほうが作業誤りの可能性が激減します。都度丸刃を付け砥石で研ぎつつ丸刃を押したときの音の変化でガタ検知をするより、丸刃を外した状態でもガタ確認が確実に遂行できるダイヤルゲージを使ったほうが断然作業効率が上がります。それと新品に近い丸刃だとフックレンチをかける凹部は隠れていますからそのまま調整は不可能です。
まとめ
どんなに調整がうまくできていてもアンギュラボールベアリングを主軸に採用している機械には負けます、どうしても優劣を決めたいならそうですが、ラジアルガタを1/50ミリに調整できていたら回転抵抗を感じても「クリアランスゆるくてカタカタだなあ」とは思わないでしょう。