ライブ感想 - 太陽と月とエトワール ~ Shiny Day
はじめに
2023年6月10日18時より、ななしいんくの2か月連続ライブ『太陽と月とエトワール』のうち『Shiny Day』が開催された。もうひとつのライブ『Secret Night』は7月17日に開催予定。
さて『Shiny Day』の感想だが、率直に言って、とても良かった。
驚いた、と言った方が正しいかもしれない。メンバーの熱量をとても感じるライブだった。
視聴前の印象
ななしいんく自体の印象の問題と、メンバーによる訴求力の違い
以下は公式サイトから引用した2つのライブの出演者の抜粋である。
これを見ると『Shiny Day』には、ダンスを得意としアイドル要素を持つメンバーが多いように見える。それに対して、歌唱力の高さを売りにしているメンバーは『Secret Night』に集まっているようだ。
以下は私見であり、ライブのコンセプトに合わせたメンバー分けの結果かもしれないのだが、思ったことを率直に書くとこうである。
5月3日の新環境ライブに出演した4人はもちろん歌唱力が高いのだが、この4人が全員『Secret Night』に入っていることは、メンバーの偏りが大きいと感じた。そして先日の瑚白ユリの3Dライブについて、事情があったとは思うものの、タレントは頑張っているのに事務所の支援が薄かった、という印象がどうしても拭えない。ななしいんくとして力を入れたイベントのメンバーの有無がはっきり分かれていることから、相対的に『Shiny Day』への力の入れ方が弱いという印象を受けた。
新人ダークホース、その名は…
単純に一視聴者として考えても、『Shiny Day』の訴求力は今一つだった。音楽的に定評ある実力の持ち主は一部であることに加え、グループ統合から間もない頃のことであり、応援したいメンバー以外のステージを見ても素直に楽しめないのではないか、と思っていた。
では何故ライブのチケットを購入したのかと言えば、加入して半年にも満たない狼森メイの歌を聴きたかったからである。メイといえばダンスが大の苦手で、配信でもTwitterでも苦労している様子が伝わってきた。
しかしメイには大きな武器がある。それは、歌うと別人のように声が変わること。それが実に魅力的だったのだ。彼女がステージに挑むのであれば、この目に焼き付けたいと思ったのである。
それぞれの魅力を感じるステージ
いざ開演すると、ステージを彩るメンバーたちの魅力に引き込まれていた。ソロ曲があるメンバーはとても印象が強いが、そうではないメンバーは今後に期待といったところか。
歌唱力に定評がある季咲あんこ・橙里セイの2人は期待通りだった。セイはダンスにもキレがあり、こちらは期待以上。素晴らしかった。
そして特に期待を上回ったのは、瀬島るい・家入ポポの2人。るいのステージを見るのは初めてだったが、キュートさとセクシーさが同居した声とダンスで、意外なほどステージ映えすると感じた。そしてポポはソロ曲こそなかったものの、グループ曲でセンターを務め、ダンスのダイナミックさでひときわ目を惹いた。また、橙里セイとのデュエット曲のハーモニーが大変美しい。観客の盛り上げ方も上手い。
そして狼森メイ。初のライブながらソロステージを務めた。曲は『悪魔の子』。多くは語らん。聴け。
おいのもりのこと
個人的に一番驚いたのは、狼森メイは元々出演予定が無かったということである。同期の蛇宵ティアが『Secret Night』に名を連ねていることから、二人とも最初から出演が決まっているものだと思っていた。こちらは西園寺メアリの振り返り配信にて明かされている。
3Dの経験がない上に、苦手なダンスを要求されるライブまで依頼され、非常に大きなプレッシャーで苦しんでいたという。しかし未経験ゆえの可愛らしさが個性として認められ、他の演者からも愛されて、プラスの方向に転じていったようだ。37:01~。
気になったことも少し
