極道納豆 ②
それでは実際の製造工程をご覧ください。
まず、納豆に向いた品種の大豆を選びます。
これはスズマルと言う品種で、やや小ぶりの粒を使いました。
普通サイズの大豆(枝豆サイズ)を使うとトンデモサイズの納豆になります。
加熱時間も大幅に伸び、納豆菌の回りも悪く不均一になるので使いません。
豆問屋から直接買いましたが、販売単位が30kgから・・笑
所有している圧力鍋に入るMAX量が1kg。
では豆を水に浸して行きます。
浸漬時間は一晩程度。
一晩でこうなります。
水の温度の影響が大きく、季節によって加減します。
乾燥時の2,5倍位になってます。
蒸煮時間はこの鍋の場合70分。
実はこの蒸煮時間が最大の曲者で、当初はある業者が公開していた製法通りの蒸煮時間でやっていたのですが、何度やっても中途半端な出来にしかならず、原因を他の工程に求めて、長い事試行錯誤していました。
おびただしい量の大豆が納豆以外の何かにせざるを得ない悲しい事になっていたのです。
さて、
ある日、ふとした事で圧力鍋の性能値を調べ、その他の様々なメーカーの圧力値を比較していたところ、家庭用のこの手の鍋には差が殆どなかったのですが、その時、頭の中でキュイ~ンと言う音が響き渡り(本当にそんな音が鳴った気がした・・。)ある事に気が付きます。
それは、納豆メーカーは業務用の巨大な圧力鍋を使っていると言う事です。
つまり、
家庭用とは違った圧力で蒸煮しているのではないか?と言う事です。
灯台元暗し・・。
それからネット上を虱潰しに調べ捲くり、機械の製造メーカーを突き止めました。しかし性能諸元表の開示は無く、仕方が無いので直接メーカーに電話を掛け、事情を説明して教えてもらう事に・・。
駄菓子菓子。
受付から始まる怒涛の「たらい回しキャラバン」が始まり、その都度最初から事情を説明する羽目に・・。さすがにめげてもういいや‥となりかけた時にやっと話の通じる担当者に繋がりました。(良かった・・。)
結果、案の定予想通り。
圧力値に大きな乖離がありました。
つまり業者と同じレベルに仕上げるには、そのままの鍋を使うのであれば、蒸煮時間を延ばして対応するしかない・・と言う結論に達したのです。
そうと分かれば後は何度かの試作を経て蒸煮時間を確定させる事に成功しました。
やっと先へ進める・・笑
さて、煮上がった大豆に納豆菌を熱いうちに噴霧し、計量しパック詰めをします。
納豆菌は安定した芽胞状態から活性化させるには「ヒートショック」なる
工程が必要になります。高温に晒して初めて活発に活動を始めます。
大豆1キロで大よそ50パック作れます。
この納豆専用のパック、気になるでしょ?
これがまた曲者で、この手のパッケージはロット扱いでしか購入出来ないと言う縛りが存在します。
この場合3500個が最低扱い量!
あと70回作り続けないと無くならないと言う・・。しかし、他に気の利いた容器が無いので泣く泣く買ってしまいました。(涙)
いよいよサンダーバード5号へ『Are go!』
基本、38度~42度で24時間程度発酵させます。
芯温計を使い、納豆の中心温度を監視し42度以上にならないようにサーモを制御します。
これは納豆自体が発酵時熱を出すので、庫内温度を超えてしまう事がままあるためです。
完成です。完成直後はアンモニア臭が立って、全然美味しくありません。
冷蔵庫で2日程寝かせるとすっかり美味しく変身しますよ。
美味しいですよ。でもスーパーの納豆となんら変わりありません。
ここが何だか微妙で、こんなに苦労したのにデフォルトの納豆を超える事は無いのだと言う現実。
人におすそ分けしても、
「スーパーのと何が違うの?」
でおしまいです。
完成度が高い程、人の評価はおざなりになるのであります。
まぁ、それでいいんですけどね。笑
次回は麹造りでもアップしようかな・・。
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