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自由に生きるためには?②
オーストラリアに住む会計士が『自由に生きていくためにどうしていけばよいか』について書いていきます。
前回は
1.自由に生きていくためには、経済的にそれを成立させること
2.日本で自由に生きていくためには、雇用されるより事業家になる方が
実現可能性が高いこと
3.そのためにはファイナンシャルリテラシーを高めることが
とても大事ということを書きました。
今回は私自身の経験を少し書いてみようと思います。
4.私自身の経験
私は結婚するまで家族や親族の中に社長と言われる人がおらず、
自ら事業を立ち上げた人はいませんでした。
雇われている状態のサラリーマンが多かったと思います。
そのため自分も何となくサラリーマンになるのかと勝手に思い込んでおり、大学を卒業したらまずは企業に入って働こうと考えていました。
しかし紆余曲折の後、3つ目の会社で会計事務所系のコンサルティング会社に入社してからは、顧客は経理の方相手のこともありましたが、
ほとんどの場合ダイレクトに会社の社長さんやお医者さんなど
ビジネスオーナーと話をすることとなりました。
自分で起業された社長さんは今まで付き合いがあったサラリーマンの方とは明らかに違うタイプの方で、もちろんその経済力もあるのでしょうが
人間的な懐の深さに魅力を感じました。
彼らは私を一人の人間として見てくれていたように感じます。
彼らの特徴を挙げてみます。
1)社長さんは本当に人をよく見ています。
その人が本当に信頼できる人かどうかを判断しています。
社長さんとお話をしていても雑談も多いかもしれませんが、
実は社長さんはそこで相手を見ているわけです。
2)ご自身の事業に覚悟を持って取り組んでいます。
従業員とその家族を自分が必ず守る、と考えています。
ですので、いい加減な発言や手を抜いた仕事をすることは
絶対にNGで、その時その時が真剣です。
誰でも間違ったり失敗することはあるとは思いますが、
問題はその後どういう行動をとるかが大事です。
社長さんはそこをしっかり見ています。
3)左か右かどちらが正解か分からなくても、左なら左を選ぶ意思決定を
して、みんなを引っ張っていきます。
私自身、社長さんからいろんな相談を受けましたが、
実は相談する前からどうするかを決めている場合が多かったように思い
ます。
4)そしてうまくいかなければあっさり負けを認め180度転換する、
朝令暮改もありです。
『社長は言っていることが違う』と言われても、
その時に正しいと思ったことを実行します。
彼らは仕事には厳しかったと思いますが、プライべートでは多趣味で、
しかも一つ一つが深く本職の人よりも詳しかったりしました。
車、音楽やオーディオ、ワインや食事、旅行、骨董など
正直どれをとっても本格的で極めすぎていると思いました。
また趣味だけでなく家族に対してもしっかり向き合っていて、
正直サラリーマンの方よりはるかに時間を割いているのでは、
と感じました。
社長さんは人生の先輩として非常に魅力的で、
お会いするたびにいろんな話を聞かせていただく訳ですが、
哲学的な話になってもしっかり自分なりの答えが返ってくるので、
とても新鮮で『なるほど、そんな考え方もあるのか』
などと感じておりました。
私はそういった社長さんにどんどん惹かれていきました。
人生でたくさんの苦労をしながらも、
自分で台本を書いて自分で自由に生きていると感じました。
たとえ失敗しても自己責任で、自分で立ち直していくのも
かっこよさを感じました。
少なくとも行きたくない会社に行って長時間働き、
日曜日もつまらない接待ゴルフに行くような、
最初の会社で経験したサラリーマン生活より
はるかに楽しそうに見えました。
今では考えられないことですが、最初の会社では辞める直前は休みは2週間に1日で、残業時間は月200時間を軽く超えていました。
しかも仕事が終わっても上司と一緒に寝泊まりしていましたので、
プライベートも全くない状態でした。
まあ結果辞めるきっかけをくれましたので感謝していますが。。
話は戻りますが、中小企業では、社長さんと副社長以下は違う
とも思っていました。副社長以下は仮に取締役として経営責任を負っていても、最終責任は負っていないので、所詮雇われではないかと感じました。
特に借入金の個人保証は社長が入れており、
もし何かあったら自宅や預貯金も押さえられてしまう状態で
億単位の借入金を金融機関から借りて事業を行うのは社長であり、
副社長以下の取締役や社員ではありません。
その意味ではうまくいっている時に高額な報酬を取るのは当然かもしれません。もちろん事業が上手くいかない場合には最初に給与をカットすべきかとは思いますが。。
