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好きだったタイの映画や音楽を思い出すチェンマイの風景(タイ旅行3日目)

2025年1月17日
あまりに睡眠の質が良かったのか、夢を見ることもなく朝6時半すぎに目が覚めた。今日は朝ごはんの予定も決まっていない。どうしようかな。雑に「チェンマイ 朝」と検索してみる。すると「金曜雲南ムスリム朝市」というのがあるらしい。毎週金曜に、中国・雲南省からの移民やムスリムの人たちが集まる市場があるのだそう。この日はちょうど金曜日。どうやら朝5時からやっているらしい。行くしかない!初日に古着屋さんで買ったシャツと、昨日ワローロット市場で買ったタイパンツを身に纏う。

全身現地調達

一応みんなのグループメッセに送るが、起こすのも悪いのでサイレントモードで送信。朝が早いせいか、grabバイクもすぐに見つかった。朝が早いせいか、道もすごく空いている。つまりめっちゃ飛ばす。風が寒いな、なんて思っていると、お濠のあたりまできた。ちょうど向こうから朝日が見える。早起きして、本当に良かった。

ちょっと治安が不安になる通りを抜けて、本当にここかな?と思うような細い道をすすむと、突然開けた場所に出た。生肉や野菜などをレジャーシートの上に広げて売っている人たちがいる。思い立つと同時に出てきてしまったのであまり調べきれていないのだけど、もしかしたら食材を買うための市場で、朝ごはんはあんまりなかったりするかな......。そう思いながら前に進むと、何か黒い平たい丸いものを焼いている屋台がある。どうやら餅のようなのだけど、だとしたら他にも食べ物はあるはず。せっかくだから全部回って見てから決めよう。奥に進むと洋服屋さんから小物屋さん、伝統工芸品を売る店までさまざま。

比較的地元の人が多いようだった

食べ物コーナーを歩いていくと、突然ヤギの丸焼き的な何かが吊り下げられた屋台があった。ヤギ肉の生のものを売っているが、そんなに匂いは気にならない。ハチノコなど昆虫を売る店もあった。大切なタンパク質、いろんなものから摂取しているのだろうな。色々食べてみたいので、サイズの大きくなさそうなものを選んで食べる。サモサにはスイートチリソースをかけてくれた。できたてではなくて冷たかったけれど、じゃがいもにハーブが効いていておいしい。

サモサを買ったお店は他にも揚げ物がいっぱい

何か温かいものも食べたくて、饅頭を蒸していたおじさんのところへ行ってみる。何も入っていない饅頭と、小豆が入ったもの、それからココナッツ、と言われた。迷わずココナッツプリーズというと、「ナイスチョイス!」と褒めてくれた。おじさんは一時期大阪に住んでいたことがあるらしい。「ありがとうございます」と見送ってくれた。てっきりココナッツのクリーム的なものが入っているかと思っていたら、ふわふわの真っ白な生地の中に、香ばしいローストココナッツの千切りが入っていた。砂糖は控えめ。今回の旅で食べたスイーツの中で、今のところ一番好きかも。

ココナッツまんを用意してくれている陽気なおじさん

温かいコーヒーが飲みたくなったので、市場を出て一番近くにある、朝早くから開いているカフェまで歩いてみることにした。8時半なのでまだ選択肢は少ない。カフェアマゾンという店で、ホットのアメリカーノを注文。その後、このカフェアマゾンは結構頻繁にあらゆる場所で見かけた。日本でいうドトールみたいな感じだろうか。ホテルにいたみんなはFishballNoodleの店へ行っているらしい。まだ時間には余裕があるし、何をしようかな。ぼんやりGoogleマップを開いたら、初日に行ったマッサージのお寺、ワットマハーワンまで徒歩10分!これは行くしかない!しかも9時から営業!完璧!

ということで、アロカヤマッサージ再訪。しかし、9時ジャストに着いてしまったせいか、誰もいない。お坊さんがいたけれど何か作業をしていたので声をかけるのを躊躇ってしまう。まぁのんびりベンチで待たせてもらおう。鳥の囀り、こんなに聞こえる場所だったんだなぁ。木槌の音も聞こえないから、誰もいないのだろうか。ぼんやり朝の空気の心地よさを満喫していると、鮮やかな黄色の衣を纏ったお坊さんがこちらに歩いてきた。「マッサージ?」と聞くと、私には挨拶することもなく無表情で頷いて通り過ぎ、不機嫌に大声で2階に呼びかける。なんと言っているかはわからないが、不機嫌をはらんだ声で同じフレーズを叫び続ける。ようやく奥から人が来る。

