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消費者の生活変化によって求められる小売業の変革~講演内容、即日まとめました「流通大会2025」<2日目>

こんにちは。「流通大会2025」2日目の講演内容のポイントを研究員がご紹介します。ライブ視聴された方は、振り返りにぜひご活用ください。

まとめと一言:公益財団法人流通経済研究所 主任研究員 三坂 昇司


講演者紹介

公益財団法人 流通経済研究所 常務理事 流通・店頭・環境部門長
山﨑 泰弘

講演:消費者の生活変化によって求められる小売業の変革

 本講演では、小売業態構造予測「流研ロングタームフォーキャスト」の最新データに基づき、食品市場における小売業態の変化や消費者の購買行動の変化を考察し、今後の小売業の対応方向について提言がなされました。

〇 これからの国内食品市場の予測

 日本では人口減少が進むことで、食品市場の縮小が予測されています。しかし、業態別に見ると、スーパーのシェアは大きく変化せず、ドラッグストアやECのシェア拡大が顕著であることが明らかにされました。

〇 スーパーとドラッグストアにおける購買の実態

 食品購買の中心であるスーパーと、今後も成長が続くと見られるドラッグストアにおける購買の実態も分析されました。スーパーでは「ついで買い」が減少し、計画的な購買行動が増加している一方、食品の取り扱いを強化したドラッグストアでは、利便性の高さから購買点数が増加し、業態間競争が激化していることが指摘されました。

〇 消費者の生活・価値観の変化とそれに伴う購買行動

 消費者のライフスタイルや価値観の変化も購買行動に大きな影響を与えています。値上げへの対応として、特売時のまとめ買いや不要な商品の買い控えが増加する一方、若年層では「推し活」消費が拡大し、感情的価値が購買意欲を高める要因となっています。また、健康志向の高まりにより、シニア層を中心に健康機能食品への関心が高まっていることが調査結果として示され、今後の対応策が考察されました。

〇 近年の小売企業の取り組み

 小売業界では、業態ごとに戦略が多様化しています。データ分析を活用した市場創造や、メーカー・卸との連携強化の重要性が高まっており、従来のカテゴリーマネジメントに加え、需要創造を重視した取り組みが今後の成長に不可欠であることが述べられました。


[研究員からの一言]

 食品市場は、日本における人口や社会の変化を背景に、今後も大きく変化することが予想されます。特に、これまで食品購買の中心であったスーパーは、ドラッグストアやECの成長によって、今後も厳しい競争に直面すると考えられます。講演でも提言された通り、消費者・購買者の変化に対応した業態革新が不可欠です。しかし、このような大規模な革新を進めるためには、企業全体や業界全体で取り組む求心力が必要であることは、過去の流通大会でも指摘されてきました。

 本講演では、流通経済研究所が分析した予測データや、調査データ、購買履歴データに基づき、消費者・購買者の変化を多角的に確認することができました。講演内で取り上げられた「推し活」「健康意識」「値上げへの消費者の対応」については、近年よく話題に上るテーマですが、データを通じてその変化や実態を改めて確認できたことは非常に有意義でした。

 消費者・購買者の動向をデータに基づいて多角的に捉えることが、社内や取引先、さらには業界全体で一丸となって取り組むために必要であると実感しました。

<注>
各講演の「概要」は、筆者がリアルタイムで聴講した内容をもとに記述しています。聞き違いなどを含んでいる可能性がある点にご留意ください。また、「研究員からの一言」の内容は筆者個人のものです。

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