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私は自分もいずれ独立して自由になりたい、
仕事で自己表現できるようになりたい
と思うようになりました。
正直、最初に書いたようにまわりにそういった人がいないので、
そして、今のように副業や独立が簡単にできる時代でもなかったので、
結構ナーバスにもなりました。
当時はすでに結婚もしており子供もいたので、
こけたらどうしようか?とも思いました。
しかし妻に相談したら『やってみたら!』と背中を後ろからポンと押してくれ、覚悟が決まりました。この時の妻の答えには本当に感謝しています。
独立して妻子を路頭に迷わすわけにはいかなかったので、
私はできるだけ独立のハードルを下げる方法を考えました。
私が考えたことは、サラリーマンで給料が出ている間に
できる限り独立後に役立つ経験をしようということで、
以下のように動きました。
1) 既存のクライアントには、報酬の引上げをお願いしました。
失敗しても別に何かが変わるわけでもないし、
逆に自分に何が足りないかがわかります。
この経験が必ず独立後にも役立つと思って直に交渉をしていました。
2)既存クライアントに自分や自分の仕事を評価してもらい、
どこが足りないか、そうしてもらいたいかなどを伺いました。
3)与えられていた仕事とは別に営業活動をしては
クライアントを会社に入れました。
もちろん独立した時は私が持っていく約束をしました。
会社から見れば、私は会社での仕事をすべてこなすだけでなく、
既存顧客からの報酬を引き上げたり、新規顧客を会社に入れたり
していたので、問題はなかったのではと思います。
そして『どうなるかはわからないけど絶対に最後は勝つ』と思い、
独立のスタートを切りました。
幸い事業の性格上、それほど初期投資も必要ではなく、
独立後にそのままクライアントとなっていただけた会社や医療機関もそれなりにあったので、比較的スムースにソフトランディングできたと思います。
最初に自分の通帳にクライアントから振り込まれたのを確認した時は
私について来ていただけたお客様には本当に感謝の気持ちしかなく、
絶対にお客様の成功を達成しようと強く思いました。
独立後は会計士・税理士としてたくさんのクライアントの財務や経営を支えてきました。外から数値を見たり決算書や申告書を作成するだけでなく、
企業の中に入って実際に銀行と融資の交渉をしたり、
取締役会や会社の重要な会議に出席して
経営の方向性を議論したりしてきました。
独立する前は監査する側の立場だったのに、逆に自分より後輩にあたる
会計士から監査される立場になることもあり、不思議な感情も感じましたが、とにかく顧客に喜ばれることを提案し何でもやりました。
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独立後いろんな経験をさせていただく中で、
以下のようなことを感じるようになりました。
1)経営者には2タイプある、
独創性やクリエイティビティが高い社長と数値や経営管理面が強い社長
で、両者をバランスよく両立している社長は極めて少ない。
2)前者のクリエイティビティが高い社長は、後者のタイプの共同創業者か
参謀タイプの腹心がいればうまくいくが、
そうでない場合、会社はなかなか成長しない。
3)結果、しっかり数字を把握してハンドリングしていかないと
経営は伸びない。
上手くいっている会社は、経営者がちゃんと数字を理解しています。
少なくとも数字のことがわかる参謀がいます。
決算書も読めるし、数字の勘所をわかっています。
また経営判断も数字を根拠に判断します。
『オレは数字のことは良く分からないから』と言いながらも、
数字で考えて意思決定したり行動しています。
数字を理解していない経営者の場合、感覚や直感で意思決定することになるので、当たることもありますが、大きくこけることもあります。
また事業とプライベートの区分ができていない事業者も、
事業の判断ができず経営としては危ういと言えます。
独立当初は直接的にお金を生まない参謀のために多額の費用をかけるわけにはいかないとは思います。そうなると一定の規模までは自分で数値のことを把握し理解することがとても大事かと思います。
会計事務所にすべてお任せして、年に1回申告だけお願いするような状況の場合や、会計事務所がまとめた決算書で始めて経営状況を理解する場合などもあるでしょうから、経営の進め方としては厳しいと言わざるを得ません。
このように考えると、経営者自身が数字から逃げずにしっかりファイナンシャルリテラシーを身につけることが、遠回りなように見えるかもしれませんが、結果としては経営には不可欠であることがご理解いただけるのではないでしょうか?