タクシーの運転手さんか何かが寺で休憩しているんだとばかり思っていた、ジャンパーを着たお兄さんがやってきた。お釣りがないというので細かい小銭などをかき集めて全部払う。ますますマッサージの人の代わりに来た受付の人かと思う。しかしこのお兄さんが施術の人だった。2階に案内され、うつ伏せになると、すでに一人マッサージを受けている人が。スキンヘッドだし、営業時間前からいるから、お坊さんだろうか。木槌の音が聞こえないと思ったら、普通のマッサージをしているようだった。お坊さんを担当する施術師は、この間私を担当してくれたおしゃべりなお兄さん!今日も相変わらずずっと喋っていた。

お寺の中はとにかく自然が豊か

ジャンパーのお兄さんもしっかりマッサージは上手。木槌の音はどれも同じと思っていたけど、自分の部位によって叩いた音の余韻に高い音から低い音まである。凝りがほぐれるのか、同じ部位でも後半になるにつれて音が変わる感じもする。音に集中していると、痛みに気が向かずに心地よいことがわかってきた。これはまたいつか再再訪したいなぁ。自分の体が発する音楽のようで面白いので、他の場所でも、そして日本でも、機会があればトークセンを受けてみたい。

grabバイクで戻るとして、まだ10時半!なんと充実した午前中!ホテルに戻ったら、ちょうどちょっと気になっちゃう仕事の連絡が目についてしまったので、みんなが戻ってくるまでの間チャチャっと片付ける。これくらいは、心置きなく休むために良しとする。みんなは朝ごはん食べてお散歩などしていたらしいけど、お昼に腹ペコなのは私だけかな......と恥じらいつつも、疲れたとかお腹空いたというのを、みんなに合わせすぎず、ちゃんと言う練習もしようと思っているこの旅。「私、腹ペコです!」と勇気を出して言ってみたら、みんなも食べられるらしい。バイク1台と車に分かれて、もう一軒のカオソーイ屋さんへ行くことに。せっかくだから、私がバイクで先に行くことにした。街並みが、知っているチェンマイの感じからどんどん郊外の雰囲気になっていく。道も広くなる。周りを走る車のスピードも上がる。つまり、バイクのスピードも上がる。Grabバイクはお客さんにヘルメットを被せるタイプと、被せないタイプがいる。今回は、ゆるゆるのヘルメットを渡された。かぶってみるけどスピードがスピードだけに、落ちそう。片手で必死に座面をつかみ、もう片方の手でヘルメットを押さえる。今回乗ったバイクはちょうどスピードメーターが見えるものだった。結構速いぞ。というか風がすごい。目が痛い。ゴーグルないんですけど。え、60キロ?結構飛ばすなぁ。え、もっと飛ばすの?70キロ?速いって!まぁ慣れてるんだろうなぁ。と考えていたら、急にスピードを緩めて細い舗装も薄れた道に入っていった。いいぞいいぞ。知る人ぞ知るカオソーイ屋に近づいていく感じ。

と思ったんだけど、なんだかドライバーさんのiPhoneの挙動が変。明らかに今の道まっすぐだったのに、直前で現在地が変わる、迂回する道を指す。また地図がぐるぐる回る。これ、ぼったくりとかじゃなくて、普通に迷ってるやつだ。たぶん直射日光の暑さでiPhoneがおかしくなってる。とうとう道端でバイクを停車してしまった。私もカバンの底に入れておいたiPhoneを取り出してみる。たった今すぎた細い路地を進んで右に曲がれば戻れるみたい。英語はわからないようなので、とりあえず私のiPhoneを見せる。ひとっこ一人いない田舎道で知らないタイ人ドライバーと二人きり、道に迷う日が人生で起こるとは想像していなかったけれど、一緒に迷ってたどり着くのは楽しかった。

看板が見えて一安心

到着したのはカオソーイメーマニーというお店。ミシュランのロゴを飾っているが、ここも何か星を取ったのだろうか。昨日行ったカオソーイメーサイの大混雑とは違い、入ればすぐに座れる感じ。せっかくだからみんなを待とうと思うが、車がつかまらなくてあと15分かかるらしい。せっかくだから、この郊外の街並みも気になるし、一人で散歩してみよう。ぐるっと回り道をすれば、真裏に食料品店もあるみたい。気になる。歩いていくとピンク色の壁がかわいい食料品店が見えてきた。と言いつつ、トイレットペーパーやティッシュ、タイガーバームなど、なんでも日用品屋さんという感じ。そういえば、バームがもうすぐ終わってしまうんだった。ゴールデンカップバームがいいらしいと何かのブログで読んだのだけど、ちょうど良さそうなサイズのものが二つ、埃をかぶって並んでいる。そのうち一つを購入してみた。ご飯を食べながら気だるそうにiPhoneで動画を見ながらレジを担当する若者、この空気感に合っててとてもよかった。

