日本最端の街のホームページには何があるのか
東西南北、日本の端にある街には何があるのだろうか?観光名所か、名産か、いやいや、まずそこには人の暮らしがある。
知らない街の、知らない暮らし。東西南北それぞれ端にある街のそれは、自分の住む街の暮らしと異なるに違いない。以前、ふとしたきっかけで稚内について調べることがあったが、それを含め東西南北を比べてみようと思い立った。
まず、日本の最○端というと、領土的な意味のものと人が住む街的なものとで基準が異なる。今回は街の暮らしを見ていくため、後者で選抜した。
最東端 根室市
日本の最東端は小笠原諸島にある南鳥島なのだが、ここは民間人が生活を営む島ではないため除外する。となると、納沙布岬のある根室市が最東端となる。さっそく根室市のホームページを見てみよう。
トップページがオシャレだ。名所をスライドショーで写してくれており、各コンテンツへの入り口が表示されている。キャッチコピーもいい。「朝日にいちばん近い街 ねむろ」
PCのウインドウサイズを変えるとレイアウトも変わる細かい配慮になっている。(小さくするとスマホ版レイアウトになった)
市長の情報発信のページは「市長の部屋」という名前にしなければならない決まりでもあるのか、というくらい見かける「市長の部屋」。
根室市の石垣市長(あたたかそうな名前だ…)のプロフィールやメッセージを見ることができる。
市長の年頭メッセージを見てみると、今年の取り組みがいろいろと書いてある。自然災害への備え、昨年不振だった漁業についての新たな取組。柳ダコのふ化放流・紅鮭海面養殖なんてのをやるわけですよ。はあーーー。漁業が盛んな街に住んだことがないから、こういったことが市の発信に盛り込まれている事自体が新鮮だ。
ヒグマの出没情報が新着情報にあがるのも土地柄だ。違う暮らしがあることを実感させられる。
移住関連の取り組みを見るのも、知らない街のHPを見る上でのおもしろポイントだ。
根室ではちょっと体験できるような用意をしている。それにしても根室、遠い。
(1)羽田空港⇒飛行機で約115分⇒中標津空港⇒車で約95分⇒根室市
中標津空港線バス時刻表(中標津~根室)
(2)羽田空港⇒飛行機で約95分⇒釧路空港⇒車で約140分⇒根室市(釧路空港⇒バスで約45分⇒釧路駅)
(3)札幌市⇒JRで約240分⇒釧路駅⇒JRで約150分⇒根室市
北海道あるあるだと思うが、平気で1つの経路で100分以上を叩き出してくる。
ちょっと体験できる家の詳細も見れるので、そこでの暮らしを想像できるのだ。家というか…なんかこう、すごいな。すごい施設だな。こういった作りがスタンダードなのだろうか?家具家電付き、光熱費等コミコミ価格で提供してくれる。体験するにはほどよい。体験を通したかどうかはわからないが、実際に移住した方のコメントも載っている。
■独自の子育て応援サイト
根室市の総合トップページからアクセスできるところに、子育てに特化したページを用意しているのが特徴的だと思った。そのバナー画像、移住した横峯夫妻の画像だぞ、ということにも気がつく。
広報も公開されているし、漁業に関するページや各種施策についてももっと深く掘り下げてみていくこともおもしろいが、このあたりにして次の街に行こう。
最西端 与那国町
沖縄だー!!!トップページに「日本最西端の島」と書いていますね。与那国と言えば、どうぶつの森でもヨナグニサンという虫が出ておなじみです。…おなじみですよね。
ここでも町の蝶として載っています。蛾だけど。大きくくくると蝶と蛾は鱗翅目で同じだからセーフってこと?(??)
