S30初期型ブレーキマスターバックレストア
はじめに
記事を書いてから数年経ち、マスターシリンダーに続きマスターバックもリビルト品がもうほとんど流通しなくなりましたので初期型マスターバックレストアは事業としては継続していません。
その代わり形状もまあまあ純正に近い中国生産新品がでてきているようですのでそちらを調査してみてください。当方ではそれをみたことはありませんのでコメントできません。
S30Zはボディの形がほとんど変わらずに8年以上売られていたけど、車両保安規準の厳格化が毎年のようにあった時代で、キャブからインジェクションに変わって触媒がついたなどのほかにも変更点が多岐にわたります。
コロコロ変わったのがブレーキ、特にS20エンジンが搭載されていた初期型のものは入手困難になっているので、当方でレストアしています。ラバー等を新品交換したリビルト品はそのままだと、S30初期型のレストアベースがほとんどないので別車種のシェルを上下ひっくり返す加工したり、スタッドボルトを付け替えたりして作っているものがほとんどで、かつ、裏フタのカシメを切断してしまっています。裏まで純正形状にこだわる人向けです。
切ってバラシて組んであるリビルト品の裏フタかしめ
上下逆のシェル。斜めの刻みはホース口の側につかないとダメです。錆があったアバタ肌があるほうが本来下側だった、違う車種についていたシェル。
基本、シェルがキレイでレストアベースにできる初期型マスターバックが入手できたときしか作れませんし、リビルト品も常に流通しているものではなくなっていて、リビルト工場がまとめて作り売りだすとすぐ捌けるみたいな動静になっています。
ベースのシェルは分解して剥離全塗装。機能してなかったものはだいたいダイアフラムが破れてます。硬化もしています。
リビルト品の内部を移植します。ペダル側ロッドクレビスネジがM8とM10とがあります。それが無くなってたり偏摩耗してたりしても作れますけど。
リヤ側のシールが特殊品なのが一番のポイント。リビルト品から移植しようにも破壊しないと取れません。探しまくってアメリカから買っています。
上の画像はシールのほか、別車種のシェルフタをリビルト素材にしてスタッド変更しているのがわかります。
最後のパーツ、マスターシリンダーのゲタもリプロしようとしております。
上の画像で奥のは程度良好、手前のはエンジンでいうとこのフルブロー、手遅れでなにも使えません。S30初期型のマスターバックはこんな感じで両極端です。
マスターシリンダーはどうなのか、というとS30のごく初期2年くらいしか使われていなくてもっと入手難。マスターバックと違い、現存するクルマから外したこのタイプのマスターシリンダーってのはまずありません。20世紀に死んでいます。シリンダーのリビルトはステンレススリーブ入れがお勧めですが、入手難のインナーキット、下の画像には未使用2セットとクルマにはつけたものの外して保管しておいた中古ってのを映しています。中古のはラバーだけ交換できたら復活するのですが、ラバーだけのセットは40年とか経った当時ものしかみつかりません。
このタイプが極初期型用。出口同士が近くて、タンクのデカいほう前側なのが識別点。