ピンクとブルーの壁が南国の陽光に映える

そこからカオソーイ屋さんに戻ろうとするが、細すぎて嘘だろという店をGoogleマップが指している。一度通り過ぎたけど、やっぱりここだ。お腹空いてぺこぺこなので、怪しい道でも近道がいい。治安が悪い感じはしない。さっきから車で通り過ぎる人も、軒先でぼーっとしてるおっちゃんも、なんだかのんびりした雰囲気。舗装もされない道路を歩いていくと、何かが正面にいる。犬だ。近づいたら逃げるかと思ったが、こっちに来たり、遠くへ行ったり、吠えたり、なかなかいなくならない。ちなみにずっとこっちを見てる。犬か猫かで言ったら犬派だし、犬は大好き。だけど野犬には気をつけたほうがいいといろんなところで読んだことがある。狂犬病とかもこわい。吠え続けられながら、小学生の頃に小田原で鍛えられた「猿に遭遇したらどうするか」と同じ方法で、目を合わせたまま距離をとって、一気にダッシュで逃げきった。

そんなに睨まないで

そしたら、また犬がいる。同じ犬種だけどおとなしそう。今度は吠えもしないし逃げてった。ほっ。よかった。ところがさらに先でまた犬の声。結構トゲトゲしい声で吠えている。もうやだぁ。勘弁してよ。と思ったら柵の内側から2匹。見慣れない顔の犬。顔が平たくて、大型犬ばかりを見かけるタイでは珍しく小型犬で、とにかくよく吠える。でもこっちに来ないのがわかっているから、私は余裕。

黒い子の迫力がすごかった

角を曲がって、ようやくみんなと合流できた。カオソーイはおいしかった。あげ麺がとにかくおいしい。カレーのスープは昨日食べたのよりあっさりしている。日本で食べるカオソーイはもっとこっくりしているイメージだけど、どうやらチェンマイではサッパリ系が多いみたい。これなら暑い気候でも食べたくなる。追加でかまぼこ的なものかと思ってSURIMIというメニューを頼んだら、スープに入ったたくさんのカニカマが出てきた。この不思議な体験も含めて、忘れられないランチになった。

ポークボールのカオソーイを注文。一番奥がSURIMI

大通りに出ようと歩くと、川沿いにテーブルを出してくつろぐ男性二人と女性一人。何か既視感がある。あれだ。アピチャッポン監督の映画で見た景色だ。MEMORIAの舞台はコロンビアだったけど、映画の後半にこんな描写がなかったっけ。アピチャッポンがタイ人だと今ここで思い出せたことが嬉しい。検索とかじゃなく、見た景色や音や空気で映画を思い出せるのは嬉しい。

(その後調べたら、アピチャッポンがチェンマイで制作をしているとWikiに書いてあった。今までにない深さで納得した。その後バンコクに行ってみて、やはりアピチャッポンはチェンマイだと再び感じることになる。)

左側はもっと森というのか自然が広がっていた

その橋を渡ると、今度は別のお爺さんの声。3人のお爺さんが高い高い屋根付きの、広大な広場のようなところで鉄球を投げている。鉄球は手のひらサイズ。それをボーリングのように、しかし逆手で投げて、ぶつけている。絶対難しいのにめっちゃ上手い。日本で言えばゲートボールのような感じかな。彼らはどれくらいの頻度でこの競技をしているんだろう。どんなことを話しながら遊んでいるのだろう。平日の昼間からのびのびと遊ぶ大人の姿というのはとてもいいな。よく耳をすませると上の方から犬の声がする。尋常じゃないほどする。一体どれだけ大量にいるのか。柵の隙間から覗いたら、ざっと見ただけで20匹はいそう。寺のようだから、野犬を引き取ったりしているのだろうか。

