精神疾患の確定診断を受けている人向けの障害者手帳の話

注意【必ず読んでください】
今回の記事は、すでにうつ病や統合失調症、てんかんなどの精神疾患の確定診断を受け、治療中の方で、障害者手帳を検討している人に向けた内容です。
精神疾患の確定診断を受けてない方には参考になりませんのでご注意下さい。

また、精神疾患の確定診断を受けても障害者手帳を検討するかは、本人や主治医の判断です。障害者手帳を受けない自由もあります。


1 よくある障害者手帳の誤解
精神障害者手帳を受けると、多くのデメリットがあるという話があります。確かにデメリットがないわけではありませんが、メリットの方が多いです。

デメリット
・住宅ローンなどのローンが組めない
(ごく一部を除き障害者手帳所持者は、住宅ローンを組めません。)

・生命保険に入りづらい
(場合によっては、申込み時に障害者手帳所持を申告しないといけないことがあります。精神障害者は、リスクが高いからです。全てではありませんが、入れる生命保険を探すのは大変な作業です)

・クローズ就労を除き一般就労は困難
(精神障害者への差別は非常に大きいです。クローズを除き精神障害者が一般就労するのは困難です。障害者雇用でも不利になる場合がありますが、近年では改善傾向です。)

・心理的な影響
(自分が障害者であることを受け入れることが苦痛になる場合もあります。)

メリット

・交通機関の割引や入館料などの割引が受けられる
(一部例外があります、また3級手帳では対象外の場合も多いので事前に確認が必要です)

・障害者雇用を利用できる

・就労支援や相談を利用できる
(障害者向けの相談サービスや就労に向けた訓練、面接への同行などの支援を受けられます、無理なく就労を目指すことが可能です。障害者手帳は、就職を希望する精神障害者にも推奨できるものです。)

・就労している場合や収入がある場合、住民税や所得税の減免を受けられる
(等級により差があります。お住まいの自治体に確認しましょう。)

・公営住宅への優先入居
(3級は対象外の場合が多いですが、公営住宅への優先入居や先行抽選に申し込める場合があります。)

・公共料金【携帯電話料金】の割引
(これは3級でも対象ですが、通信各社で対応が若干異なるので事前に確認しましょう)

などがあります。

2 障害者手帳を検討する場合の注意点

・確定診断されていない場合、手帳を貰えないです。確定診断をされているかは確認しましょう。
(また、適応障害は、障害者手帳対象外です。社会不安障害は手帳対象ですが障害年金は対象外ですので、自分の診断名は診断書を貰ったときに、必ず確認して下さい。自分の病名を知らずにサービスを受けることはなるべく避けましょう【各種公的福祉サービスを利用する場合、病名を聞かれます。正しく答えないとサービスに影響が出ますから、自分の診断名は必ず把握しておきましょう(たぶんで答えるのはNG)】)

・6か月以上の通院が必要です。(診断されたらすぐ申請はできません)

・主治医に必ず相談しましょう。
(特に就労目的や生活訓練を受けるために手帳がほしい場合などは、その旨も必ず伝えて下さい。普通に「精神疾患があり、一般就労が不安なので、訓練を受けたい、そのために手帳を検討したいのですが、いかがですか?」でいいです。余計な一言は控えましょう。あとは主治医が一般就労の困難度や健常者と同じ働き方ができるかを決めますので待ちましょう)

・初めから障害年金の話はしない
(お金目的と思われると信頼関係が壊れます。また、障害年金は複雑なので、ここでは説明しません)

・等級を指定するような言い方は控える
(等級を決めるのは行政の仕事です。主治医に言っても信頼関係が壊れるだけです。同様に、重く書いて下さい、軽く書いて下さいも絶対やめてください。)

・生活が苦しい、仕事したくてもできない、差別される病名で支援が必要など、事情がない場合、必要になるまで手帳申請をしないことも判断の一つです。
障害者手帳の維持も、なかなか大変です。切羽詰まってないなら、取らずに様子を見てもいいと思います。
逆に切羽詰まってるなら、相談した方がいいです。

一例として相談した方がよいケースは
・もとからあった障害の悪化により、仕事をクビになった。退職を迫られている。

・いくら環境調整や仕事を変えても続かない。悪化を繰りかえてしまうが、働きたい意欲がある。

・家族と同居できない事情があるが、一人で生活できない(グループホームや訪問看護を使う必要がある)場合。

3  障害者手帳はサボるために取るものではない

障害者手帳は、自分でできる最大の努力や工夫をしても、就労や生活に困難がある場合に検討するものです。障害年金や生活保護を目的に取得することは不正になりますので絶対にしないで下さい(行政が本気で調べればバレます)。私は楽をするために精神疾患を利用する人にはめちゃくちゃ厳しいので、そのおつもりで。

また、障害者手帳は、本来「就労や生活訓練のための制度でもあること」を忘れないで下さい。
障がい者総合支援法などにより、障害者にも「自立」が求められるようになっています。そのため、障害者手帳には、豊富な就労支援や生活訓練のサービスがあるのです。

一般就労では厳しい人や一人で生活することが難しい人がこれらのサービスを受けて、可能な限りの自立を目指すものですので、楽をするためのものではありません。

確かに2級以上は、生活保護の保護費が増えたりしますが、それ目当てで行くことはおすすめしません。障害年金も、福祉的就労(作業所のことです)の収入では生活できない場合や、重度の精神障害で就労自体困難な人向けです。

4  よくある質問

・不安障害は手帳対象外と聞きました

「不安障害は一部手帳対象です。不安症状が強すぎて生活や仕事に支障がある場合や長期にわたり続く場合なので、主治医と相談して下さい。他の精神疾患を併発している場合は普通に対象です。」

・障害者手帳をもってることは友人にバレますか?

「障害者手帳の提示は、公的機関や医療機関、割引を受けるとき、就労するとき以外は義務ではありません。関係ない人に見せるものではないので、自分から言いふらしたりしなければ、バレることはないです」

・障害者手帳と障害年金は同じですか?

「違う制度です。申請の方法も基準も違います。障害年金は障害者手帳とは比較にならないほど難しいので、あまり期待しすぎない方がいいです。」


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