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2025年の日本経済の展望~曇りのち霧~講演内容、即日まとめました「流通大会2025」<2日目>
こんにちは。「流通大会2025」2日目の講演内容のポイントを研究員がご紹介します。ライブ視聴された方は、振り返りにぜひご活用ください。
まとめと一言:公益財団法人流通経済研究所 上席研究員 石川 友博
講演者紹介
株式会社第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
永濱 利廣 氏
講演:2025年の日本経済の展望~曇りのち霧~
〇先行き不透明な日本経済:原因はインフレ懸念とトランプ政権の動向
本講演では、日本経済の今後の先行きについて解説いただきました。結論として、日本経済の先行きは不透明かつ足踏み状態が続くとのことで、その主因を2点あげました。1点目は、政府の物価高対策の縮小(ガソリン補助の廃止など)と、昨年の天候不順による生鮮品の値上がりなどにより物価高が続くこと。2点目は、トランプ政権の政治のかじ取りが不透明であり、米中の関税をめぐる争いが激しくなると、貿易が縮小して両国の景気に後退圧力が働き、両国への輸出が全体の40%を占める日本経済の景気にとって大きな低下圧力となるだろうとのことです。
〇世界経済の展望:アメリカの1人勝ち・中国とEUは苦境が続く
世界経済については、アメリカ経済は堅調であるとし、GDPの成長率は鈍化しているものの、インフレ抑制のための「いい減速」と指摘しました。一方、中国については、若年層の失業率が18%に達するなど、5%前後のGDP成長が続いているものの、今後は日本の失われた30年と同様の長期停滞に陥るだろうと指摘しました。その理由は人口ボリュームゾーンの現役世代が職につけないために、結婚や出産が大きく押し下げられ、長期的に人口減少が続くことが見込まれるためとしました。またアメリカよりも中国との貿易が大きいEUも、中国の長期低迷を受けて景気減速圧力が強まり、財政出動の柔軟化などの対応が必要と指摘しました。
〇今年の日本経済の注目ポイント
今年の日本経済の注目ポイントとして、103万円の壁問題、参院選、万博を挙げました。103万円の壁問題については、その是正がどのラインで落ち着くかによって減税効果が大きく変わることを指摘し、2兆円前後の減税が望ましく現状の自民党案はやや物足りない水準としました。
[研究員からの一言]
本講演では、豊富なデータに基づき、大所高所から、日本経済の先行き不透明感とその要因が具体的に解説していただきました。特に、政府の物価高対策の縮小やトランプ政権の動向によるリスクに言及し、世界経済におけるアメリカの優位性と中国・EUの苦境も興味深かったです。特に中国の長期停滞見通しについての分析は鋭く、十分認識しておく必要性を感じました。103万円の壁や参院選など、国内の政策課題にも触れ、実際の経済動向への影響を考察していた点が印象的です。万博に関する指摘は、経済効果を左右するSNSの影響力を考慮する重要性を改めて認識させられました。
<注>
各講演の「概要」は、筆者がリアルタイムで聴講した内容をもとに記述しています。聞き違いなどを含んでいる可能性がある点にご留意ください。また、「研究員からの一言」の内容は筆者個人のものです。