鉄球投げ謎ゲームに興じる地元の人たち

OJISANというリサイクルショップに向かう途中、屋台のココナッツアイス屋のおじちゃんが、お昼を食べていた。アイス、食べたい!と思ってトッピングを眺めていると、にこやかにこっちへ来てくれる。みんなが一つずつ注文したら、トッピングは好きなものを好きなだけ乗せていいと言ってくれる。太っ腹!そして、ココナッツアイスは甘すぎなくておいしい。トッピングのデザートとしてとうもろこしがあるのもなんだか面白い。そういえばチェンマイに来てからコーンジュースの紙パックも飲んだけど、甘いコーンポタージュのようだった。タイではとうもろこしは果物の扱いなのだろうか。

OJISANは広大な倉庫のような場所だったけれど、残念ながら撮影NGだったので写真はない。しかしマグカップコーナーを見れば「おとうさんおかあさんありがとう」と子どもの手書きの日本語が印刷されたものが販売されていたり、一体どうやって仕入れているのかわからないものばかり。謎にスラムダンクのポスターが何枚か貼ってある。カーテン売り場の壁には大きすぎる富士山の絵。こんなの銭湯でしか見たことないよ。真似して描いたのかな。ワンピースのキャラのフィギュアがぎっしり入ったガラスケースには「Not for sale」の文字。さてはこの店のオーナー、日本好きだな。OJISANという店名は同音異議語でタイ語なのかと思っていたが、きっと日本語の「おじさん」だと確信に変わった。

それからちょっとカフェで休憩をして、甘い甘いタイティーを飲む。カフェでオンライン会議をしているしーちゃんと今村さんを残して、山田さんファミリーと私でターニン市場へ行ってみた。ローカルな市場へ行くほど英語は通じない。2リットルのペットボトルを枕に、屋台の店番をしながらつっぷして寝ているお母さんがいる。スマホで動画を見続けている若者がいる。同世代の店員同士で楽しげにおしゃべりを続ける人たちがいる。市場で働く人たちは、みんないい顔をしている。せっかくなのでおつまみを買って、私はリオビールを、山田さんはるかさんはチャーンビールを買って乾杯する。

こんなお惣菜を見たらビールしかない
この肉の串焼きもおいしかった
お母さんのリブの勧め方がうまくて、次はキッチン付きの宿にして自炊しようと決意

その後再び車で移動し、ムアンチエンマイ警察署の併設カフェを目指す。ここには私によく似た女性がいるらしい。顔を振る舞いも似てるらしい。異国に自分に似た人がいるって、どんな感覚なのだろう......ととてもドキドキしながら向かったが、時間は17時過ぎ。公務員の敷地だからなのか、今日は閉店後だった。残念。またいつか、会いにきてみようと思う。

いつかタイのドッペルゲンガーに会うため、カフェ外観だけ覚えた

お寺を見たりするけど、なんだか観光っぽくてあまり興味はそそらない。唯一グッと来たのは、広大な本殿で、立ったまま見るといささか頭が大きすぎるように思えた仏像が、床に座ってあぐらをかいて見上げるとちょうど良いバランスだった。日本の茶室の天井の高さのような「座った時にちょうどよい」という職人が世界中にいるのだろうなと思う。

今日も夕飯は夜市。ずっと食べて見たかった、あらゆるところに屋台が出ているロティという食べ物を頼む。バターたっぷりの小麦粉のクレープのようなパイのようなもの。この辺りは欧米の人たちの人気観光地なのか、アジアっぽくない顔が多い。ロティの屋台では私たちの前にも3人英語で話す人たちが並んでいた。鍋が一つしかないので、順番に作っていく。作り置きせずに熱々を食べられるなんて最高だな、と思っていると、前に並んでいた欧米系の男性が店員さんに声を荒げる。「こんなに待ってるのになんでまだ僕のができないんだ。お金返せ。」タイ人の店員さんはスムーズにお金を渡し、次に並んでいた私たちに困ったそぶりもなくにっこりと微笑んだ。こういう対応に慣れているんだろうな。喧嘩もせず、ストレスにもしない感じで受け流す感じ、かっこいいな。そういえば、チェンマイに来てから人の怒りに触れる機会が全然ない。当事者としての自分の周りだけじゃなく、怒号を聞いたり舌打ちするような場面に全然出会わない。強いて言えば昨日のお寺でマッサージ師を呼ぶお坊さんの不機嫌っぽい声くらい。怒りという感情を忘れて過ごせる。これもチェンマイの良さなのかもしれない。

