極道納豆
日本語の解釈は難しいもの・・・。
これは決してその筋のお方が作られた納豆の事ではありませんよ。
「納豆の道を極む」と読みます。
さすらいの納豆道・・・ここに極まる!
予(かね)てより精進してまいりました、遥かなる納豆への道ですが、ここへ来て
いよいよ佳境へと入ってきたようです。
度胸ひとつで火のような練磨・・・。
私の飽くなき努力がついに報われました。
※ この記事は2014年に、当時のブログに収めたものです。
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え~、そういう訳でこの「納豆道」、長い試行錯誤の中で、それなりに評価される納豆が出来てはいたのですが、私的にもうちょっと物足りない何かが、越えられないプロとアマチュアとの「微妙な差」のような感じで横たわっていた訳です。
納豆を志して足掛け4年・・・。その正体、極意をようやく突き止める事に成功致しました!
これが納豆菌です。
いくつか販売元がありますが、私はこの成瀬菌なる物を使用しております。
中にはこのような怪しい?粉が入っております。これだけをポケットに入れて外出する時は注意しましょう(普通しないけど・・)
万が一お巡りさんに職質された場合、確実に疑われて任意同行は免れませんでしょう。それが納豆菌であるという顕著な証明がなされない限り帰してくれないと思います。(ホント)
これが、ハンドメイドの納豆製造恒温器です。納豆のみならず、ヨーグルトや甘酒、パン生地醗酵などなど、いろいろ使えます。底の奥に見えるのが電気ストーブを改造したヒーター・・・。
手前のボールには加湿用の水が入ってます。
木枠にスタイロフォームを嵌め込んだ簡易なものですが、これが中々の性能で、とっても役に立っております。
電子サーモとリレーです。お安い簡易なものもあるのですが、正確な制御を実現させるために奮発しております。
このオムロンのリレーがないとサーモの耐久性に問題が出てきます。
箱のあちらこちらに無数の傷がありますが、これは全てウチのニャンコ達の仕業です。笑
湿度計です。納豆作りには欠かせませんです。
納豆に挑戦し続けて幾年月・・・この頃、ようやくある法則と言いますか、セオリーに到達することが出来ました。それまでまる2年程、作っては失敗を繰り返し、試行錯誤の蟻地獄に陥っておりましたが、遂に報われる時が来てしまいました。それは正しい例えかどうか解りませんが、
「豆腐作り」の十倍・・・いや、それ以上確実に難しい作業の積み重ねでありました。実に繊細でシビア、そして妥協無き世界なんです。
よくネット上に ”納豆を作ってみた” 的な簡易な納豆の作り方が沢山アップされていますが、どれもこれも一応やってみたのですが、上手く行った試しがありません。糸を引く納豆のようなものは確かに簡単に出来ますが、果たしてそれが「納豆」という基準に到達したものなのかどうか・・・甚だ疑問です・・・。大概が市販の一番安価な納豆に遥かに遠く及ばない 「納豆モドキ」 が出来てしまいます。
思うに、その中途半端な「納豆モドキ」をもってして、
「ヤッター!納豆が出来た!」「意外と簡単~!」・・・
みたいな、自己満足と言いましょうか、妥協点が低い、悲しくも虚栄心溢れる評価をされているように感じます。
(よく、風呂に浮かべて一晩置くとか、ペットボトルにお湯を入れて箱に入れる・・・といった類のレシピが多い・・・。ハッキリ言いますがろくなものになりませんです。)
言い換えれば、その程度のものを納豆として受け入れるのであれば、納豆作りは実に簡単なものと言えるでしょう。
くどいようですが、納豆作りは 難しいです!
納豆業者さんはそれぞれに微細なノウハウを持っておりまして、一般公開はしておりません。ざっくりとした作り方のみ公にしているところもありますが、それにしても、核心にはまったく及んでいないところです。実際にガップリとやってみて初めて解る事ですが、実にデリケートで微細・・・幾つかの条件をキッチリとクリアしないとまったくモノになりません。
皆さんご存じ無いと思いますが、納豆に関する「特許」って、実に沢山あるんですよ!ほとんどが昭和になってからのもので、衛生的な納豆の大量生産が始まってからのものです。よくネット上に公開されている怪しいレシピは、大正時代以前の太古の昔から行われていた諸々の製法のアレンジに過ぎません。醗酵製品に不可欠な温度や空調管理設備の無い時代、大量に均一な製品は出来なかったのです。同じ大豆製品である豆腐屋の普及に比べて納豆屋の数が如何に少ないか・・推して量るべきでしょう。
味噌も昔からの醗酵製品では?と言う方もいらっしゃいますが、味噌、醤油には大量の塩が使われてまして、塩の静菌作用で雑菌の繁殖が抑えられ、素人でも比較的失敗無く作れるものです。
「納豆菌」の培養温度はほぼ哺乳類の体温と同じです。しかしながら、我々人類に害を及ぼす食中毒菌の多くも同じ環境を好みます。ですから、不衛生な環境で作ると他の雑菌も一緒に増殖させる結果と為ります。
これが怖い・・・。
先に申し上げた、容器を風呂の残り湯に浮かべて一晩置くなどというレシピをネットに公開される方の無責任さには、相当違和感を覚えるところです。
大正9年、宮城県ではじめて納豆の量産が始まりました。当時の呼び名はなんと、
「衛生納豆」
なんですよ!
と言うからには、それまではきっと「不衛生納豆」だったのでしょう。いろいろ調べてみると面白いですね。古い歴史を持っているけど、実はすごく新しい食品・・・
下は今回ようやくモノになった自家製納豆です。風味、粘り、コク、柔らかさ・・・平均的な市販品と比べても遜色のないものが出来上がりました。正直、ここ十年いろいろな出来事がありましたが、その中でも一番嬉しかった事の筆頭かもしれません・・・。
きっちり、自分なりのセオリーを確立できましたので達成感が違います。長かったなぁ・・・
”納豆造り” と言う「土俵」の隅っこにようやく辿り着いた感じですが、これからは更に微細でデリケートな奥の細道?を極めるべく精進して行こう思っております。
さて、現在は更なるスキルの積み重ねによって、それなりにクオリティの高いものが作れるようになりましたよ!
『実用道』・・と私は呼んでいるのですが、あまり人のやらない事を身につけて行く行程が何とも楽しくてやめられないのであります・・。笑