見出し画像

絶版部品を再生産するのは大きな投資か煩雑な手間が必要

S30zのノーマルノーズヘッドライトカバーはいちおう当時は日産で買えた純正オプション部品ですが、ZGのものと違い純正装着で売られてはいなかったものです。

これをレプリカで作るのは、平たくつぶすとほぼ平面に展開可能なZG枠よりはるかに難しいです。

画像1

左(車的には右側用)がリプロ、右が当時もの… 

↓ゴミをいっぱい作って穴開け前まで作ったのが↑左のやつ、先端から上面のほぼまっすぐのところがちょっと曲がってるとこがダメです。修正するとなると途方もない手間です。

画像2

当時の生産法はおそらく2分割の金型プレス、1ミリかそこら縁大きめを溶接、手削りでトリミングだったのだろうと思う。走るのに必須ではない部品の再生産にそこまで設備投資をするやつはいない。「ワンオフ生産が楽になりスゲー」の21世紀の生産イノベーションである3Dプリンタは、シートメタル成型には通用しない。

画像3
画像5

で、画像一枚目の右は実はリプロで↓ ネジ穴加工まで済ませたものです。

画像4

タイトル画像、ブルー保護フィルム貼ったカバーについてるのが、当時もの枠です、一部マスキングテープ貼ってるけど。

職人の技は持たないし、いやもし超絶職人の手作りでやったとしても一日1セットできるかどうかですね、とんでもない値段になる。

職人技をできるかぎり回避する道具を工夫し、まとめて作れる目途がついて1年近く経つんですが、実際作るとなるとうちの作業場での手作業だと効率が悪いので機械加工可能な工程は外注になります。

本体のアクリルカバーはアメリカの製品でホンモノを超えているくらいデキのよいものがあるのでそちら任せとなります。

まとめ

S30ライトカバー枠を手作りするのは非常に難しいです。

まずアメリカでのクラウドファンディングにしようかな…


それから3年があっという間に過ぎました。ライトカバー枠リプロの構想を放り出していたのを思い出して製作過程の最初の切り出しにプラズマテーブルを使ってみました。

プラズマCNC

レーザー外注で切り出そうと用意していたスキャン(型紙をコンビニ複合機でコピーしたもの)からカットラインを作って切ってみました。試作段階でレーザーカットを外注した場合、単価が膨大になるし、ガレージでカットすれば納期ゼロなので、はかどるといいな。

賦形にはビードローラーが無いとどうにもならないのですが、

電動ビードローラー

ダイセットは枠断面賦形用に削り出し、シャフトには振れがあったので製作して入替えました。φ25の磨き棒の加工の際、以前使っていた旋盤ですと主軸に貫通しなくてどうにもならなかったのも旋盤入替えで解決。安いビードローラーは公差が大きく軸と穴がブカブカでダイセットが偏心して回り、周期ムラがでます。
ダイセットの黒いのは陶芸炉を使い油浸焼き入れしたものです。ダイの形状によっては焼き入れしたほうがよいです。工具鋼削り出し焼き入れする人も居ますが、よく使う形状のダイならS45CやSCM生材で十分かも。

21世紀になってから数年に一度くらいわたしと同じような「試作しましたー」報告はあるのですが誰もリプロ売り出すとこまでは到達しません。「松尾氏の手掛けたS30プロトについてた形状」と言い訳してる平板のや、FRPにめっきとか。要するに当時販売されていた枠と同じものは手作業の繰り返しですから量産によるコストダウン効果がないのです。1000個とか作るつもりで金型プレス製作までやれば可能なのでしょう。