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経済産業省の物流政策について~講演内容、即日まとめました「流通大会2025」<1日目>
こんにちは。「流通大会2025」1日目の講演内容のポイントを研究員がご紹介します。ライブ視聴された方は、振り返りにぜひご活用ください。
まとめと一言:公益財団法人流通経済研究所 上席研究員 石川 友博
講演者紹介
経済産業省 商務・サービスグループ 物流企画室長
平林 孝之 氏
講演:経済産業省の物流政策について
本講演では、厳しさを増す消費財流通の物流環境について解説した上で、それに対応する政府の政策動向を紹介し、今後の方向性としてフィジカルインターネットの概念と、それに関する経済産業省の取り組み状況について説明いただきました。
〇物流の2024年問題
物流業界における課題を整理すると、ネット通販の利用拡大に伴い、小口多頻度配送が増加し、トラックによる物流需要が拡大していることが挙げられます。その結果、トラック物流コストの上昇圧力が強まっており、荷主企業の収益圧迫につながっています。一方で、トラックの積載率は低い状態が続いているなど物流効率は低く、生産性が低いため、トラックドライバーの賃金はトラックによる物流需要の増加にもかかわらず十分に上昇せず、低賃金・長時間労働という厳しい労働環境が改善されないままとなっています。その影響で人材確保が困難となり、将来的には物流需要を支える人材不足が深刻化すると予測されます。トラックドライバー不足により物が運べなくなる事態が現実になることで、2030年には10兆円規模の経済損失が発生する可能性が指摘されており、早急な対応が求められています。
〇課題への対応と物流政策
こうした課題に対応するためには、平林氏は、物流の効率化を徹底し、コスト削減を図るとともに、労働環境の改善や賃上げを進めることで、ドライバーの供給を増やすことが不可欠であると指摘しました。
物流の効率化や荷主・消費者の行動変容といった視点にもとづいて展開されている経済産業省の政策として、物流革新に向けた政策パッケージ等の策定、改正物流効率化法の公布・施行、荷待ち・荷役時間目標の数値化などが盛り込まれたガイドラインの策定と業界・分野別の自主行動計画などの推進状況を紹介いただきました。
〇2040年までのロードマップ
最後にめざすべき究極の共同輸配送システムとして、フィジカルインターネットの概念とその実現に向けた2040年までのロードマップの推進状況を紹介。パレットの標準化、輸送機器の自動化・機械化、メニュープライシング、物流事業者コードの検討などの重要性を解説し、それぞれの取り組み状況や今後の展望を紹介いただきました。
[研究員からの一言]
物流問題の重要性を改めて認識させられる講演でした。また、ガイドライン、自主行動計画、CLOの設置、法改正など、政府の積極的な取り組みを確認することができました。そして、フィジカルインターネットについては実現に向けて様々な共同化・共通化・標準化が不可欠であると認識しました。これまで以上に「物流の問題は競争領域から協調領域である」という事業者の意識変容が進むことが、フィジカルインターネットの成否のカギを握っていると感じました。
<注>
各講演の「概要」は、筆者がリアルタイムで聴講した内容をもとに記述しています。聞き違いなどを含んでいる可能性がある点にご留意ください。また、「研究員からの一言」の内容は筆者個人のものです。
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