見出し画像

【シリーズCで17億円資金調達】トリビューの今までとこれから

美容医療のプラットフォーム「トリビュー」の代表・毛(もう)と申します。

突然ですが、「最近シミが出てきたな...」ふと鏡を見て気になることはありませんか?

トリビューのミッション「ありたい自分でいられる」ことは、働き方やキャリア、色々なことが自由に選択できるようになってきた現代において、見た目においても好きな自分でいられることで自信が継続し、人生がポジティブに変化していくことを目指しています。
美容医療はそれを実現する1つの、そして根本解決ができる本質的なアプローチだと考えています。

この度、トリビューはシリーズCで約17億円の資金調達を行い、累計調達額は約33億円となりました。せっかくの機会ですので、意外と今までお話する機会がなかったトリビューの軌跡と、これからトリビューが目指すことをお話しできたらと思います。

「熱量を持って美容医療のサービスをできるのは、私しかいない」

「え!?整形のサービスやるの!?」“美容医療”というワードもまだなく、整形への偏見がまだまだあった8年前、トリビューを始めるうえで、私自身も「周りに積極的に話していない美容医療の経験を、オープンにしなきゃいけない」という点において覚悟が必要でした。でもそれ以上に、「化粧や他の手段でどうにもできないこと」を美容医療で改善して、「なんだか今日の自分、ちょっといい感じ」って思える日が増えることは、何にも代え難いと思ったんです。自分にとっていい状態が継続すると、人との関わり方や意思決定も変わっていくので、人生にポジティブな影響があると信じて止みませんでした。

何より美容医療にネガティブな空気感がある中でも「熱量を持って美容医療のサービスができるのは、私しかいない」と思ったのが、トリビューを始めたきっかけです。

私の考える美容医療の社会意義については、こちらのnoteで詳しく書いたので、よろしければ読んでみてください。

会社を設立してから約2年弱、売り上げは0

当時のオフィスと作業風景

もちろん、今日までずっと順調だったわけではありません。2017年7月に会社を設立してから約2年弱、売り上げは0。調達資金が尽きるのが早いか、サービスが立ち上がるのが早いかという状況で、減っていく銀行口座の残高を見て焦る日々でした。しかし、美容医療の情報が少なかった当時、ユーザーにとってリアルな口コミ投稿が一番有意義だと信じ、口コミ投稿を増やすべく奔走していました。

丸1年ほどは毎日X(旧Twitter)で美容医療の報告をしている人に「トリビューに口コミを投稿してもらえませんか?」と毎日数十通のDMを送り、口コミ投稿が順調に完了するための投稿機能のUI/UX改善、カスタマーサポートなどに無心で取り組んでいました。

SNSやブログで体験談を書いていた方はいましたが、みなさん書きたいことを書きたいように書いていて、知りたいことが網羅されていないことが課題だと感じていたので、投稿する側は悩まなくても書けるように、読む側は知りたいことが網羅されていることを意識して口コミの投稿画面を設計していました。

【トリビューの口コミで知ることができる内容】
・どのクリニックのどの先生にお願いしたのか
・いくらでどのメニューをやったのか(例えば同じ二重施術でもクリニックによってメニューがたくさんある)
・なぜそのメニューを最終的に選んだのか
・最終的に値段はいくらになったのか
・ドクターやスタッフの対応はどうだったか
・当日はどういう流れなのか
・施術後の効果や痛みの度合いはどう変化していくのか、何日くらいでダウンタイムは終わるのか
・最終的に満足しているのか

第1の停滞期| トリビュー経由の初月予約件数は4件だった



2018年11月、ついにクリニックへの予約サービスを開始。「やっと売り上げが立つぞー!」なんて期待も虚しく、初月の月間の予約数は「4件」という厳しい現実を突きつけられました。当初多いクリニックでは30件程度口コミが溜まっていて「予約の導線を改善すれば、予約は増えるだろう!」と考えていましたが、全くと言っていいほど、予約は増えませんでした。当時口コミ件数や情報はまだまだ少なく、サービス完成度もまだ低いことは重々自覚していたものの、さすがにもう少し入ると思っていました笑
覚悟を決め、目の前のユーザーとプロダクトにひたすら向き合うことに。