ロティのロールはあまり見かけなかったけど食べやすくて気に入った

ロティはもちろんとってもおいしくて、しっとりサクサクで、みんなと半分こしようと思っていたのに、おいしすぎて大半を一人でペロリと食べてしまった。食べ終わったとき「あ......」と気づいて恥ずかしくなったほど夢中で食べてしまった。

その後各々が欲しいものを買って来ることにした。私はお粥を食べる。ビニール袋に入れられ、薄いテロテロのプラスチックのボウルとレンゲと共に渡された。袋にたっぷり入っているので、ボウルに出すのも一苦労。出してみたら想像以上に多い。これ、食べ切れるのか。味は生姜が効いている。パクチーと、チキンもよい。チキンの出汁が優しい。ジャスミンライスの香りも良い。これなら、山田さんはるかさんのお子さんでも食べられる、とお裾分け。おかげでなんとか食べ終えられた。

テイクアウトで渡されたセット
苦戦しながらなんとか準備完了

ホテルに戻るのに、せっかくだからとトゥクトゥクに乗ることに。基本的に観光客向けなので値段をふっかけられることが多いのだが、私としーちゃん、今村さんの3人が乗ろうとしたトゥクトゥクでは価格交渉しようとしたら、逆に最初から安い値段で言ってくれた。お願いして目的地のワンニマンまで。到着して払おうとすると、お釣りの10バーツコインが足りないようだ。とても親切な人だったのでチップとしてあげた。すると「あなたたちが今日初めてのお客様」と苦笑い。「コップンカー」というと、嬉しそうに微笑み直して夜のチェンマイに出て行った。

ほろ酔いで乗るトゥクトゥクと夜風、気持ち良い

ワンニマンから少し歩いて、Joostで夜のデザート代わりにスムージーを。そして飲みながら歩いて、再び足のマッサージ。マリンダというマッサージショップで足マッサージを1時間。「Many Walk?」と言いながら、施術のお兄さんが聞く。最初、聞き取れなくて聞き返したら「Many Walk?」ともう一度言いながら、私の脛の上を、彼の手の人差し指と中指で歩くようなジェスチャーで伝えた。Yes、と答えた。足を触るだけでわかるのだろうか。念入りにほぐしてもらって片足が終わった時、膝まで上げていたズボンを丁寧に下ろしてくれた。彼は「チェンマイパンツ?」と微笑みながら聞いた。昨日、ワローロットの市場で買ったタイパンツだった。タイパンツとチェンマイパンツに違いがあるのだろうか?と思いながらYes、と答えた。

既視感がある。そうだ、沖縄の、那覇にある「小桜」という居酒屋で飲んでいたときに接客してくれた男子大学生のバイトさん。私がその日着ていた琉球絣を見て「南風原(はえばる)ですか?」と聞いてくれた。あいにく、私の絣は古着屋で買って説明がなかったので、どこのものだかはわからない。だけど「南風原は花織の産地なので、学校で習ったんです」という彼の言葉が印象に残った。地元の特産品のテキスタイルに興味を示す若者の男性が、沖縄にもチェンマイにいるということは、世界には他にもいるのかもしれない。あたたかく優しく施術も嬉しかった。

今夜は金曜の夜だからなのか、マッサージから帰る途中、いつもは静かな道なのに、至る所で爆音で音楽が鳴っている。テラスで飲んでいる大学生風の集団。テーブルにはおびただしい量のビール瓶。立ち上がって曲に合わせて踊り出す。いいなぁ。明るい。そして、張り合うように向かいの店でも爆音。苦情なんてないのだろうな。日本じゃアコースティックの演奏だって制限がかかる場所もあるというのに。

いつも銀行の前で弾き語りしていた少年

明日はバンコク入り。先月、沖縄でタイに詳しいハイナさんから教えてもらったお店で音楽を聴けたらいいな。そういえばDesktopErrorってバンドもタイだった。ということはYellow Fangも。あとなんだっけ、プールのジャケットの。Gym and swimだ。ってことはSeal Pillowもだ。一時期、タイのインディーズを掘って聴いてたこと、来日公演があればライブも見にいっていたを今更思い出した。今回、しーちゃんの案内になるべく委ねたかったので、タイのことは極力調べたり思い出したりしないようにして旅に出た。だけどこういうタイミングで、自分のiPhoneの中のメモやなんかを検索かけなくても、好きなものはちゃんと脳が思い出せる、という感覚が気持ち良い。部屋で適当に音楽流しながら、荷造り。荷造りが終わっても、楽しくなってしまってタイ音楽のプレイリストを作り、みんなのグループメッセにサイレントモードで送って眠りについた。

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