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アクアポニックスで食べていけるのか?~500平米でできる現実的な農業経営のすべて~
アクアポニックスで食べていけるのか? ~500平米でできる現実的な農業経営のすべて~
第1部:土地探しから始める失敗しない創業計画
「やっぱり、うちは向いてないのかな...」
長野県の古民家を見上げながら、田中さん(45歳)はため息をつきました。IT企業を退職し、アクアポニックスでの就農を決意してから3ヶ月。理想の土地を求めて、もう10件以上の物件を見てきました。
しかし、この物件は何かが違いました。敷地内に井戸があり、800平米の農地付き。古びた母屋は要改修ですが、この広さなら十分な施設が建てられます。なにより、近くには地方都市の中核があり、販路の開拓も見込めます。
「これなら、いけるかもしれない」
実は、アクアポニックスの新規立ち上げで最も重要なのが、この「土地選び」なのです。
なぜ、今アクアポニックスなのか
「食」を取り巻く環境が、大きく変わってきています。
気候変動による天候不順、農業従事者の高齢化、化学肥料の高騰。従来の農業は、さまざまな課題に直面しています。そんな中、注目を集めているのが「アクアポニックス」という新しい農業の形です。
▼アクアポニックスの強み
・天候に左右されない安定生産
・化学肥料を使わない環境配慮型農業
・限られたスペースでの効率的な生産
・年間を通じた収入の確保
しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。本当に事業として成り立つのでしょうか?
土地選びの現実
アクアポニックスは、一般的な農業と比べて土地選びの自由度が高いと言われています。確かに、土の質を気にする必要はありません。しかし、その分だけ、インフラ面での制約は厳しくなります。
【成功事例】
先日、群馬県で成功している先輩農家を訪ねました。都心から車で2時間。一見、不便そうな場所です。しかし、この立地には明確な理由がありました。
「うちの成功の8割は、この井戸のおかげですよ」
そう話すのは、3年前に就農した佐藤さん。毎分200リットルの湧水が、年間を通じて安定して得られるといいます。水道を使う場合と比べ、年間で100万円以上のコスト削減になるそうです。
理想の立地条件
【水の確保】
清浄な水の確保は、事業の死命を分けます。
▼井戸水:理想的だが、新規掘削は100-150万円
▼農業用水:使用制限の確認が重要
▼水道:コストは高いが安定供給
【電力供給】
年間を通じて安定した環境を維持するには、十分な電力が必要です。
▼3相200V電源が必須
▼引込工事費:30-50万円
▼月間消費電力:約10,000kWh
【アクセス】
販路開拓の可能性を左右する重要な要素です。
▼販売先まで1時間以内が理想
▼トラック進入可能な道路
▼冬季の道路状況