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現代における着物業界での働き方
今回私は八王子の多摩織職人の元へ伺いました。
八王子市、あきる野市周辺にて織られる伝統工芸品である多摩織は「御召(おめし)」、「風通(ふうつう)」、「紬(つむぎ)」、「綟り(もじり)」、「変り綴(かわりつづれ)」の5つからなる織物です。
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古くから桑の木が自生し、織物に必要不可欠な大量の水を汲むことができるその地域だったため、養蚕や織物が発展し多摩織が生まれたのです。
そんな多摩織職人の作品は定番のものから現代の流行、かつての流行を取り入れたものなど様々でした。
渋く懐かしい風合いのものもあれば、落ち着いた現代人好みの色合いのもの、大正浪漫を感じさせるような大胆で色彩鮮やかなものまであり、この町が古くから織物の街として発展し様々な職人によって多摩織が形作られてきたことがよくわかりました。
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しかし、現在の仕事は着物生地だけではなく洋服生地の製造がほとんどとのこと。
その仕事の割合は洋服生地が8割に対して着物生地は2割。
周りの職人数も減少しているとのことから着物業界の縮小を感じずにはいられません。
ただ同時に私はここに職人の明るい未来を見ることができました。
この現状を洋服生地の割合が増えて本来の仕事ができなくなってしまったと捉える方もいるとは思いますが、見方を変えれば洋服生地をオーダーしてくる企業がその職人たちの技術を評価し求めてくることで職人の生活も安定し、本来の仕事も世間に広めながら継続することができる、と捉えることもできます。
現に職人の元へ国内外問わず大手洋服ブランドや自動車メーカーから伝統生地や洋服生地を一部使用したいとオーダーが入り、世界という大きなマーケットへ伝統工芸品を発信する機会を掴んでいます。
また、伝統産業と服地生産の両方を行うことで若手の職人志望者が工房の門を叩くことも増えているとのこと。
仕事を拡大させて多様なニーズに応えることは容易ではなく、どの職人もが環境的に適応できるわけではありませんが、この在り方は現代を生き残るための解の1つであるように思えます。
縮小していくこの業界で生き続け、再び発展していく方法を見ることができた素敵な遠征でした。
吉岡