予約サービスとしてのPMF

ユーザーニーズと合っていないと思い、このタイミングで「ユーザーは情報収集の際にどういう順番で何の情報を見ているのか、トリビューから予約してもらうためには何が必要なのか」ユーザーインタビューを重ねながら、「予約」にフォーカスして体験を再考することにしました。
1番の課題は、「口コミサービスとして認知はされているが、予約サービスとして認知されていない」ことと結論づけ、「トリビュー経由で予約する価値があると感じてもらうために、クリニックのHPにはないメリットを作ろう。まずは『お得さ』がシンプル且つメリットが伝わりやすいだろう」と考え、下記2つに注力しました。

①ポイントサービスの開始
現在も続くポイントサービスをこの頃始めました。美容クリニックによって得意施術や扱っているメニューも異なります。だから、ユーザーには一つのクリニックに通い続けるよりも、施術内容に応じて得意なクリニックを選んでもらいたいと思っているので、そういう点においてもプラットフォームであるトリビューにポイントが貯まっていくシステムには価値があると思っています。
ちなみに、一般のECサイトなどではなかなか起きないと思うのですが、美容医療は特性上、予約時と診察後で施術するメニューと金額が変わってしまうことが多いことからポイントの付与も利用もクリニックさんのご協力が必要なのですが、当時はオペレーション構築と浸透にかなり苦労しました。
ユーザーがポイントを利用したいと申告しても、受付の方が認識しておらず利用できないこともざらにありました。

②トリビュー限定のモニターメニューの掲載を開始
美容クリニックには自院の症例写真を増やすための「モニター制度」があります。患者はモニターとして写真撮影に協力することで通常よりお得に施術が受けられるのですが、当時モニター募集を大々的にしているクリニックが少なく、これはチャンスと考えました。当時の営業数名と私は、クリニックにトリビュー限定のモニターメニューを作って欲しいと提案をして限定メニューを作っていただきました。

この試みは大当たり。モニターメニューを作れば作るほど予約数が増え、一時期はモニターメニューばかりになり、モニターサイトか!?と見紛うほどになっていました。
予約機能開始から10ヶ月が経った2019年8月、ついに月間予約数が100件に到達。「やっと100件だ…!」と思ったのをよく覚えています。それから4ヶ月後の12月、月間予約数が一気に伸び、480件に到達。そこから右肩上がりに件数が増え、初めて「事業が伸びるかも」と予感しました。

第2の停滞期 |メニューを増やしても予約が増えない


そんなモニターブームも長くは続かず、メニュー数に対して予約数が伸びない時期が2021年に訪れました。モニターメニューが増えすぎて、ユーザーがメニュー選びしにくい状態になっていたのが原因だと思います。
また、当時ユーザー獲得経路であったXの美容アカウントの大半が外科施術経験者で、口コミサービスとの相性が良かったこともあって、それまでトリビューは美容外科メニューばかりを作っていました。しかし、美容医療の市場調査や学会データによると、市場の件数の約9割が美容皮膚科、市場が伸長しているのも美容皮膚科だったんです。

新たなユーザー層への拡大


「サービス拡大のため、トリビューも美容皮膚科領域に力を入れよう」と決意。2021年後半からセールスに美容皮膚科チームを作り、美容皮膚科クリニックへの新規営業に励みました。
皮膚科の施術は、外科に比べるとビフォーアフターの変化が分かりにくいものも多いので、口コミ・症例写真を増やすことよりも、施術メニューのバリエーションを増やすことに注力しました。

クリニックやメニューのバリエーションが増えるにつれて皮膚科の予約件数はどんどん増えて、外科と同じくらいの割合の予約数まで到達。ユーザー層の拡大ができました。この頃始めた広告配信も皮膚科ユーザー拡大の一助になったと思います。