このライブは冒頭部分がYoutubeで無料配信されたが、スタッフが立てたその枠の概要欄について、メアリが大浦るかこに修正を依頼したという。コピペで発生したと思われる内容の重複があったことと、チケット購入ページに直接飛べないアクセシビリティの悪さについてである。こちらは本番までに修正された。動画は36:40~。
また『Shiny Day』『Secret Night』の両公演に現地参加した人は特典パンフレットが貰えるのだが、現地参加したことを証明する手段が、メンバー直筆ポストカードの提示だったのである。レアアイテムはしっかり保管したいのが人の心理であり、傷む可能性を覚悟の上で持ち出すのは、たとえ証明書だとしても憚られる。これについては複数のメンバーがやめるよう進言したようだが、覆らなかった……ということのようだ。
瑚白ユリの配信にて、直筆ポストカードの件。2:15:54~。
メンバーと運営一体でライブステージを
年長組のリーダーシップ
ライブ終盤ではメンバーの苦労が語られる場面があった。毎週の運営とのミーティングを年長組が牽引し、そのおかげで楽しいライブにすることができたのだという。タレントの負担が大きいことは想像に難くない。大変ではあるが、運営と逐一折衝することが一番の近道なのかもしれない。特にメアリは「うるさく」発言していたそうだが、それがあってこそのライブだったのだろう。27:27~。
無料配信のボリュームについて
セットリストについて柚原いづみが語っているが、本来ノータッチで進める部分もタレントが変更することが許され、無料配信のボリュームを高めることができたのだという。許可された経緯は不明だが、タレントの努力や、運営との信頼関係を築いてきたおかげだと思われる。
今回の無料配信からチケット購入に至った例がどれほどあるのかは不明だが、先述のメアリの件と合わせ、売り上げに貢献していることを願う。39:57~。
熱意がディレクターを動かした
一方橙里セイのソロ曲では、ステージを目いっぱい使いたいというセイの申し出により、ディレクターがカメラを追加したという。負担増、費用増に繋がりかねないことだが、タレント側が熱意をもって臨むことで、現地のスタッフを動かした。1:23:55~。
不安の中でライブを作り上げた皆に拍手を
複数のメンバーが、自分たちのことを応援してくれる人が本当にいるんだと実感した、と語っている。私も色々と書いて申し訳ない気持ちになるのだが、「ななしいんくの良いニュースを届けたい」と、全員が思っていたことと思う。『Shiny Day』は間違いなく良いニュースだった。そして7月の『Secret Night』の錚々たるメンバーにプレッシャーを与えるくらいの、素晴らしいバトンを渡したと思う。『Secret Night』も見るぞ!
(敬称略)
(2023/06/15 一部追記)
セットリスト
夏色えがおで1, 2, Jump!(メアリ、あんこ、いづみ、るい、ひかり、セイ、ポポ、ユリ、メイ)
わたしの一番かわいいところ(メアリ、いづみ、るい、ひかり、ポポ)
トウキョウ・シャンディ・ランデヴ(ポポ、セイ、ユリ)
ELECT(セイ)
僕が最高だから(あんこ、ひかり)
ほっぴんぐすたー(あんこ)
悪魔の子(メイ)
[A]ddiction(ユリ)
太陽系デスコ(セイ、ユリ、メイ)
Surges feat. 夏背&ルワン(るい、ひかり)
アイドル(るい)
よっぱっぱの歌(メアリ)
メアリサンバ(メアリ、あんこ、いづみ、るい、ひかり、セイ、ポポ、ユリ、メイ)
ちゅ、多様性。(あんこ、いづみ、るい、ポポ)
Get it on ~光速クライmax(セイ、ポポ)
可愛くてごめん(あんこ、いづみ、ひかり、メイ)
セカイ(いづみ、るい、ひかり、セイ、ユリ)
星空のエチュード(メアリ、あんこ、いづみ、るい、ひかり、セイ、ポポ、ユリ、メイ)
瞬間イマジネーション(メアリ、あんこ、いづみ、るい、ひかり、セイ、ポポ、ユリ、メイ)