町長室というコンテンツはあるけれど、町長の動きはなかなかわからない。のんびりとした時間が流れる与那国町。
トップページにある新着情報を見るのも、全然知らない町の新着情報!というだけでおもしろいんですよ。与那国町では公衆無線LANサービスが始まったそうです。観光地なだけに重要な施策なのだろうと思う。
移住に関しては特設ページがある力の入れ方!ここに住む魅力をたっぷりと伝えようとしていますね。それにしても写真がどれもこれも映えるよなあ、南の島。いいですね。
移住までの流れを説明するページ、移住体験とかがあるのかな?と思いきや家族やパートナーに相談するところから始まっているのがおもしろい。純粋な移住の手引やないか。
意外と…というとアレですけど、移住体験とかの施策はババーンとありませんでした。実際はあるのかな。移住の流れに掲載されていなかったので、根室のようなちょっと体験できます的なのはないのかもしれない。まあ、観光で訪れて楽しんでみてくださいや!!という感じなのだろうか。
最南端 竹富町
日本最南端は同じく沖縄県にある竹富町。大小16の島からなる竹富町は、「町役場がその町にない」という稀有な町です。どこにあるかといえば、石垣島(石垣市)にあります。離島へのアクセスの拠点となるからかな。不思議な市政が行われている。
町長だよりのページは準備中でした。楽しみにしていたんだけどな…。広報たけとみちょうはばっちり更新されています。知らない町の、知らないイベントを眺める楽しみがある。小学校で星砂採集をやりました!って。にこにこしますね。
そんな竹富町の姉妹町は北海道の斜里町。めっっちゃ遠い。
姉妹都市や姉妹町、友好都市などの関係性も、こういった散策のおもしろポイントです。
観光地ならではの特設ページも立派。立派だけど、なんか乱立しているな…。
島々からなる竹富町ならでは!という感じのページはこれですね。海岸の清掃について。
海岸漂着物の一部は、竹富町では処分することができません。
学校・各地区公民館・ ボランティア団体等で行う海岸清掃に関しては、事前に世界遺産推進室へ申し込み頂くことにより、輸送料及び処分手数料を竹富町が負担いたします。
せ、世界遺産推進室…!!
最北端 稚内市
最北端は稚内市だ。この調べ物をするきっかけにもなり、以前一度記事にまとめているけど、もう一度紹介します。
稚内は市長の部屋がおもしろかったんですよね…。「市長と語ろう!」という企画をおこなっていて、その模様を公開しています。
「エゾシカ対策について」などが話題にあがったり、自分の知らない世界を垣間見ることができる。市長と直接語れるイベントを開催しているの、だいぶポイント高いです。(なんの?)
サハリン交流も稚内という位置関係ならでは。海外との物理的な距離が近いと、こういった交流も行われる。
移住誘致のページもおもしろい。東京に手厚い施策がある。
UIJターン新規就業支援事業について
令和2年度から、東京圏から移住し、就業もしくは起業した方に対し、単身60万円、世帯100万円の支援金を交付します。
また、用意された住宅を1日2千円(水道光熱費ネット代込)で借りる移住体験もできる。
物件によっては「※自動車による移動が不可欠です(市街地まで車で約30分)」など注意書きがあり、ワクワクしますね。北海道だ!
実際にこの移住体験を経て移住を決めた方のインタビューも載っています。
あとこれ!これですよ。稚内市が持つめちゃくちゃおもしろいコンテンツ。
職員が南極へ行ったレポートが載ってるんですよ。なにそれ??
しかも相当なボリュームで、読み物としての充実度が高い。知らない街のホームページ巡りの醍醐味とも言えるのが、こういったコンテンツとの出会いだ。
もっと知らない街のホームページが見たい
そこに住む人にとっての当たり前は、外の者からしたら非日常になる。街のホームページというのは、そういった情報の宝庫だ。
「うちの街はサハリン交流があるんだよね~」なんて言われたら食いついてしまいませんか?
私の身近な話で言えば、滋賀県は小学校の間に琵琶湖で船上泊をするとか、結構レアな話ですよね。
街のホームページに載っているコンテンツを紹介する企画があるとおもしろそう、と思いました。今回は最端でピックアップしたけれど、例えばダーツの旅だったり、みんなで見つけたものを持ち寄ったり。
デイリーポータルZさんあたりで…こう…できませんかね…。既にやっているのでは?と思ったら、市町村章に関する特集はあった。みんながランダムで選んだ街のホームページを紹介するの、やってみたいな~~~。