第3の停滞期|キャパオーバー

2022年中盤〜後半、またも予約件数の停滞が訪れました。広告配信をしても、なかなかユーザー定着・予約につながらず水漏れしてしまう状態で、打破する方法を考えたくても、社員の半分を私がマネジメントしていたり、心配でSlackの全チャンネルの全やりとりに目を通し、プッシュ通知の文言や特集のタイトルにまで口出ししたりしていたので、キャパオーバーしていました。そんな状態だったので、自分の戦略に確信が持てず、今思い返すと一番しんどい時期でした。

そんなある時、先輩経営者から経営者向けコーチング研修を勧められ、参加してみたんです。「自分の思考の癖を認識して、自由になる」というようなテーマでした。人はみんな無意識にしている思考の癖があります。癖を認識した上で、続けるか続けないか選択するという内容で、例えば「Slackを全部見ていないと、悪いことが起きるのではないか」「自分が全てのことに全力でないと人が着いてこないのではないか」という心配も私の当時の思考の癖で、これにはメリットもあるがデメリットもあると両側面をフラットに認識できました。そして、今の自分の頑張り方では拡大が難しいと限界を受け入れることができました。

特に、一緒に研修に参加していた大企業の元副社長の「自分が一番頑張らないでも会社は伸びる」という言葉が衝撃的でした。こんなに辛くて頑張ってるのに成果が出てないなら、一度大胆に変えてみよう!と思い、自分が直接マネジメントしていた会社の半分(つまり事業全体)をCOO小尾さんに全部任せることにしました。

頑張らずに成果が出るということ

会社設立当時からコードを書く以外ほとんど仕事の0→1を自身でやっていたので、自分が手を離せるかという、自分との戦いでした。
それまでは任せてみる→思うものが出てこない→不満なので任せないのループを繰り返していたところから、自分の思う良いアウトプットが出てくるためのフォーマット・仕組み作りに興味を向けてPDCAを回すこと、コントロールするためのマネジメントから、成果の出し方を定義するマネジメントへ考え方をシフトしていきました。
全ての情報を知るということから、経営として判断するために必要な情報を必要な粒感でインプットするため、そして意思決定が現場メンバーまで届くよう会議体や報告フォーマットも一新しました。

最初は気になることを全てリストアップして、小尾さんとの1on1で細かく思考回路や意思決定基準など確認していましたが、小尾さんと考えにズレがないと思えてからは、徐々に気にならなくなりました。(ちなみに大きく考えがズレたことは一度もありませんでした)小尾さんのマネジメント能力が高く、「自分がマネジメントしていた時より、みんなやる気あるのでは」とまで思いましたし、これが初めて経験した「頑張らずに成果が出る」でした。

私がいなくても事業が回ると実感できるようになってからは、「数年先を見据えて会社を大きくするためには、何をしたらいいんだろう」と腰を落ち着けて考えられるようになりました。

改めてプロダクトに向き合った2023年

前述の2023年前半までの広告配信がユーザー増と予約につながらないことを受けて、広告配信は一旦中止し、ユーザーの定量調査を本格的に開始しました。それまで定性的な声や自分のユーザー感覚に頼って開発することが多かったのですが、定量調査でデータを元に大きな方針を定めた上で、N1インタビューで課題・施策を深掘り解像度を上げるというスタイルに変えました。

2020年頃に比べると改善していたものの、まだまだ予約サービスとしての認知が少ないと判明。プロダクトに向き合い、予約・ポイントのメリット訴求やサービスの使い方のオンボーディング、ユーザーの興味に合わせたメニュー提案など強化しました。データアナリストチームを発足させて、ユーザーがどういう行動をすれば予約につながりやすいのかを知るため、マジックナンバーを見つける試みもこの頃から始めました。例えば「皮膚科を予約するユーザーは会員登録後N日以内にメニューを何件見ているのか」「外科を予約するユーザーは会員登録後N日以内に口コミを何件以上見ているのか」など数値を明らかにすることで、各チームの目標もよりシャープにできました。

データに基づく定量的な部分と、N1インタビューに基づく定性的な部分、両面からアプローチすることと、定性面も「具体的にどういう外部影響があり、どういうシーンで、どんなワード検索をしたか」などかなり具体的なところまでユーザーを掘り下げることで自信を持って施策を実行していけるようになりました
また、向こう3年でユーザー層を拡大していく上で優先的に強化していく体験を言語化したプロダクトバリューも定義し、プロダクトロードマップではそのバリューをこのQではどのくらいのバランスで強化するのか?を明確にして運用するようになりました。

定量調査を元にしたセグメンテーション
セグメントごとのボリュームと優先度、既ユーザー率、拡大時期
ユーザージャーニー

CVRは2倍に、売上は前年比+91%で急成長

事業と組織、両面からやり方を見直した結果、新規ユーザーの予約率は1年で2倍、今年8月の月次売上は前年比+91%と大きく成長させることができました。


17億円の資金調達。トリビューの何が評価されたのか?

今回リードで投資いただいたミネルバはレイターステージを中心に投資しているVCで、市場や事業の成長性を評価いただきました。
調達資料から抜粋して投資家の反応がよかった部分を紹介します。

①市場性|美容医療市場の成長ポテンシャル


②ユーザーニーズ|ユーザーの課題が大きくトリビューの成長ポテンシャルが大きい


③実績|ユーザーからの信頼を獲得し、継続利用されているサービスであり売上が急成長中



今後の成長戦略

トリビューは、2023年のプロダクト改善を経て、新しいユーザーが予約・定着し、伸びる状態になったプロダクトをもっと伸ばしていくグロースのフェーズにいます。


①マーケティング強化
認知率と利用率を上げるためのマーケティングに投資します。6,000億円規模と言われている市場におけるトリビューの流通シェアを2030年に30%にしたいと考えています。現在は市場の1.5%しかありませんが、食やホテルなど他領域のプラットフォームのシェアを踏まえると全く不可能な数字ではないと思っています。

②プロダクト強化
トリビューは「迷わない」「お得」「簡単・楽」「安心」という4つのプロダクトバリューを大切にしており、それぞれの価値をさらに高めたいです。例えば「迷わない」の中では、ユーザーへのリコメンドを強化していきたいです。私は友人におすすめの美容医療を聞かれたときに、「一番悩んでいるのは何?痛くて効果があるものと、痛くないけど効果が薄いものだったらどっちがいい?予算は?」と聞いてから提案するように、トリビューでもユーザーの希望や志向をもっと知ることができたら、満足度高い施術をリコメンドできると思うんですね。トリビューに予約データが貯まり学習していくことで、「次にこの施術をすると満足度が高いですよ」「この施術を2回しても満足のいかないあなたは、この施術の方がいいかもしれません」というような、トリビューを使えば使うほど満足度が上がるリコメンドをしていきたいと考えています。

③toC/toB 両領域で新たな事業開発・採用強化
トリビューの流通シェア30%達成は、今までにしたことのないチャレンジをしなければ、実現しないと考えています。現状の送客ビジネスのシェア拡大も大切ですが、
・「今ある資産を活かして、どういう順番でどんな事業展開をしていくか?」
・「新しい付加価値を作るために、アライアンスで拡大していこう」
・「世界から日本の美容医療を求めてくる人を増やしてマーケットを拡大しよう」
というような、中長期を見据えた仕込みをするために経営陣含めた組織強化をしていきたいです。

創業8年目を迎えて、社内に美容医療にまつわるデータが貯まってきて、プロダクトも改善されてきています。
急成長する美容医療マーケットにおいてトリビューは国内最大規模まで成長したものの、まだまだシェアは1.5%程度。情報はたくさんあるけど、選び方がわからない。トリビューを見れば迷わない、そんなスタンダードを作っていきます。
徹底的にユーザーに向き合ってきたトリビューだからこそ、クリニック・業界にとってもなくてはならない存在になるため、多角的に事業拡大していきます。
やりたい仕掛けがたくさんあります。ここから先、ぜひみなさんの力を貸してください。


👇採用ページはこちら

11月6日(水)と12日(火)にオンライン会社説明会も実施します!!
少しでも興味を持っていただけたら、気軽にご参加ください!!

👉ご応募はこちら👈

オンライン会社説明会実施します!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?